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3人娘の冒険譚『映像研』を御覧じろ!

突然ですが皆さん、妄想することはお好きですか。
アニメはお好きですか。モノづくり、お好きですか。

女子高生は好きなんじゃないですか。

どれも当てはまらねぇわという人にも全部当てはまるわという人にも、ぜひともチェックしていただきたい作品があります。
それが『映像研には手を出すな!』です。


1分でわかる「映像研」

『映像研には手を出すな!』(以下『映像研』)は、『月刊!スピリッツ』で連載中の、大童 澄瞳(おおわら すみと)さんによる漫画作品。
2016年に連載が始まるやいなや、TV Bros.のマンガ賞「ブロスコミックアワード2017」大賞を受賞した話題作です。
2020年1〜3月にNHKでアニメが放送され、さらに大きな話題を呼びました。

アニメの制作を担当されたのは映画『夜は短し歩けよ乙女』などでおなじみ湯浅政明監督&スタジオ「サイエンスSARU」。キャラクターデザインは『おそ松さん』などの浅野直之さん。

この布陣を見ただけで神アニメの予感を感じ取る人も多いはずですが、大正解です
実際にアニメをきっかけに作品にハマった人は数多く存在し、例にもれず私もその一人です。
アニメがまじで最高だったんで絶対絶対観ていただきたい。最後に書きます。

2020年には、乃木坂46の齋藤飛鳥さん主演で実写化(映画&ドラマ)が放映されました。短期間での展開スピードが凄まじいのですが、それだけ注目が集まっているコンテンツなのです。

さて、「アイドルが配役されてるってことは女子高生のキラキラ青春ストーリーなのかな?」と想像されるかもしれませんが、映像研には恋愛やオシャレといった女子高生らしいテーマは一切含まれません。

では一体何がテーマの作品なのか?

答えは創作活動です

映像研のメインキャラクターたちは、主にアニメーション制作を活動内容に掲げる「映像研究同好会」略して映像研に所属して活動しています。
物語の大半は、映像研での活動を中心に進んできます。

活動内容だけ聞くとあまり馴染みがないかもしれませんが、高校生の部活と侮るなかれ。
創作活動にプロ並みの情熱を注ぐ女子高生たちの姿がかっこいいんです。

製作費は?宣伝は?理想と納期との兼ね合いは?などなど、モノづくりの楽しさやつらさのリアルがとにかく詰まっています。
モノづくりをしている人もしていない人も共感できるところがあるし、ふとしたセリフやキャラの行動にはっとさせられたり、学びを得ることができる。それが私の考える『映像研』最大の魅力です。


才能と魅力溢れる登場人物たち

初期のおジャ魔女どれみ・あいこ・はづき、乱太郎・きり丸・しんべヱ、キャッツアイ、ズッコケ三人組、サトシ・カスミ・タケシ…など、おもろい作品でメインキャラを担うのはだいたい3人組と相場が決まっております。

この映像研も例に漏れず、メインで活躍するのは3人。
ビジュアル的にも、身長低め・標準・高めと揃っていてバランスが良く、性格も三者三様で全員個性的なんです。

以降では、映像研の世界を大冒険する愛すべきキャラたちについて、原作のコマ付きでちょっとばかし語らせていただきます。


「最強の世界」の要!浅草みどり

3人の中でも本作の主人公に当たるキャラクター。
アニメの設定画を担当していて、日常の風景をベースに発想したことをスケッチブックに描き溜めています。
アニメ制作においては「設定が命」で、自分の考えた「最強の世界」で大冒険するのが夢です。

浅草氏はとにかく想像力豊かで好奇心旺盛、そして知識の幅が凄まじい。
生き物、機械まわり、建造物など、幅広い知識を持っていますが、人付き合いが苦手でちょっぴり臆病なのが愛せるポイントです。
また、一人称は「ワシ」、「〜じゃよ」が語尾についたりべらんめえ口調になったりと、女子高生らしからぬ独特な話し方をします。

ちなみにアニメで声を担当されているのは、女優の伊藤 沙莉さんです!
あどけなさがうっすら残るハスキーな声が絶妙にハマっていて、なんてナイスな配役なんだと舌を巻きました。

映像研はどうやら子供たちにも人気だったらしいのですが、私が幼い頃にこのアニメを見ていたら確実に浅草氏の話し方を真似てただろうな…。


アニメーターは立派な役者なんだよ!水崎ツバメ

売れっ子カリスマ読モで有名人。両親が俳優で実家が超金持ちで、金銭感覚がズレています。
両親からは俳優になるように言われているものの、本人は断じてアニメーター志望。
キャラクターの動きに相当こだわりがあり、アニメーションでよりリアルな動きを表現・演出することに命をかけています。

