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最近の記事

濱口竜介 悪は存在しない

濱口竜介のファンとして映画公開からすぐに鑑賞はしていたが今まで感想を寝かしていた。この作品を語るために十分な時間が必要だったかもしれない。 石橋英子のライブパフォーマンス用の映像として始まった作品であれよあれよと偉大な賞を獲得する濱口監督の手腕。こんなこと狙ってできるものではないし改めてクリエイティブは生き物で未知の可能性を秘めている。 冒頭の木々の不穏な映像と音楽が途中でぶつ切りになり雪の上を歩く足音やチェンソーの音がより鮮明に響き渡る。ハッピーアワーのような会話劇に魅

    • 結婚できない男

      春ドラマが次々と終わり夏ドラマ前の空白期間。毎日1時間の楽しみを途絶えさせないために久しぶりにこのドラマを再生した。 2006年夏に放送されたシーズン1。18年経った今でもナンバー1。阿部寛と夏川結衣をはじめ登場人物全員がその役を誠実に生きていて観る度に新しい発見がある。ちょい役の尾美としのりがいるかいないかで作品の豊かさが変わることにしみじみ気づいた2024年。 一話完結のストーリーの中で偏屈で人間嫌いだった建築家の桑野が周りの女性や犬に振り回されながらも成長していく人

      • 木村拓哉 YouTube

        最近よく観るYouTubeはキムタク。カッコいいと何億回も言われた男はどんな場面でも自分の正義を貫く。そんなヒーローの一挙手一投足を間近で観られるのはお得感が半端ないって。 その中でもキムタクとメシの組み合わせは最強だ。ガストの回と納豆アレンジの回と森山直太朗とお蕎麦屋さんに行く回が特に好き。美味そうに食べるというか本気で対象に立ち向かっている姿に毎回釘付けになる。 SMAPの解散だって正義と正義のぶつかり合いの結果。再結成は今のところ難しいかもしれないがあの時代を共に過

        • Destiny

          何気なく観た1話から心を掴まれ最終回まで離脱することなく楽しめることができた。1話1話の物語も役者の演技もカメラワークも一切無駄がなく洗練されていて誰が観ても一定の満足感を得られるだろう。9話で終わるところも過不足なく素晴らしかった。 10代の頃から活躍してきた石原さとみと亀梨和也の緊張感のある真顔とたまに緩和される笑顔に何度も魅了された。このドラマを経て2人を起用するクリエイターが増えることは間違いないし、脇を固めた手練れ俳優達も良いアクセントになっていた。主役でも脇役で

        濱口竜介 悪は存在しない

          アンメット ある脳外科医の日記

          今クールはたくさんドラマを見ている。その中でも一番好きな作品はアンメット。 SNSの考察を盛り上げるためVIVANT以降どのドラマも過剰なほど伏線を張り巡らす。このドラマももちろん伏線はあるが、主演の杉咲花と若葉竜也をはじめとする役者陣の佇まいが群を抜いて素晴らしい。物語を超えて毎週彼らに会いたくなれば人間ドラマの勝利だ。 気づけばバクバク美味しそうにご飯を食べている杉咲花と細長いグミを無機質に食べる若葉竜也。映画海街diaryでは死を扱う時間が多く占めるため食のシーンを

          アンメット ある脳外科医の日記

          青年団 銀河鉄道の夜

          こまばアゴラ劇場サヨナラ公演第二弾。宮沢賢治の代表作を平田オリザがフランスの子供たちに観てもらうために1時間に収め配役も少数で挑んだ作品。 学生時代はほとんど本を読むことはなく宮沢賢治も完全にスルー。この歳になってようやく出会うことができた。 人間は生まれた時から1人でばらばらだけど宇宙から地球を見れば一つの点に過ぎない。世界中で繰り広げられる醜い争いがちっぽけだと気づかされる救いの言葉だった。 カンパネルラとの銀河鉄道の旅を経て本当の幸せとは何かを考えるジョバンニ。そ

          青年団 銀河鉄道の夜

          星野源のオールナイトニッポン in 深夜のファミリーレストラン

          なんとも素敵な回だった。執筆やアルバムの構想など創作の入口として通っていたファミレスで愛を語るラジオ。星野源がはじめにオーダーした山盛りポテトというメニューを聞き一気に蘇る学生時代。 音楽を中心とした作品の話を気心知れた仲間とだらだら話す。ロックバンドの4枚目のアルバムは実験すべきだとか。深夜から朝方まで何時間もずっと。毎週当たり前に行われていたあの時間があったからこそ今の仕事でもアイデアがふつふつと湧いてくる。 緩やかな連帯を生み出していたファミレスとカラオケの思い出は

          星野源のオールナイトニッポン in 深夜のファミリーレストラン

          青年団 S高原から

          ここ数年こまばアゴラ劇場に通いお弟子さん達の舞台を何度も観てきたが、今回の閉館に向けたサヨナラ公演で遂に師匠平田オリザの舞台を体験できた。そんな個人的な感動とは裏腹に至極淡々とした内容で叩きのめされるとは。 まずは客がぞろぞろと席に座る開演前から舞台上に俳優がいることが新鮮で、演劇がいつもの日常と何も変わらないことを宣言しているようだった。 そして療養所のラウンジに集まる人々の何ものでもない会話。特に大きな事件が起きるわけではないが常に死を予感させる不穏さが最後まで続く。

