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築地本願寺の経営学

こんにちは。なごみ地蔵です☺

本日は、「マーケティングに興味がある」という方に向けての記事です。

以前、とある番組で築地本願寺が取り上げられていたのをきっかけに興味を持ち始めた私は、実際に行ってみる前にある程度知識を入れてから行きたいとの思いから、図書館で「築地本願寺の経営学」を借りてきたので、今回はその内容を一部ご紹介します。


「はじめに」から読者を惹きつける力が強い!

築地本願寺は、東京都中央区にある浄土真宗本願寺派のお寺で、会社組織に例えるなら、本山本願寺(西本願寺)の東京支店的存在でした。

ところが、2012年春の大きな組織改革により、築地本願寺はいわば東京本部もしくは子会社(直轄寺院)として位置づけられました。

この本では、築地本願寺という「古い枠組みにとらわれていた老舗寺院」が、10年間で40億円を投じてどのようにリブランディングし、伝統を生かしながら変わろうとしているのか、その改革について具体的に紹介されています。

この本の著者・安永雄彦氏は、銀行勤務、コンサルティング会社の経営を経て、50歳で僧籍を取得し、2015年7月に築地本願寺の代表役員・宗務長に就任された「ビジネスマン出身僧侶」というのも面白いポイントです。

ちなみに、築地本願寺の代表役員・宗務長という役職は、築地本願寺という「老舗宗教法人の代表役員」、宗派を親会社とする直轄寺院たる「最大子会社の社長」という位置づけです。

VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代に生き残ることは、お寺や僧侶だけでなく、多くの企業とビジネスパーソンに共通する課題であるため、この本は幅広い方にヒントを与えてくれるような、そんな期待感が「はじめに」から伝わってきます!

それでは、本編の内容のポイントをご紹介していきます。


第1章 新たな時代に変わらない価値をつくる

「〇〇家」を引き継いでいかねば、という意識や、先祖への義務感は、代々引き継がれる家業が隆盛である場合などを除いて、現代の人たちにとっては意味がないものになりつつあります。

このことは、伝統的な寺と家との関係である檀家制度の崩壊を招いています。

現代の日本において、お寺と人々のつながりが一番強くなる「お葬式」も、「儀礼的なものだ」と考える人が増え、そこにお金をかけなくなってきています。

一般葬は減少傾向にあり、身内だけで小規模に見送る「家族葬」や、通夜と告別式をまとめて行う「一日葬」、通夜と告別式は省略して火葬によって葬儀とする「直葬」が増加傾向にあり、初七日や四十九日もまとめて葬儀の際に行う「繰り上げ法要」も珍しいものではありません。

人口減少、核家族化、檀家制度の崩壊、そして人々の宗教離れにより、お寺の経営破綻は時間の問題となっています。

日本のお寺の数はおよそ7万7,000と言われていますが、今後20年で30%は消滅するとも言われています。

そこで安永氏は、築地本願寺のサバイバル戦略として、「ヴァーチャル・テンプル」(スマート・テンプル)になることが、ブランド化して生き残る唯一の方法と考えました。

着想のヒントとなったのは、「必要なものが確実に揃っていて、いつでもアクセスできて、すぐに届く」という利便性から絶大な信頼を勝ち得ているアマゾン・ドット・コムです。


第2章 開かれたお寺の「顧客創造」

2012年に浄土真宗本願寺派が新体制となるにあたって、築地本願寺は「宗教法人本願寺築地別院」から「宗教法人築地本願寺」となり、宗派の中では全国唯一の直轄寺院となりました。

本願寺派全体の伝道布教改革の首都圏における先導者となるにあたり、以下の3つの目標を掲げました。

・首都圏の新たな門信徒を拡充する
・危機的状況がより深刻な地方のお寺のハブとなり、支援する
・地方から都会に出てきたかつての門徒と、お寺との縁が切れないようにする

事業計画の第1期は、築地本願寺がもっと開かれたお寺になることを目指し、「ひらけ!!築地本願寺。」をスローガンに、「『寺と』プロジェクト」を立ち上げました。

まず、人と寺院の「新しいつながり」を提案するにあたり、「まずご縁をつくる、そしてご縁をつなげる」ために以下の3つのステップを考えました。

【ステップ1】
広く一般の人たちに「足を運んでみよう」と思ってもらう

【ステップ2】
「あのお寺なら相談しやすそうだ。話に行こう」と思ってもらい、関係を深める

【ステップ3】
関係が継続した人たちに門信徒になっていただく

そして、3つのステップの実現にあたり、以下の5つの改革案をつくりました。

1.インフォメーションセンター
2.築地本願寺合同墓
3.会員制度「築地本願寺倶楽部」
4.気軽に電話相談、法要予約や合同墓説明会資料請求・予約ができる「築地本願寺コンタクトセンター」
5.サテライトテンプル「築地本願寺GINZAサロン」

