見出し画像

理学療法学生が心電図検定4級を受けてみた

こんにちは。記事を訪問していただきありがとうございます。

2021年1月10日(日)に実施された
日本不整脈心電学会による第6回心電図検定4級を受験しました。
今回は受験した感想と問題のレベルなどについて書いていきます。



私は関東地方のとある私立大学に通っている(た)理学療法学科4年生です。稚拙な文章ではありますがどなたかの役に立てばいいなと思ってます。

2021年2月下旬には理学療法士国家試験を控えていましたが
国試前のこの時期に受験を決意した理由はズバリ、

学生のうちに心電図検定を取りたかったから

これに尽きます(笑)

大学の先生で心電図検定を持っていらっしゃる先生がいること、実習で循環器のリハビリを見学したこと、自分も心臓リハビリの分野を目指していること、などの理由から本検定を受験しました。


タイトルの通り私自身、心電図検定を受けようと思い立っていろいろ調べていると、医者・看護師の学生や他医療系有資格者の受験体験談や学習方法などはよくヒットしますが、理学療法学生に向けての情報がほとんどないと感じました。そもそも4級の学習方法・出題範囲は? また理学療法の学生にとって心電図検定4級のレベルはいかなるものか、よくわからないまま受験を迎え、不安な気持ちでいっぱいでした。


そこで私と同じように対策に困った方のお役に立てばいいなと思い、学生目線から、以下の内容

・そもそも心電図検定とは
・理学療法学生にとって検定はどれくらいのレベルか
・どんな試験問題が出たか
・どんな勉強が良いか

についてまとめていきます!

*とにかくレベルや勉強法が知りたいという方は②からご覧ください:)


①心電図検定とは ~理学療法士が心電図?~

まず、心電図検定とは日本不整脈心電学会により毎年夏に実施されている、心電図に関する知識の普及・我が国の医療の質の向上につながる活動を支援することを目的として行われています。今年は新型コロナウイルスの影響で2020年8月の受験回が2021年1月に延期されました。

受験級によって制限時間が異なりますがどの級も50問マークシート形式となっています。問題の形式は、心電図(12誘導またはあるひとつの誘導)を見て異常所見・疑われる疾患を5つの選択肢から選び答える、ひたすらこれです。試験問題は試験終了後に回収されるため過去問は出回ってないようです。

★心電図検定の対象者

〇心電図検定の対象者
医師・看護師・臨床検査技師・医療系学生・医療関連業者のほか、心電図に興味を有する方であれば問いません。
引用:http://new.jhrs.or.jp/recognition/kentei/kentei-01/

さまざまな記事や対策書を見ているとやはり医師・看護師向けの試験なのでしょうか。医療関係者・医療系学生とは書かれていますがここに明確に理学療法士とは書かれていません…

試験後にTwitterをあさっているとやはり、医師・看護師が多かった印象でした

しかし、理学療法士(学生)も、特に循環器のリハビリテーション・心臓リハビリテーションに関わる人は心電図の知識は持っておくべきなのは言わずもがな!

受ける価値は十分にありそうです


★各受験級のレベル

2019年(第5回)に初開催された4級、そして3級2級、上は1級(合格者のうち成績優秀者にマイスターの称号が与えられる)まで4つの級に分かれています。

私は4級を受験しました!!

なんとなんと、4級の開催は今回で2回目!!
(そりゃ情報が少ないわけですね…)



公式サイトに記載されているレベルは…

4級:心電図の基礎的な判読力を有するもの(循環器勤務数年のメディカルプロフェッショナル、心電図に興味のある医学生など)(マークシート50問)
引用:http://new.jhrs.or.jp/recognition/kentei/kentei-05/


…?!?!


一番低い4級でさえ、循環器勤務している人、そして医学生を対象として想定しています!!!

