デジタル依存からの脱却、内なる声を聴く旅
人生の中で、突如として全てが停止する瞬間があります。私にとって、それは全てのやる気が消え失せた瞬間でした。SNS、インターネット、仕事—これら日常の一部となっていたものから、私は2ヶ月の離脱を余儀なくされました。この経験は、私の人生観を根本から変える契機となりました。
私は以前、世界でもトップクラスのスマホ依存症だったと自覚しています。誇れることではありませんが、生活のほとんどの時間をスマホに費やしていました。仕事中は8時間パソコンに向かい、休憩時間はTikTokで無限にショート動画を見る。外出先では暇さえあればTwitterやInstagramをチェックし、就寝前はベッドでYouTubeやNetflixを延々と視聴する。つまり、自由な時間のすべてをスマホに使っていたのです。1日のスマホ使用時間は8時間を超え、寝る以外は常にデジタル機器を触っている状態でした。
この生活が脳に悪影響を与えることは知識として理解していましたが、実際にそれをやめることは困難でした。ここに、知識と実践の乖離という現代人が抱える大きな問題が存在します。私たちは多くの情報を持っていますが、それを生活に活かすことの難しさに直面しているのです。
さらに、ChatGPTにのめり込んだ時期は事態を一層深刻化させました。昼夜を忘れて没頭し、睡眠時間は3時間程度まで減少、眠れない日さえありました。その結果、精神的な病に陥り、1年間仕事を休むという事態に至りました。これは単なる重度のデジタル依存症ではなく、現代社会が抱える根本的な問題の縮図だったのです。
この経験を通じて、私は「本当に大切なこと」について深く考えさせられました。しかし、それは決して容易なプロセスではありませんでした。頭では理解していても、心で納得するには相当の時間を要します。これこそが、知識と智慧の違いと言えるでしょう。知識は外から得られますが、智慧は内なる経験を通じて培われるものなのです。
日々の生活の中で、私たちは本当に大切なことを忘れ、些細なことに囚われがちです。それは、大海原で方向を見失った船のようなものです。波に揺られ、風に流され、本来の目的地を見失ってしまう。現代社会において、私たちは常にこの危険と隣り合わせにいるのです。
しかし、この激しいアップダウンを経て、自分自身を大切にすることの重要性も理解しました。自分を大切にすることが、結果として大切な人たちを守ることにつながるのです。この気づきは、自己犠牲を美徳とする日本社会において、特に重要な意味を持ちます。
そこで私はデジタルデトックスを決意しました。これは、ノイズに満ちた現代社会からの一時的な離脱であり、自己との対話の時間でした。この期間、私は自分と向き合い、本当に大切にしたいものを見つめ直しました。家族との時間を大切にし、自分の感情と向き合い、心を整理する時間を持ちました。それは、心の中に溜まった埃を掃除するような作業でした。
その過程で、私は自分の内なる声にじっくりと耳を傾けることができました。現代社会では、常に外からの情報や刺激に晒されているため、この内なる声を聴くことが極めて困難になっています。しかし、この声こそが私たちの本質的な欲求や価値観を示しているのです。
その結果、私の中に穏やかな意欲が湧いてきました。それは、激しい炎のような情熱ではなく、ゆっくりと湧き出る清水のような、静かで持続的な意欲でした。
特に、文章を書くことへの情熱を再確認しました。
他人との比較ではなく、自分自身の満足のために書くことの喜びを感じています。これは、競争社会の中で見失いがちな、本質的な創造の喜びです。
この経験から、私は「本当に大切なこと」を見失わないよう、常に自分自身と向き合う大切さを学びました。それは簡単なことではありません。日々の忙しさや社会からの圧力の中で、私たちは自分自身を見失いがちです。しかし、定期的に立ち止まり、自己と対話する時間を持つことで、私たちは自分の人生の舵取りを取り戻すことができるのです。
そして、それを実践しながら、新たな喜びと意欲を見出すことができました。これは、人生という長い旅路の中での、ひとつの重要な転換点だったと言えるでしょう。私たちは常に変化し、成長する可能性を秘めています。その可能性を引き出すためには、時に立ち止まり、自己を見つめ直す勇気が必要なのです。
最後に、この経験から学んだ最も重要なことは、人生におけるバランスの大切さです。仕事や社会的責任を果たしながらも、自分自身や家族との時間を大切にする。外の世界とのつながりを持ちながらも、内なる自己との対話を忘れない。このバランスを保つことが、真の充実感と幸福感をもたらすのだと、私は確信しています。
現代社会は効率性や生産性を重視するあまり、このバランスを崩しがちです。しかし、真の幸福や成功は、単なる外的な成果だけでなく、内的な充実感からも生まれるのです。このバランスを意識的に保つことが、持続可能な幸福と成功への鍵となるでしょう。
これからの人生も、きっと様々なアップダウンがあるでしょう。しかし、この経験を糧に、私はより強く、より賢明に、そしてより自分らしく生きていけると信じています。そして、この気づきを多くの人々と共有し、共に成長していけることを願っています。
私たちは皆、この複雑な現代社会を航海する船の船長です。時に嵐に遭遇し、方向を見失うこともあるでしょう。しかし、内なる羅針盤を信じ、時に立ち止まって方向を確認する勇気さえあれば、必ず自分の目指す港にたどり着けるはずです。
この旅路は決して容易ではありませんが、それゆえに価値があるのです。一人一人が自分の人生の主人公となり、真の幸福と成功を追求する。そんな社会を目指して、私はこれからも思索と実践を重ねていきたいと思います。
★参考文献
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