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利益のメカニズムと利益感度

こんにちは。やまりです☺

本日は、「低成長時代でも着実に利益を上げたい」と考えている方に向けての記事です。

今回は、「小さな会社の儲けの仕組みの教科書」の概要をご紹介します。

盛りだくさんな内容の本なため、今回は「はじめに」と第1章のみを取り上げ、それ以降の内容は来週の記事で取り上げます。


外部環境の変化に対して「要注意」な企業とは

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業が多大な影響を受けました。

経営体力が弱い中小企業において特に重要なのは、こういった外部環境の変化の影響を最小限に抑えることができるよう、普段から企業の体質を強化していくことです。

当面の資金繰りという短期的な対策に目を向けがちですが、持続的に会社を存続させていくために、根本的な事業のあり方を見直すことが中・長期的には重要です。

・顧客から選ばれるための価値提案が充分にできていない(従属的な取引関係)。
・特定顧客への売上依存度が高い(1社の依存度が30%以上)。
・特定社員が事業活動の重要な役割を握り、他の社員では代替できない(業務の属人化)。
・意思決定のスピードが遅い。
・現在の利益の状況を即座につかむことができない。

以上のような「要注意」企業が、外部環境変化の影響を受けにくい、強い企業体質に生まれ変わるための原理原則を、事例を交えて本書では紹介しています。


利益のメカニズムと利益感度

企業継続の条件であり、持続的成長のための必要コストでもある利益が、事業活動の中でどのように生まれるのかというメカニズムを理解しておくことは、経営者にとって必須のスキルと言えます。

シンプルに考えると、
経営は、事業を運営するためにかかった固定費を、商品やサービスを販売して得た限界利益で回収していく作業で、
限界利益が固定費を上回った分が利益として会社に残ります。

利益を生み出すための方策は
①単価アップ
②数量アップ
③変動費率ダウン(=限界利益率アップ)
④固定費ダウン
の4つしかありません(詳しくは来週の記事で取り上げます)。

損益計算書には、「利益」という言葉が5つ(売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前当期純利益、当期純利益)出てきますが、この中に「限界利益」という言葉が出てこないことが、限界利益へ意識が向かない要因であるとも考えられます。

税務申告向けに毎期作成している財務諸表は、「全部原価計算」という方式で作成され、これで作成した損益計算書に限界利益が出てこないのに対し、固定費と変動費を分けて計算する方式に「直接原価計算」があり、限界利益を使って利益の計算を行います。

【全部原価計算】
・固定費もすべて製造原価に含める。
・「固定費と変動費に分けずに、全部が製造原価になる」

【直接原価計算】
・製造に関する費用を固定費と変動費に分け、変動費だけを製造原価として、固定費は期間原価と考える(製造原価に固定費は含まない)。
・「その期間に発生した変動費のみが直接的に製造原価になる」

全部原価計算と直接原価計算の最も大きな違いは、全部原価計算では、「作れば作るほど製造原価が安くなってしまう」ということです。

【全部原価計算】
製品を需要よりも多めに生産して売れなかった分は、在庫として棚卸資産になり、製造原価は、固定費の一部が棚卸資産に積み上げられていくため、作れば作るほど安くなり、利益率は上がっていく。
→実際は、棚卸資産に含まれる固定費の存在によって、損益計算書上の製造原価以外にも支出が発生しているため、資金繰りが悪化している可能性もあり、最悪の場合、黒字倒産につながる。

【直接原価計算】
固定費をすべて期間原価とするため、製造原価は全部原価で計算された場合よりも高くなり、利益率も低くなる。
→実際の支出と費用が、ほぼ同時期に計上されることになるため、より正確な原価と実際の収支を算出することができる。

税務申告においては、税法の決まりに従って、全部原価計算で財務諸表を作成しなければなりませんが、日々の損益管理は直接原価計算で行って、限界利益をしっかり管理することが重要です。


次に、企業の費用構造(固定費型or変動費型)によって変わってくる利益感度について見ていきます。

【利益感度】
利益の増減に影響を及ぼす程度

固定費型の場合、
最も利益感度がいいのが単価アップ、
次に固定費ダウンor数量アップ、
最も感度が鈍いのが変動費ダウンです。

それに対して、変動費型の場合、
最も利益感度がいいのは単価アップで同様ですが、
次に変動費ダウンor数量アップ、
最も感度が鈍いのが固定費ダウンとなります。

いずれの場合でも、「単価アップ」が最も利益に敏感ということは、値上げに成功すれば利益増へのインパクトが大きい反面、安易な値引きが利益減に与える影響も大きいということを意味します。

ライバル店への対抗策として、値引きという選択肢はありますが、価格競争で勝ち残るのは、その市場において基本的に一社のみです。

大手企業が規模の経済性を活かして製造コストを下げ、利益を確保した上での値引きによって競合に勝つことができれば、そこには戦略が存在しますが、
中小企業は、基本的に規模を活かした調達や製造が困難なため、企業努力による値引きではなく、自社の利益を減らした値引きとなってしまうケースが通常で、そこには戦略が存在しません。

着実に会社を成長させるためには、
まずは現状の利益分析をして、会社全体の売上、費用、限界利益の全体構造をつかみ、
次に、顧客別や商品別の限界利益一覧表を作成することで、具体的な打ち手が見えてきます。


最後に

今回は、「小さな会社の儲けの仕組みの教科書」の「はじめに」と第1章の内容をご紹介してきましたが、いかがでしたか?

第2章以降の内容は、来週の記事で取り上げますので、「この記事の続きが気になる!」という方は、ぜひフォローの上、更新をお待ちください☺


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

「この記事を読んで良かったな」
「利益を生み出すための方策を詳しく知りたい!」
と少しでも思っていただけたら、
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