1つ目のインフォメーションセンターは、みんなが足を運びたくなるような複合施設を境内に新たにつくり、これまで縁がなかった人たちとのファーストコンタクトの場を広げました

誰もが気軽に立ち寄れる場所を目指してつくられた「築地本願寺カフェTsumugi」「18品の朝ごはん」は「インスタ映えする」という予想外の反応があり、女子大生からシニアまで女性が行列するほどの大人気となりました。

2つ目の築地本願寺合同墓は、多くの人が求めている「これからのお墓」として、築地本願寺の立地の良さを生かした、誰もが気軽に訪れることができるシンプルなお墓です。

3つ目の築地本願寺俱楽部は、入会金や年会費もないゆるやかな会で、門徒のみならず誰でも迎え入れており、「人生サポート」を提供しています。

人生サポートは、
・心のサポート
・生きがいサポート
・終活サポート

の3つを合わせたもので、

「心のサポート」としては、仏様や親鸞聖人の教えを僧侶がわかりやすくお話しする「常例布教」と、仏事やお墓のことだけでなく、さまざまな日常の悩みを僧侶が個別に聞く「僧談」があり、

「生きがいサポート」としては、「築地本願寺GINZAサロン」にて仏教や歴史、ヨガ、生花、著名人のトークショーなどが1回1,000円という安い参加費で楽しめる「KOKOROアカデミー」という講座をつくり、

「終活サポート」としては、葬儀や合同墓だけでなく、生前整理、遺言・相続、法律相談、ライフプラン、自分史の作成サポート、メディカルサービスまで幅広く用意し、外部の専門家と連携するシステムをとっています。

4つ目の築地本願寺コンタクトセンターは、パソコンやスマホが苦手なシニア世代でも気軽に問い合わせができるようにと設置されたものです。

(5つ目の築地本願寺GINZAサロンについては、第3章に記述されていたため、次の章をご覧ください。)


第3章 お寺は「人生のコンシェルジュ」

築地本願寺では、「広く一般の方に知ってもらおう」という気持ちで、仏教布教に貢献できると考えられる場合に限り、コンサートやイベントの会場として場所を提供しています。

そこでのご縁を次の仏縁に結びつけるために、一般企業でも大切にしているCRM(顧客関係管理)データの整備を築地本願寺でも取り組み始めました。

ライフステージごとに先回りしてサービスを差し出したら、築地本願寺は多くの人にとっての「人生のコンシェルジュ」になることができます。

また、築地本願寺が“相談のハブ”になって、信用のおける専門家を紹介する仕組みをつくれば、「エンディングステージのワンストップ拠点化」が実現します。

第2章で挙げた5つの改革案の5つ目、築地本願寺GINZAサロンは、「生きがいサポート」として学びと体験の場を提供しています。

「こころ・仏教・教養・体験・終活」の5つのジャンルを合わせて「KOKOROアカデミー」の講座を行うだけでなく、仏事やお墓のこと、そして生活の不安や人間関係の悩みを個別に相談できる「よろず僧談」という機能も備えています。

相談機能を強化するために、武蔵野大学の臨床心理学の教授と合同で、医学的な対応が可能なグリーフケアの個人カウンセリングも始めました。

他にも、eラーニングの寺子屋「お寺の学び舎」をオープンしたり、LGBTカップルの仏前結婚式を受け付けたり、結婚相談所「築地の寺婚」で縁結びをお手伝いするなど、さまざまなかたちの「顧客創造」を目指しています。

緊急事態宣言下で生まれた「オンライン法要」や、「YouTube築地本願寺チャンネル」でのユーチューブ法話により、ヴァーチャル・テンプル構想が現実的なものとなってきました。


最後に

「第4章 目標を共有できる仕組みをつくる」では、CRM(顧客関係管理)のインフラを整備したり、MBO(目標管理制度)を導入したり、「社外のMBA研修」「寺院内のミニMBA」でリーダーを育成するなど、人材マネジメントやリーダーシップについて紹介されています。

「第5章 なぜ働くのか、なぜ生きるのか」では、安永氏自身のキャリアの作り方、考え方について書かれています。

「終章 なぜ「新たな時代」に仏教が必要なのか」では、死を恐れず、「一日一生」を生きる大切さについて書かれています。

気になった方は、ぜひ「築地本願寺の経営学」を手にとってみてください☺️


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

「この記事を読んで良かったな」
「築地本願寺に行ってみたくなった」
と少しでも思っていただけたら、
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