OBOGインタビュー#1
OBプロフィール
名前
飯野福哉さん
派遣概要
1996年 チェコ 化学系研究所
経歴
経歴1994年東北大学工学部分子化学工学科卒業。東京大学大学院にて工学系研究科化学システム工学を専攻、修士で中国の砂漠化、ダイオキシンの生成機構に関する研究で博士号を1999年に取得。 その後、アメリカ連邦環境保護 国立リスク管理研究所にて博士研究員、産業技術総合研究所 研究員やコネチカット州立大学勤務を経て、2004年より国連大学にて学術研究官としてアジア沿岸水圏プロジェクトを担当。2010年からウィーンの国際連合工業開発機関(UNIDO)にて工業開発官として主に旧ユーゴ、西アフリカ、南アジアを担当中。
インタビュアー:57期学生委員 大塚萌
取材協力:株式会社クロスアビリティ 様
研究者から国連へ
Q1 どうして研究者から国連での勤務へとキャリアを移されたのでしょうか。
国際条約批准や国連に関係するようなキァリアを研究者になる前からずっと希望していました。国連での勤務を目指している人は、やりたいことに向けてどんなキャリアパスであろうとも絶えず、目標への努力を続けるべきだと思います。
Q2 UNIDOでの業務内容について教えてください。
私の専門は国際条約実施であり、プロジェクトマネージメントが主な仕事です。今の所、化学物質やエネルギー効率の改善をするために各国が批准した条約を実行するお手伝いをしています。国連大学にいた時から、後進国の支援をしないと国連にいる意味がないと思っていたので、そうした国々に対して開発支援と復興をパラレルでやっていくことが大切だと思います。最近はアフガニスタンやエリトリアといったまだ開発への道に乗り切れていない国への支援を行っています。
「暮らしやすい街ランキング1位」
Q3 ウィーンでの暮らしで印象的なことを教えてください。
ウィーンはエコノミストの「世界の暮らしやすい街ランキング1位」ということで、そこでの生活にまったく文句はありません。
ただ、観光と実際住むことはやはり違っていて、住んでいるとその社会の現実的ないいところや悪いところを見ることができます。その中の一つとして、ウィーンはトランザクションコストを下げる努力をしていることが挙げられます。例えば、ウィーンでは駅に改札を設置せず、チケットポリスがたまに切符を確認しに回ってくるという方法を採用していますが、機能的に問題はないし、改札の費用を抑えることもできています。その反面、サービスが行き届かないゆえに、帰りの遅い日や日曜日はお店が全部閉まっているし、仕事もないということがあるのですが、最近はずいぶん慣れてきて、逆に今は家族との時間を大事にできています。
スキルで英語力を補う
Q4 イアエステインターン時の研修内容と思い出を教えてください。
研修は電気化学の分野で、スキル的には現地でも十分通用したため、その分野での実験の中ではかなり重要なところを任せていただけました。 チェコは教育の質が高く、最終的に私の実験結果から2本論文を出すことができました。イアエステのいいところは、英語ができなくても、技術や知識といった他の分野で勝負ができるところですね。逆に、国連機関で働く場合には英語のコミュニケーションができないと仕事にならないため、英語の運用能力が大きく求められるといえます。
また、イアエステのインターンを経験して、一番の良かったことは英語を少し話せるようになったことです。当時、英語の訛りがひどく強いスコットランドの同僚と地下鉄で通勤していましたが、最初は全く彼が何を言っているのかがわからず、ほとんど会話になっていませんでした。しかし、1カ月たった頃、彼の話している内容が少しずつわかるようになり、そのあとは徐々に英語に慣れていくことができました。
ギブアンドテイクのインターン
Q5 海外インターンはキャリア形成においてどのような意義があると思いますか。
職務経験のない人が行くことが多いと思うので、そういう人にとって、ビジネスエチケットのようなものを実際に仕事をしながら学ぶことができるという意味でインターン自体重要です。それに加え、海外でその経験をするということは、日本社会からでて、自分の常識が通用しないような環境で、観光旅行気分が抜けた時ぐらいにどれくらい勝負できるか図れるのがいいところだと思います。
また、インターンでの仕事ぶりによってはその次の仕事のオファーがくることもあります。ですから、キャリアパスにおいては、国連機関に限らず、その次の仕事を見つけるという就活の一部と捉えて行って欲しいです。この意味でも、インターンではギブアンドテイクの関係を受け入れ側と築くことが最も大切です。日本人学生はしばしば、インターンで0から完全に習いに行くような感じがすることがありますが、それは頭を切り替えなければなりません。
横と縦の繋がりを大事に
Q6 最後に、これから飛び立つ学生に一言お願い致します。
まず、自分がやりたいことがはっきりしてる人は、できれば行く前にそのインターン先で上司になるであろう人まで理解していくのがいいと思います。上司によって同じ場所でも経験がかなり変わってくるので、大学院の教授、研究室を選ぶような感じで、職場だけでなく、上司の特徴や働き方までわかってインターンできれば望ましいでしょう。ここからさらに、上司や上司の同僚と交流し、縦のつながりを作っていってください。
また、現地に実際に行く場合は、先ほど言いましたギブアンドテイクはもちろんのこと、その職場社会にどっぷりつかって楽しんでください。職場の人との交流は全く時間の無駄ではなく、むしろ自分の見識を広げることにつながるのでとても重要です。こういったことが苦手な人も多いかと思いますが、インターン同士で集まる機会などがあった場合には、ノーと言わずにぜひ参加してください。これらのネットワーキングをインターン中続ける人と続けない人で、インターン終了時までに、その職場で得られる情報量や何かを依頼できる影響力に大きな差が生まれます。ぜひ、自分のカンファ―トゾーンを一歩、二歩出て、インターンを充実したものにしてください。
取材:IAESTE57期学生委員 上智大学 大塚萌
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