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夜のエッセイを始めます。

夜のことを想う。

音楽を垂れ流しながら時間が過ぎることを願った夜
ここではないどこかへ逃げたいと願った夜
朝が来なければいいのにと泣きじゃくった夜

このまま時が止まってしまえばいいのにと思った夜
帰りたくないねって皆で騒ぎ散らかした夜
二度とこんな時間は味わえないなと感じた夜

部屋、学校、駅のホーム、バイト先、病院、クラブ、カラオケ、あの子の家、知らないバーetc、色んな場所で色んな夜を過ごした。思い出せば苦しくも愛おしくもなる。

中学生の時、不登校になった。朝が怖くて怖くて、しがみつくように夜を過ごした。
朝になれば皆が学校へ向かうだろう。私は学校へ向かうことができない。取り残される劣等感と罪悪感を抱えながら、逃げるように外が明るくなる頃に寝ていた。そんな毎日が永遠に続くような気がして、ただただ絶望しては心が擦り減っていくのを感じていた。

そんな中学生時代だったので全日制の高校に通うことはできず、定時制の高校に通った。夜間の工業高校だった。18時から始まる授業。教室から見える景色が大好きだった。定時制に通う生徒は皆どこか中学の頃とは全く違い、不思議と親近感と安心感が感じられた。工業高校ということもあり趣味が似ていたり共通の話題も多くあって、とても楽しい4年間だったのを覚えている。

高校の縁があって、偶然といえるくらいうっかり美術大学に入れた。多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科。今はもう存在しない、これも夜間の学科。幻のような学科だったと思う。
ここで私は踊り始めたり、作品制作に没頭したり、学内外と色々なステージに立つようになる。生きていてもいいんだなと思えたのがこの頃で、ステージによって生かされていると初めて感じた時期だった。

大学卒業後は映画館で終電までバイトをしたり、ホステス業をしたり、相変わらず朝が苦手だった私は夜が中心の生活を続けた。ダンサー業も夜が主な活動時間なので性に合っていた。

最近、親友に「気がついたら夜ばかりに生きている」なんて話をした。
そうしたら「夜に好かれているね」と返ってきて。
その言葉を聞いて、マリリン・マンソンの言葉を思い出したりする。

「ドラッグが好きなんじゃない。ドラッグの方が俺を好きなんだ」

夜に好かれているのかはわからないけれど、夜に生きていると感じる。

夜について書いてみようかなと思う。
私が過ごした夜の数々。

「夜のエッセイ」として、始めてみようと思います。

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