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quasimode「Jeannine」:疾走するピアノの音が心と身体を貫き、メロディの魅力を届ける

quasimodeは2008年に『SOUNDS OF PEACE』というアルバムを発表しました。なかでも僕が特に好きな曲が「Jeannine」のカバーです。多彩な音にラッピングされ、原曲の生んだメロディの良さがダイレクトに届きます。魅力的なメロディは、自身に相応しい音を誘うのでしょうか。

美しい響きでメロディを綴るピアノ。その裏で芯の太い音を聴かせるベース。ピアノとは異なる角度から軽快さを高めるパーカッション。ピアノが生み出すスピード感を支えるドラム。メロディに彩りを添えるホーン。それぞれのパフォーマンスはquasimodeらしい疾走感と爽快感を表現するとともに、原曲の素晴らしさを丁寧に伝えます。

作曲者はピアニストのDuke Pearsonです。彼はDonald Byrdのバンドに参加していたときに「Jeannine」を書きました。その演奏はライブ盤『At The Half Note Cafe, Vol. 2』で聴くことができます。その後、自らがリーダーとなったバンドで1960年代前半に録音し、1968年に発表されたアルバム『Angel Eyes』に収録しました。

原曲や数々のカバーを聴いて、バンドの数だけアプローチが存在すると改めて思います。どのようにメロディを演奏するのか、アイディアはバンドやピアニストによって異なる。共通するのはメロディの魅力が存分に伝わることです。この流れのなかにquasimodeの演奏も位置づけられます。淀んだ空気があったとしても、吹き飛ばすだけのスピードとパワーを持った演奏を聴かせる――それがquasimodeのパフォーマンスです。


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