参考までにほかの級も (^^)

3級:心電図の基礎~中等度の判読力を有するもの(一般臨床医、循環器勤務メディカルプロフェッショナル)
2級:心電図の中等度~高度な判読力を有するもの(一般循環器勤務ベテランメディカルプロフェッショナル)
1級:心電図の高度な判読力を有するもの(循環器専門医、心電図に深く精通したメディカルプロフェッショナル)
マイスター:心電図の極めて高度で専門的な判読力を有するもの。1級合格者のうち、高得点者から認定する
引用:http://new.jhrs.or.jp/recognition/kentei/kentei-05/


★コロナ禍での受験… 会場の様子は?


以下、私が受験した東京有明会場の様子です。


今年はこの社会情勢の中の受験でしたので、
・募集定員が例年の半数
来年度(2022年1月実施)への振り替え受験申請可能
・徹底的に感染対策(マスク着用・体温チェック・ソーシャルディスタンス・換気・アルコール消毒)


ここからは憶測になります
4級の部屋は全部で80席ありました(数えました)が、私の目測で受験率は50%程度だったと思います。(きっと、多くの人が振り替え受験申請したのだと思います) 会場は、元々定員が少ない&ソーシャルディスタンス&振り替え受験者多数のため、かなり空いていました。

スタッフの方は全員、不織布マスクにフェイスシールドをしていました。また、100人程度の受験者にもかかわらず、大変大きなキャパの部屋が用意されており、受験者同士の距離を保てました。入場の際にはサーモカメラによる体温測定、アルコール消毒実施を徹底。

以上、協会の徹底的な取り組みのおかげで
安心して会場に入ることができました。


★試験の率直な感想

私は学生ながら心電図検定を受けるくらいなので、理学療法士国家試験レベルの心電図の問題なら得意ですし、心臓リハビリチームで実習を行った際も興味をもって心電図を読む練習をしていました。

今回の試験対策の勉強も楽しかったですが感想は率直に、、



やっぱり難しかった!!!



詳しい内容について次項でまとめます


②理学療法学生にとって4級のレベルはどれくらい? ~国家試験と比較して~


★理学療法士国家試験で問われる心電図波形

必要な知識として、
・心室性期外収縮(多源性、連発、RonTなど)
・心房性期外収縮
・心房細動/粗動
・心室細動/粗動
・心室頻拍
・房室ブロック(Ⅰ~Ⅲ度)
・ST上昇(心筋梗塞)

選択肢に出てくる程度で、
・WPW症候群
・ブルガダ症候群
・右脚/左脚ブロック

こんなところでしょうか?
間違いや付け足しなどあればコメントで教えてください


おそらく理学療法士国家試験に受かるためだけの勉強だったら、各波の時間の正常値であったり12誘導のそれぞれの意味など、細かく覚えていなくても解ける問題がほとんどでしょう。特に心房細動や心室頻拍など、見ればすぐ分かるものがほとんどです。

(実際、第56回理学療法士国家試験で出題された心電図も一瞬でわかるものでした。)


4級はそれでは全然足りません。


★4級で出題される心電図波形

4級に出た波形を下にまとめます。上記の波形の十分な理解に加えて、以下の用語・事項の理解が必要になります。

・完全/不完全右脚ブロック
・左脚前枝/後枝ブロック
・二枝ブロック(完全右脚ブロックと左脚後枝ブロック、完全右脚ブロックと左脚前枝ブロック)
・洞性徐脈/頻脈
・洞不全症候群
・房室ブロック
・洞房ブロック
・接合部補充収縮
・心房頻拍
・トルサード・ド・ポワンツ
・発作性上室性頻拍
・発作性心房性頻拍
・右室/左室肥大
・異常Q波(心筋梗塞)
・異常P波(右房/左房負荷)
・右軸/左軸偏位

・十二誘導の詳細
・下壁:Ⅱ、Ⅲ、aVF
・側壁:Ⅰ、aVL、V5、V6
・前壁:V1、V2、V3、V4

・胸部誘導R波高不足
・電極のつけ間違い
・ノイズの有無
・アーチファクト

・・・!!!!!



