第32節 ヴィッセル神戸vsアビスパ福岡 レビュー
3位vs8位の一戦はその順位に違わぬ好ゲームとなり、より上位につけるヴィッセル神戸が勝利を収めた。
アビスパ福岡のサポーターとしては悔しさが残るものの、この試合はヴィッセルの強さを称えたい。
前半戦
ヴィッセルは4-1-3-2というべきシステムで、1ボランチのサンペール、トップ下のイニエスタを中心にパスワークで崩してくるチーム。
中央から崩すことを最優先に、それが無理ならばサイドからという意識が徹底されている。
4-4-2がベースのアビスパとしてはサンペールをフリーにしないことが1つの鍵。
前半は組織でケアし続け、奪ってからの速攻も冴えていた。
中央を崩されたのは10分の、ボージャンにシュートを打たれたシーンぐらいのものだった。
前半をスコアレスで終え、後半勝負になったことはアビスパ福岡のゲームプラン通り。
28分の湯澤のクロスを金森が決めていればより良かったが、とはいえ得意の後半に先制する流れは出来たかに思えた。
後半戦
ところが、現在3位につけACL出場権を狙うヴィッセル神戸の勢いは後半落ちなかった。
それどころか、ホームの声援を力にアビスパをより押し込むことに成功した。
攻められても耐え抜き、攻め疲れともいうべき相手の隙を突くことはアビスパが得意としていること。
だが、ヴィッセルも運動量任せでない攻めを繰り返していたために攻め疲れることがなかった。
61分にイニエスタが決定的なシュートを放った辺りから流れはより顕著に。
押し込むヴィッセル、押し込まれるアビスパ。
アビスパとしてはDFラインを下げられたことで前半のように人数をかけたカウンターを見せることがままならなくなってしまった。
身体を張った守備でなんとか耐えていたが、選手交代を経ても試合の流れは変えられず。
失点を喫したのは86分。左からのクロスをドウグラスに決められてしまったのだが、これ以前から危険な形が多くついに決壊した、という印象を受ける。
アビスパは92分にジョン・マリがGKと競り、クルークスがシュートを放つという惜しいシーンを作ったが得点ならず。
0-1での敗戦となった。
採点(及第点)5.5、寸評
GK村上昌謙 5.5 ナイスセーブもあったが、ポストギリギリに飛んできたヘディングシュートは止められず。
DFエミル・サロモンソン 4.5 肝心要のキックの精度を大きく欠いた。らしくないプレーに終始。
DF奈良竜樹 6.0 プレーの波が少ないことはDFとして大きな強み。この試合でも高さと強さを見せた。
DF宮大樹 5.5 堅実な仕事はしたが、元日本代表・武藤嘉紀の上手さに苦しめられた。
DF湯澤聖人 5.5 積極的な攻撃参加をみせ惜しいクロスを供給したが、失点の場面ではドウグラスに競り負けた。
MF金森健志 6.0 前半から豊富な運動量で攻守に貢献。28分の場面を決めていれば。
MF中村駿 6.0 バランスを見ながら、良いタイミングで攻撃参加する場面ありボールを奪う場面ありと好プレー。
MF前寛之 5.5 自由にさせてもらえないのは評価されているが故の苦しみ。さらに上に行くためには球際の強さが必要だと分かった試合ではないか。
MF田邉草民 5.5 SHとして、はたまた3人目のボランチとして、チームのバランスを取っていた。
FWフアンマ 6.0 前半はポストプレーに守備にシュートにと奮闘したが、後半は運動量が低下。
FW山岸祐也 5.5 守備面の貢献は大きかったが。58分の場面は無理矢理にでも右足を振り抜きたかった。
FWジョン・マリ 5.0 フアンマに代わり70分から出場。ゴール以外に、もう少し安定した活躍を見たい。
MFジョルディ・クルークス 5.0 金森に代わり70分から出場。良さよりも、失点のシーンでの守備の軽さが目立ってしまった。
FW石津大介 5.5 山岸に代わり76分から出場。古巣相手に安定したプレーは見せたが、ビッグチャンスには絡めず。
DF輪湖直樹 採点なし 湯澤に代わり87分から出場。
MF杉本太郎 採点なし 田邉に代わり87分から出場。
長谷部茂利監督 5.5 事前準備はハマったが、交代策はハマらず。とはいえJ1残留を果たしたことは本当に素晴らしい。
印象に残った場面
2019シーズンの後半はアビスパでプレーした、ヴィッセルのSB初瀬亮。当時からキックの精度は高かったが、球際の強さや思い切りの良さなど成長を感じさせた。
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