見出し画像

髪色をめぐる冒険

今まで一体何度髪色を変えただろう?
茶髪、金髪、銀髪、ピンク髪、青髪、紫髪、緑髪...控えめに言ってこれくらいだろうか。

私にとって髪色を変えることは気分転換みたいなものだった。全く別人のように変身できるたびに、わくわくもしたし安心もした。新しい自分になれたようで。

左から2017年→2018年→2022年→2023年現在

そんな風に頭皮や毛根を痛めまくっていたのだけど、ある時に気がついた。

「私は一体、何になりたいんだろう?」

度々髪色を変えてイメチェンを計ることで「新しい自分」にはなれるが、またすぐ飽きてしまう。その繰り返しに自分がどこへ向かっているのか、何を求めているのか、そもそもどんな風になりたかったのか、よくわからなくなってしまったのだ。とても途方に暮れた。

それこそ髪色を変えるほどに「カメレオン」の気分になり、自分らしさがどこにあるのかわからずアイデンティティさえ見失ってしまった。

そんなことを繰り返すうちに、地毛の黒髪に何周も何周も回ったのちに戻ってきた。今は黒髪がしっくりくるし納得している。もう頭皮も毛根も痛めつけなくていいし...。

ただ私はここまでやらないと、わからなかった。自分のなりたい姿を追い求めて何年だろう?考えたら気が遠くなるけれど納得いくまで髪色を変えファッションを変え、トライアンドエラーをひたすら繰り返して今の状態に落ち着いた。本当に、やっっとのことである。

私はやってみないと気が済まなくて、なんでも試してみたくなるタイプで。我ながら厄介な性格だなあとうんざりもしたけど、そのおかげで今の自分が在るとも思っている。過去の自分が冒険をたくさんしたから、今の私がいる。

似合うとか似合わないとか、落ち着くとか落ち着かないとか、やって体感してみないとわからないもので。貪欲に迷子になりまくった。自分で自分を信じられなくもなった。私はいつも何をやってるんだろうと、何回も何回もアホらしいと思った。この冒険には終わりがないのではと不安にもなった。

今、この路頭に迷う冒険は終わり自分らしい自分を楽しむためのスタートラインを過ぎたところ。つまり髪色をめぐる冒険を経て、私は私を取り戻すことに成功したのだ。

リスクはあれど(何をするにも、だけどね)、がむしゃらに冒険するのもいい。冷静に冒険するのもいい。悩むことはあれど、どんな時も楽しく冒険するのが最短距離なのかもしれない。時間は当たり前にかかる。人にもよる。

だけどその冒険を終える頃、私は私の想像を超える私になっているだろう。身体に、心に、スッと軸が通ったみたいな心地のよい状態だ。

あの時、冒険をして良かったなと思う。
当たって砕けろみたいな好奇心と行動力だったけれど、破壊なくして創造なしとはこのこと...。時にはデンジャラスでエキセントリックな冒険も必要みたいだ。私が、より私になるためには。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?