          青年団 S高原から

          藤井風 tiny desk concerts JAPAN

          ヒップホップやR&Bのアーティストが肩の力を抜きながら披露する極上パフォーマンスを見てきたから、初の日本版として歌とピアノを極めたこの男の登場はとてもワクワクした。 日常と地続きの余白たっぷりの演奏。机に花を飾るようにモノクロの日常に彩りを与えてくれる音楽。そして今週リリースしたばかりの新曲をこの場で披露するプレゼント。また一つ名曲が誕生した。 本人は相変わらずの立ち振る舞いで景色がどんどん変わっていく。そうこうしているうちにコーチェラで平然と歌っている未来が当たり前にや

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          街裏ぴんくと村上春樹

          初めてR1グランプリを最初から最後まで観た気がする。そして街裏ぴんくの漫談と衝撃的な出会いを果たした。 寺内貫太郎のような見た目が一番のフェイク。とても聞きやすい語り口と声質がしっかり根を張りながら、話す内容はぶっ飛んだファンタジー。 乾いた文体でスイスイ読み進めていくうちに気付けば異世界に連れていかれる村上春樹のようだった。 夢はでっかく根は深く。地下で芸を極めればカラフルな娑婆が待っている。

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          清原惟 すべての夜を思いだす

          偶然と想像や春原さんのうたでも眩しいくらい街の光を映したカメラマン飯岡幸子。彼女の生み出す日差しを浴びたくて地元からはるか遠い映画館に足を運んだ。 多摩ニュータウンの朝から夜までの何気ない1日。各世代の女性3人が直接的に交わることはないが、私たち観客と今はいないあの人の視点を経て重なり響き合う。 火を絶やさないために次々に灯される手持ち花火が示すように、たくさんの家族がこの街にやって来てそしていつか去っていく。1日の出来事の中に人と街の記憶すべてが詰まっていた。 風に揺

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          オードリーのオールナイトニッポン

          東京ドームライブを成功させた翌週の通常回。各界から絶賛の嵐を巻き起こしみんなが注目する中、何も触れないことも少しだけ期待したが満を持してのアフタートークが聞けた。 春日の最初の登場シーンでの一悶着や大仁田厚をオマージュしすぎて漫才時の登場の歩き方がいつもと違くなってしまったり、アリーナではなくスタンド席にした日テレのメイクさんに会って怒られた話などあっという間の2時間だった。 M-1で初めて知った日から誰がこんな未来を予想できたのか。深夜ラジオという場所でひたすら自分たち

          オードリーのオールナイトニッポン

          オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム

          待ちに待ったオードリーの東京ドームライブ。どんなステージを魅せてくれるのか全く予想もつかずに本番を迎えた。 結果いつも通りのおともだちなオードリーで安心した。まる天井を見上げて背伸びをするのではなく、自分達の足元を掘り下げることでキラキラしたネタが溢れ、どんなに巨大な箱でも2人をとても近くに感じることができた。たけしも松本明子もフワちゃんも星野源もコナンも特別ではなくいつもの日常。 それにしても東京ドームでPOP VIRUSをまさか2回聴けるなんて。ギャンブル運は全くない

          オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム

          三宅唱 夜明けのすべて

          是枝裕和、濱口竜介に続き地元のシネコンで新作を楽しみにできる日本人監督がまた1人増えて嬉しい。 明確なゴールが用意されているわけでもないが、母親が編んだ手袋のようなぬくもりが観終わった今でも確かに残っている。 社長の弟が遺したカセットテープが示すように演技を超えた役者達の声の響き重なり合いが実に心地良い。そして16mmフィルム越しに映る何でもない風景と光がこの作品の素晴らしさを決定付けている。 一人一人何かしらの傷や痛みがあるけれどそれに絶望するのではなく、時には誰かの

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          宮藤官九郎 不適切にもほどがある!

          やっぱ金曜10時はクドカンだよね。長瀬智也がいなくなっても阿部サダヲがここにはいる。 バカリズムがブラッシュアップライフで平成を振り返り、今度は宮藤官九郎が昭和をロックオン。バスや教室で当たり前にタバコを吸うシーンにはそうだったっけと素直に驚かされた。 コンプライアンスを逆手に取り視聴者と共犯関係を組む手法は水曜日のダウンダウンみたいだ。阿部サダヲが昭和の価値観で令和の息苦しさをどう打ち破っていくのか今後も楽しみ。 そして終盤に突然披露される胡散臭いミュージカルもクセに

          宮藤官九郎 不適切にもほどがある!

          映画 ゴールデンカムイ

          2024年一発目の映画鑑賞。特に好みのジャンルではないし原作もアニメも未見だったが十分楽しめることができた。 歴史、動物、バトル、料理、コメディをちりばめ2時間ダレず続編も気になるバランスの取れたエンタメ作品。 山崎賢人とアシリパファンにはたまらないアイドル要素もあり、映画を名刺がわりに原作とアニメに向かう人も多いだろう。 久しぶりに聴いたACIDMANが一番不死身だった。

          映画 ゴールデンカムイ