うろ覚えむかしばなし シンデレラ

あやふや度 ★☆☆☆☆

むかし、ヨーロッパまたはその付近にシンデレラと呼ばれる女の子が住んでいました。
女の子は、継母とその2人の娘にいじめられ、召使のような生活をしていました。
それというのも、シンデレラの母親はシンデレラが小さいころに亡くなっており、男手ひとつで育ててくれた父親は新しい妻を迎えた後で亡くなってしまったためです。新しい妻は、最初は良い顔をしていましたが、父親が亡くなってからはシンデレラをいじめるようになりました。
シンデレラという呼び方は素敵に聞こえますが、暖炉の掃除等をして灰をかぶっている、「灰かぶり」という意味でした。

ある日、シンデレラの住む国の王子が舞踏会を開くことになりました。
その舞踏会でうまく王子に気に入られれば、王子と結婚することができるという噂でした。
継母と義理の姉たちは張り切ってドレスを仕立て、きれいに化粧をして出かけました。
しかし、シンデレラには相変わらずぼろを着せて留守番をさせました。

シンデレラがひとりで掃除をしていると、優しい声で話しかける者がありました。
「シンデレラ、お城に行かなくて良いのかい」
シンデレラは答えました。
「私には素敵なドレスも乗り付ける馬車もありません。とても舞踏会には行けません」
すると、シンデレラの前に仙女が現れて言いました。
「そんなことを気におしでないよ。かぼちゃをひとつ持っておいで。それから、とかげを1匹と、はつかねずみを2匹もね」
シンデレラがそれらを用意して仙女の前に並べると、仙女が魔法をかけました。
かぼちゃは馬車に、とかげは御者に、はつかねずみは白い馬になりました。
仙女は最後に、シンデレラのぼろの着物に魔法をかけ、きらびやかなドレスに変えました。
そして懐からガラスの靴を一足取り出し、シンデレラに渡しました。
「シンデレラや、これを履いてお城の舞踏会に行きなさい。でも12時には魔法が解けてしまうから、どんなに楽しくてもそれまでには帰って来るのですよ」
シンデレラは喜び、仙女にお礼を言って出かけていきました。

シンデレラが舞踏会に現れると、そこにいた人たちは一体どこのお姫様だろうとざわめきました。
継母も、義理の姉たちも、それがシンデレラだとは気づかないまま悔しがりました。
王子は一目見てシンデレラを気に入り、シンデレラと王子はダンスを踊りました。
シンデレラは時が経つのも忘れてダンスを踊っていましたが、12時の鐘が鳴り始めるのを聞いてはっとしました。
「王子様、私、もう帰らなくてはいけません。今日はありがとうございました」
王子は引き留めましたが、シンデレラは大慌てでお城を後にしました。
あまりにも慌てていたので、お城の階段にガラスの靴を片方落としてきてしまいました。

シンデレラは、ぼろの服に片方だけのガラスの靴を履いて、みじめな気持ちで家に帰り、ずっと掃除をしていたふりをして継母と義理の姉たちを出迎えました。
「舞踏会はどうでしたか」
「なんだかキラキラした派手な服の女が来て、王子様はその女に夢中だったよ。うちの娘たちだってずいぶん素敵だったのに、いやになってしまうよ」

数日後、国中に王子のおふれが出ました。
王子が持っているガラスの靴にぴったりの足の女の子を探しているというのです。
王子の家来が、靴を持って女の子のいる家々を訪ねました。
国中の女たちが、なんとかガラスの靴に足を入れようと必死になりましたが、入りませんでした。
上の義理の姉は、小指を切り落としてなんとかガラスの靴を履こうとしましたが、だめでした。
下の義理の姉は、かかとを切り落としてなんとかガラスの靴を履こうとしましたが、だめでした。
「この家にはもうひとり女の子がいるのではありませんか?」
家来が継母に尋ねると、継母はこう答えました。
「まあ、あのシンデレラのことですか?薄汚い卑しい女の子で、王子の探しているようなお姫様ではありませんよ」
そこにシンデレラが現れ、ガラスの靴を履いてみせました。
それからポケットからもう片方のガラスの靴を出して見せました。
そして、シンデレラは王子と結婚し、末永く幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。


昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。

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