見出し画像

あの癒しロボット特許20年 (知財系ライトニングトーク#14拡張オンライン版2021秋)

この記事は、知財系ライトニングトーク #14 拡張オンライン版 2021 秋の発表です。

あのロボット

期限切れになる特許を流し見、そこで見つけた発明の名称「愛玩用ロボット」。見てみるとそれは見知ったあのロボットでした。

「愛玩用ロボット」特許

特許第3854484号である。20年前、2001年10月15日に出願された。

特許権の範囲を示す「特許請求の範囲」、その書きぶりはいろいろと気になるところがあるもののスルーして、内容をごく雑にまとめると次のようなものだ。

根元が本体内の電極プレートに固着され、毛先に球状部がある導電性の髭(ひげ)と、
髭への人の接触や近接を、電気成分の印加有無に基づいて検知して所定の反応をする本体(ぬいぐるみ)とからなる愛玩用ロボットで、
検知手段の構成が何やら特徴的である。

ひげを触るロボット? 読んでもピンとこなかったが、図面を見てピンときた。

画像2

パロだ!

パロとは

有名癒しロボットである。アザラシ型。国内外の介護施設などでおおいに活躍し、何度も報道されている。穏やかな表情の年配のご婦人がパロの背中を撫ででいるシーンをよく覚えている。

2002年に「世界で最もセラピー効果があるロボット」としてギネスブック認定された。米や独で医療や介護の保険適用対象にもなっているのだそうな。


が、ひげ触ったっけ?

と思いグーグル先生にお尋ねしたところ、、、ありました! ひげセンサ!

画像2

この特許発明、使われてます(か)ね~。さすが出願から20年まで特許権を維持したくなる発明!(維持にはお金がかかるのです!)

パロといえば、癒しロボットのさきがけ。

「こんなロボットにこんな癒し効果が」「まあびっくり、すごい」なんて、「ロボットに癒される」にも説明が必要だった頃のロボットである。今や当たり前に理解される概念となった。QooboやLOVOT、ロボットたちが多くの人を癒している。20年てすごい。特許権、お疲れ様!(無理矢理まとめにかかる!)

蛇足であるが筆者はセグウェイを体験すべくつくばに行った際、その乗車前の手続き場にパロがいたので、パロを思うとついでにセグウェイも思い出す。ゴールデンペーパードライバの筆者が最初に(そして今のところ最後に)運転免許証を運転のために使った日である。なつかしや。

おしまい

筆者 @sylacwa (twitter)

特許第3854484号の請求項1全文は下記のとおり。

導電性素材のしなやかさを有した線材から成る髭(1)が植設され、内部に、当該髭(1)への人体の接触又は近接により印加された電気的成分の有無を判定すると共に、人体の接触により印加された電気的成分有りとの判定を得た際に接触認定信号を出力する触感検知手段(2)と、前記接触認定信号を受けて所定の動作を実行する反応手段(3)を具備し、
前記髭(1)は、その先端に球状部(4)が設けられ、且つその基部が、ぬいぐるみに埋め込まれた導電性を持つ電極プレート(6)の表面に両者の導電性を確保しつつ固着され、
前記触感検知手段(2)は、前記電極プレート(6)が接続される入力保護回路(7)と、人体接触成分加算回路(8)及び基準回路(9)から成る充・放電回路(5)と、当該充・放電回路(5)に対して充放電のタイミングを与える発振回路(10)と、同充・放電回路(5)の人体接触成分加算回路(8)と基準回路(9)との出力の差分を検出する差分検出回路(11)と、前記差分のレベルと閾値たる基準レベルとの比較を行い接触認定信号の出力を行うレベル判定回路(12)を具備して構成される愛玩用ロボット。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?