うろ覚えむかしばなし ヘンゼルとグレーテル

あやふや度 ★☆☆☆☆

むかしむかし、あるところ(ドイツ付近)にヘンゼルとグレーテルという兄妹がいました。
ヘンゼルとグレーテルはとてもやせていました。ふたりの家はとても貧しく、食べ物が足りませんでした。
ふたりの両親は、相談しました。
「ヘンゼルとグレーテルにも食べ物を与えていたら、うちは全員死んでしまう。
 かわいそうだが、ふたりを森に捨てて来よう」

ある日、お父さんはヘンゼルとグレーテルを森の奥に連れて行き、
「ここで待っていなさい」
と言って置き去りにして帰ってきました。
ヘンゼルとグレーテルは、いつまで待ってもお父さんが迎えに来ないので、自分たちで家に帰りました。
ヘンゼルは、森の道にちょこちょこ白い石を置いてきていたのです。
それを目印にして、ヘンゼルとグレーテルは家に帰りつきました。

別の日、お父さんはヘンゼルとグレーテルを森のもっと奥に連れて行き、
「ここで待っていなさい」
と言って置き去りにして帰ってきました。
ヘンゼルとグレーテルは、また自分たちで家に帰ろうとしました。
しかし、今回は家に帰りつくことができませんでした。
ヘンゼルは今回、石ではなくパンくずを道にまいてきたのです。そのパンくずは、小鳥が食べてしまいました。
目印がなくては、さすがのヘンゼルとグレーテルも家に帰ることはできません。

ヘンゼルとグレーテルは、森をさまよいました。
どれだけさまよったでしょう、どこからか甘くておいしい匂いがしてきました。
森の中に、お菓子でできた家が建っていたのです。
キャンディーやクッキー、ケーキでできた家です。ヘンゼルとグレーテルは、あちこちはがしたりほじったりして夢中で食べました。久しぶりの甘いものです。たまらないおいしさでした。

ふたりが夢中で食べているところに、家の主である魔女が帰ってきました。
お菓子の家は魔女の家だったのです。
魔女はふたりをつかまえて、ヘンゼルは檻に閉じ込め、グレーテルには召使の服を着せました。
魔女はグレーテルに言いました。
「これからヘンゼルにはたくさんごちそうを与えて太らせなさい。
 ようく太ったら、この魔女がおいしく料理して食べるのだからね」
魔女は、子供をつかまえて食べるために、おいしいお菓子の家に住んでいたのです。
「ヘンゼル兄さん、ごちそうを食べてはだめ。魔女は太らせて兄さんを食べるつもりだよ」
グレーテルはヘンゼルに伝えました。
しかし、ヘンゼルは気にしない様子でごちそうを食べていました。

数日たつと、魔女は言いました。
「ヘンゼルよ、手を出しなさい。手が太っていたら食べごろだから、見てやろう」
ヘンゼルは、ごちそうからよけておいた鳥の骨を出しました。
「なんだい、やせほそっているね。もっと食べて太りな」
魔女はがっかりしました。

また数日たつと、魔女は言いました。
「ヘンゼルよ、手を出しなさい。手が太っていたら食べごろだから、見てやろう」
ヘンゼルは、またごちそうからよけておいた鳥の骨を出しました。
「なんだい、やせほそっているね。もっともっと食べて太りな」
魔女はがっかりしました。

また数日たつと、魔女は言いました。
「ヘンゼルよ、手を出しなさい。手が太っていたら食べごろだから、見てやろう」
ヘンゼルは、またごちそうからよけておいた鳥の骨を出しました。
「なんだい、やせほそっているね。でもまあ、そういう体質かもしれないしそろそろ食べてしまおうか」
魔女はヘンゼルを檻から出しました。暖炉に鍋がぐつぐつ煮えています。これからヘンゼルを、そこで煮て食べるつもりなのです。

本当はごちそうを食べていたヘンゼルは、元気いっぱいでした。
ヘンゼルは、魔女をぐつぐつ煮えている鍋に叩き込みました。
「グレーテルや、助けておくれ」
魔女は叫びましたが、グレーテルは鍋に蓋をしてしまいました。
こうしてふたりは、魔女を煮殺してしまいました。

ヘンゼルとグレーテルは、お菓子をたくさん持って家に帰りました(※どうして道が分かったのかは謎です)。
両親も、二度とふたりを捨てようとは考えませんでした。
めでたしめでたし。


昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。

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