最初はこの量の多さに驚愕しました
(絶対これだけじゃ足りない。もっとたくさんあったと思います。)
(足りないものがあればコメントで教えてください(泣))


この中でも、一部国家試験で選択肢の一つとして出題されるものもあると思いますが、国家試験レベルとしては深い理解は必要ないように思います(誤答選択肢であることがほとんど)


私が考察するに、
理学療法士国家試験で問われる心電図はリハビリ介入中に患者の変化をある程度観察できるレベル。対して心電図検定4級は、医者として適切な診断をする第一歩、また看護師・医療従事者として適切な報告ができるようになるレベルであると学生ながらに考えました。


そりゃあもちろん、理学療法学生には難しいわけです。


③実際にやった勉強法 ~使用教材など~

使った教材はこちら

【1|ゼッタイわかる 心電図・心エコー図の読み方】

画像1

医学教育出版社より ”ゼッタイわかる 心電図・心エコー図の読み方” 

この本は心電図に加え心エコーについても書いてありますが、
心電図のパートだけ使って学習しました。
心電図の12誘導の基礎から各疾患別波形の特徴を学びます。

各波形の特徴が詳しく書いてありますが、心電図学習初心者でもわかりやすい表現で書いてるので私もわかりやすかったです。

最短で学習をするならこちらは2~3週間で完成させたいです。


【2|臨床心電図解析の実際】

上記の本で、ある程度理解が深まってから並行して使い始めたのが
こちらのサイト→→  ”臨床心電図解析の実際”

心電図検定を主催している日本不整脈心電学会が作っています!PDF版になっている12誘導心電図と分かりやすい解説がついています。無料で見れるので重宝していました!

このPDFでは、上記の本+αの知識を入れながら実際に心電図を読む練習をしました!

実際の検定問題の出され方がこれと似ていると感じました。


【3|心電図検定公式問題集&ガイド】

画像2


心電図検定公式問題集&ガイド(2級/3級)


はい、最強問題集!!

2級/3級と書いてありますが出題傾向や選択肢の出され方が本番とすごく似ています!やっぱり公式問題集ですから、ある程度知識がついたら本書のような類似問題でたくさん演習すること、対策はこれが一番だと思います!!!

問題ごとに★の数で重要度が分けられています
4級を受ける上では以下のように解く問題を選ぶといいと思います。

★★★:星3つの問いはじっくり理解&暗記
★★:星2つは解説読む程度
★:星1つは飛ばしてok!(やるに越したことはないが。)


実は、こちらは購入したものの対象が上の級だから必要ないと思い、少しだけしか取り組みませんでした。試験後に見直してみたら類似問題がたくさんあったのでやっておくべきだったと猛省。選択肢や問題の出され方も本当に同じような感じです。


こちらの教材は心電図の各波形を6割ほど理解したあとに、最短で勉強をするなら検定1~2週間前から取り組むといいと思います。


勉強方法をまとめると、

1、心電図の基礎・疾患別の波形の特徴を暗記(2~3週間)
2、心電図をたくさん見る、診るポイントを学ぶ(隙間時間)
3、公式問題集で問題演習(1~2週間)

1~2か月ほどしっかり詰め込めば学生でも合格することはできると思います!私は国家試験対策も並行してやっており、とにかく時間がなかったので、検定対策にフォーカスした学習をしていました。本質的にやるならもっと時間をかけて他の参考書も見たかったなあと思います…


そして、結論。

理学療法学生にとって心電図検定4級は
理学療法士の国家試験対策だけでは
難しいです



逆にしっかり学習して受験すれば、周りと確実に差ができますね!!!



◎おわりに


ここまで読んでいただきありがとうございました。


2月中旬、ちょうど国家試験1週間前頃にウェブ上で合格発表があり、
見事合格することができました!!

めちゃめちゃ嬉しかったです(^_-)-☆


ここまで読んでくれた理学療法学生の皆さん!

心電図に少しでも興味があったら
まずは4級からチャレンジしてみませんか?

就職してからきっとチヤホヤされるよ?!(笑)



この記事が参加している募集

#最近の学び

181,796件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?