第25節 名古屋グランパスvsアビスパ福岡 レビュー
スコアはどちらも1点差。
だが内容は異なる。完敗を惜敗に変えた。
間違いなく成長は見せた。
だから余計に、悔しい気持ちは強くなった。
おそらく、選手達の心境も近いものがあるのではないだろうか。
昨日行われた名古屋グランパスとの一戦。
グランパスといえば、やはり5年ぶりのJ1となった今季の開幕戦。期待を持って挑んだ試合だったが開始早々に失点、攻撃面ではチャンスらしいチャンスを作れなかった。
オウンゴールでなんとか1点は奪ったものの、J1の厳しさを突き付けられた一戦だった。
あれから約半年。懸命の戦いで勝ち点を重ね、現在では中位に位置している。
チームとしても個としても、開幕戦からの成長度合いを測るにはこのグランパス戦が持ってこいの試合であった。
悔しさを晴らしたかった一戦
そんな一戦でアビスパは前半をスコアレスで終え、ゲームプラン通りに事を運べていた。J1の個、強度に後手を踏んだあの時とは違う。
強固な守備ブロックを維持しながら、カウンターから攻撃の形もある程度作ってみせた。
チームとしての完成度が向上し、さらに中村駿が加わったことで中盤の強度は開幕当初よりふた周りは増していた。
ただ。やはりグランパスもあの時とは違っていた。
アビスパにとっての最大の誤算は、この夏に加わったストライカー、シュヴィルツォク。
現役のポーランド代表FWで今夏のEUROにも出場した実力者は後半から出場すると、4分後の49分だった。左45度でパスを受けると反転。マークが僅かに離れた一瞬の隙を突き、サッカーゲームで見るような完璧なシュートを対角線に放ったのだ。
ここからアビスパも必死の反撃を繰り出したが決定機はほぼ作れず。結局シュヴィルツォクに奪われた1点が響き、グランパスから勝ち点を得ることは出来なかった。
アビスパとしては山岸の好調ぶり、渡の復帰といったポジティブな要素もあっただけに勝ち点1でも取りたかったが、悔しさをはらすのは次回へと持ち越しとなる。
次戦の相手は首位・川崎フロンターレ。
文句の付けようがないほどのクラブだが、三笘薫と田中碧が海外移籍をしたこともありベストを尽くせば何かが起こる可能性はある。
リーグ戦再開後守備の強度は連勝時に近付いているため、結果を出して自信を掴みたい。
採点(及第点は5.5)、寸評
GK村上昌謙 7.0 1失点してもチーム最高評価。それほどビッグセーブが多かった。
DFエミル・サロモンソン 5.5 惜しいFKは放ったが、一方で対面の森下等のスピードに苦戦。
DF奈良竜樹 6.0 サロモンソンが上がったスペースをカバーしたが、失点の場面でシュビルツォクを僅かに離してしまったことが悔やまれる。95分には決定機を阻止。
DFドウグラス・グローリ 6.0 タイトな守備で最少失点に抑えたが、イエローカードを提示され次節は出場停止に。
DF湯澤聖人 6.0 志知、輪湖と本職がいる中でも実力で掴んだスタメン。惜しいクロスを供給した。
MF金森健志 5.5 安定してタフに戦えるが、攻撃面で吉田豊の対人守備の強さに悩まされた。
MF前寛之 6.0 ミスが極めて少なく、他の誰よりも安心して見ていられる選手だ。
MF中村駿 6.0 連携の向上か、縦パスを入れる場面も増えてきた。
MF田邉草民 6.0 中央寄りのポジショニングから攻守に貢献。3人目のCHとも言うべき働きだった。
FWフアンマ 5.5 献身的に戦ったが、空中戦での迫力がややなりを潜めていることが気がかり。
FW山岸祐也 6.5 セレッソ戦で得点を決めたことがメンタル的に良い影響となっているのか、しっかり攻撃の起点となった。これを継続できるか。
FW渡大生 5.5 フアンマに代わって70分から出場。最前線から追える彼が帰ってきたことは大きい。
MF杉本太郎 5.5 田邉に代わって70分から出場。精力的に動き、76分に好クロスでこの試合イチのビッグチャンスを演出した。
MFジョルディ・クルークス 5.5 金森に代わって70分から出場。キックの精度、キープ力で確実に右サイドの陣地を回復してくれる存在。ただこの試合ではゴール方向にはあまり向かえず。
長谷部茂利監督 6.0 前半はゲームプラン通りだろう。しかし後半は、まだデータの少ない強烈な個にそれを壊された。
印象的な場面:レフェリーのポジショニング。やや左寄りに立つことが多く、左サイドを起点に攻める際にスペースを消すことがあった。もう少し柔軟な立ち位置でも良いのでは。
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