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道くさ食って、生きてきた(WEB版)

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初エッセイ本「道くさ食って、生きてきた」に収録されているエッセイ集です。本用に編集していない当時の書いたままのエッセイ12本をお楽しみいただけます。本に収録されている書き下ろし3…
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#コラム・エッセイ

渡り鳥はちょっぴり貧乏

私は、ひとつの場所にずっと留まり続けることができない。 大学生のときは、憧れて入ったサークルを1年で辞め、その後はファッションショーの広報やらフリーペーパーの制作やら、やりたいことをやりながら、卒業までのらりくらり過ごしていたし、社会人になってからは、新卒で入った安定した会社を3年で辞め、人間関係に恵まれた転職先を2年で辞め、しまいには不安定なフリーランスの道を選んだ。 こんなふうに転々としてきたのは、居心地が悪かったとか、組織で働きたくないとか、そんな後ろ向きな理由から

日が沈むまで眠りたい

「眠るのが好き」と言うと、つまらない人間だと思われるかもしれないけれど、私は眠るのが好きだ。 安物のマットレスに、ニトリの布団。ちょっとへたった枕に、無印のパジャマ。平凡でチープな私の睡眠生活。 それでも私は、このひとときに、とてつもない幸福を感じている。寝て起きたら夕方だったときも「1日を無駄にした」なんて思わない。むしろそれは、私にとっては最高な過ごし方ですらある。