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【短歌一首】 最速の取り込み虚しベランダの洗濯物を雷雨一呑み

最速の
取り込み虚し 
ベランダの
洗濯物を
雷雨一呑み

連日の猛暑。
朝からすでに気温が30度近い中、強い日差しが容赦なく照りつける。
そして、毎日のように午後になってくると積乱雲が広がり叩きつけるような雨が降ってくる。夏らしいと言えば夏らしいが。

午後に雨雲が急成長

灼熱の太陽が地表を温めて大地の湿気や水分が一気に蒸発して大気中に立ち上り、これが上昇気流に乗って空で雨雲を作り、それが上空で一気に冷えて強い雨を降らす。

最近はこの午後に集中的な豪雨や夕立があることを前提に予定を組み、仕事上、生活上のリスクをコントロールしながら行動するようにしているのだが、あまりに急激な変化についていけない時がある。

南西方面の空

先日、午前中は快晴に近く、朝ベランダに干した洗濯物が順調に乾き、昼頃にはほぼ全部乾いていた。

ところが、昼頃に外から奇妙な音が聴こえてきた。カラカラ、コロコロ、ヒュルヒュルという音とともに、遠く方で鳴る雷の音も耳に入ってきた。 また午後の雨のパターンの可能性があるが、まだ空も明るいし大丈夫だとたかをくくっていた。

ベランダの空

念のため空模様をチェックしようと窓を開けて外を見たら、猛烈なスピードで青空を黒雲が覆っており、冷たい突風が吹き込んできた。家の中の物が音を立てて倒れたり舞い上がったりして、間仕切りのドアがものすごい勢いで閉まった。猫が壁を引っ掻くことを防止するために静電気を利用して壁に貼っている透明なシートが全て剥がれ落ちた。

さっきまで聴こえていたカラカラ、コロコロ、ヒュルヒュルという音がグオーン、ガオーンと吠えるような大きな音になり、次いでバサバサ、ドサドサ、ピシピシという音が猛烈な勢いで風に乗って聴こえてきた。 その数秒後には、ベランダに半身乗り出した自分の手や顔に大粒の雨が叩きつけるように降ってきた。音の正体は地面や建物を叩く雨が風に乗って一気に迫ってくる音。雷の閃光も連れて。

空が真っ二つ

せっかく乾いた洗濯物が雨で濡れてしまうと、サンダルも履かずに裸足でベランダに飛び出して、雨を受けながら猛スピードで洗濯物を取り込んだ。多分、自分史上、あれだけ急いでたくさんの洗濯物を取り込んだのは初めて。間違いなく最速スピード。

しかし、ボロ負けした。完全にやられた。洗濯物はすでにかなり雨を受けて濡れている。驚くべき暴雨の侵略スピード。 こりゃ、もう一度洗濯し直さんとダメだろうな。溜め込んでいた洗濯物をやっと洗って、雨にも警戒していて、さらに干していた洗濯物を最速のスピードで取り込んだというのに、しょんぼり、ガックリ。

西の空には雨柱

西の方の空を見ると、濃い灰色の柱が雲と地上を繋いでいる。ゲリラ豪雨の「雨柱」というやつだ。今頃、どこかの街ではゲリラ豪雨も直撃を受けている。雹も降っているかもしれない。

西の空はすでに明るい

洗濯物を取り込んでから10分もしないうちにベランダの雨は止み、風も収まり、西の方の空は晴れてきた。

それにしてもあれだけ空模様に注意を払っていたのにやられた。自分史上最速の洗濯物取り込みが全く太刀打ちできなかった天候の急変。やはり大自然の力は半端ではない、心底侮れない。人知をはるかに凌駕している。

洗濯物はやられてしまったが、大自然の脅威をあらためて感じることができた素晴らしい午後だった(ということとしたい、前向きに、負け惜しみに。)

猫間英介



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