両親に反対されてもなお夢を諦めないアツい人で、普段は極めて明るく振る舞いますが、創作活動に関してはプロ並みのプライドを持っていて情熱的。そのギャップが素敵です。

読者モデルとしての自身の知名度を映像研の宣伝活動に活かすことに躊躇いながらも、アニメーション制作を続けるためには身を削ることも惜しまない芯の強さもカッコイイんです。

個人的な話になりますが、私は幼い頃から絵を描くことが好きで、オリジナルの漫画を描いたりしていたこともありました。
が、いつのまにか専門性を極めて尖る道を諦めてしまっていました。
そういう自分の弱さに後々になって気づいた身としては、水崎氏の意思の固さには憧れを抱かざるを得ません。

あと10年早く、映像研に出会いたかったなあ。


唯一無二の超・現実主義者!金森さやか

アニメ制作に関する知識がなく、アニメ自体にもあまり興味を持っていませんが、この人なくして映像研は回りません。

金森氏はプロデューサー的ポジションを担っており、外部との交渉やマネタイズ・広報など、「映像研の活動を持続し利益を生み出していくためにはどうすべきか」を常に考えて行動します。
とにかくクレバーで冷静沈着、ドライで毒舌。利益を出さない活動や綺麗事が大嫌い。

高校1年生でここまで有能なビジネスパーソンが果たして存在しうるのでしょうか。尊敬の念しかありません。上司になってほしい。ガン詰めされそうだけど。

3人の中では唯一の現実主義者なので、クリエイター気質な浅草氏・水崎氏に頭を悩ませることも多いようです。実際にアニメ制作に関わる業界の各人から最も共感されるキャラクターなのかもしれません。

さらに、マクロな視点で見てみても金森氏の存在は結構重要です。

おそらくほとんどの「映像研」の読者・視聴者は、アニメに関する専門的な知識を持っていません。同じく制作に関する知識は持っていない金森氏が、作中で他メンバーに質問を投げかけるシーンが度々挟まります。
それによって都度説明が入るので、こちら側の知識がなくてもストレスなく物語を楽しめる仕組みになっているわけです。


3人の関係性

キャラクターたちを理解する上で重要なポイント。
浅草氏や金森氏曰く、3人は友達ではありません。

高校の部活動に熱心に取り組んでいた人や、モノづくりを仕事にしている人には共感できる発想かもしれません。
ただ一緒に遊んだり、仲良くしたりするために繋がっているのではなく、個々人がひとつの目標に向かって進んでいくために繋がっている。
3人は、アニメ制作という目的のもとに手を組んだ「仲間」なのです。


リアルと架空をシームレスに行き来する表現

私がアニメで一番衝撃を受けたポイントです。

物語の中では、浅草氏を中心に妄想が語られるシーンが多いのですが、現実世界で会話していたかと思いきや、次の瞬間には突然空想の世界に入り込んで冒険していたりするのです。
言葉にするとなんのこっちゃと思われるでしょうが、こんな感じです。

3人が実際にアニメの中の世界=架空空間に入り込み、演出や表現について議論したり、構想を膨らませたりするんですね。
この演出の没入感がすごい。
クリエイターのリアルな発想が具体的に伝わってきますし、3人と一緒に冒険しているような気分を味わえます。
この独特な演出が、映像研の最もユニークなところなんじゃないかと思っています。

この「アニメ化不可能」とまで言われた演出を見事に映像化し話題を呼んだのが、2020年に放送されたアニメなんです。


まずはアニメ「映像研」を御覧じろ!

ここまで読んでくださり、気になるかもと思ってくださった方に朗報です。
2021年5月、ついに『映像研には手を出すな!』のNetflixでの配信がスタートしました!
これでいつでもどこでもアニメ映像研が観られますよ。

個人的に神アニメか否かはオープニングで決まると思っているのですが、映像研のオープニングはとにかく中毒性が高くて、毎回スキップせずに全部観てました。

女性2人組の HIPHOPユニット・chelmicoのキャッチーでポップな音色に映像がハマりまくり!

そして「映像研中毒」になってしまった方は、ぜひDVD・Blu-rayBOXを買いましょう。私もまんまとポチりました。
なんなら上映会を開こうではありませんか。


最後に。

原作者の大童先生が岡田斗司夫さんのYouTubeチャンネルに出てた回が結構おもしろかったのでよかったら観てみてください。

内容を要約すると、オタクとオタクが大声で話してます(大失礼)。

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