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#3 フランス人について思うこと①

バスが、バイクに衝突した。
私の乗っているバスが、路上に停められていたバイクに衝突した。

友人にメッセージを送るべく車内でiPhoneの画面と向き合っていた私も、その出来事にはすぐ気づく。
もちろん乗客の私は「?!」という反応をしたわけだが、突撃した当の本人であるバスの運転手は、「あっ、いっけね😅」とでも言わんばかりのリアクションをしたかと思えば、瞬時にバスから降りて早歩きで倒したバイクを立て直す。そうしてまた、すぐに車内に戻ってきた彼は何事もなくバスを出発させたのである。
それはまさに一瞬の出来事だった。
私以外の乗客たちは、バイクにぶつかった瞬間こそ「え?」という反応を見せた。ところが運転手がバスに戻ると、さも何も起きなかったかのようにまた衝突以前に繰り広げていた会話を続行させている。
私は呆気に取られていた訳だが、彼らフランス人にとってはこんなこと「日常茶飯事」なのである。

"この国、どこかが変だ。"

あのホラー映画『エスター』の宣伝文句が、脳裏を過ぎる。

私はすかさず、今目の前で起きた出来事を先程まで一緒にいた友人にLINEで報告した。
すると、彼女も彼女で乗車中のバスが目の前を走るトラックと衝突(?)し、今そのバスの運転手は衝突したトラックの運転手を相手に派手な口論を繰り広げつつ、路上で煙草をぷかぷか吹かしていると言うではないか。

"この国、どこかが変だ。"

フランスに来てから1ヶ月。思い返すと一筋縄ではいかないことばかりだった。

・フランスの銀行を開設するために、4回も銀行へ実際に通って手続きをさせられる
・リヨン行きの切符が何故か自動キャンセルになり、初めに予約した切符の代金に加えて新たに更に高い切符を買わされる
・タクシー、道端では手を挙げても止まってくれず、タクシー乗り場で待ったとて一向に止まらない(タクシー乗り場の意味とは)
・郵送物、配達員が自宅までの配達を怠りがちなため、そもそも1度も自宅には届けていないにも関わらず「不在処理」。結果、わざわざ郵便局へ受け取りに行かなければいけない
・洗面所の工事、作業員が部品を忘れたという理由で1週間持ち越し

これらは、私がアジア人だからという理由で差別を受けているわけでもなければ、決してただ単に自らの不運が重なっているわけでもない。
繰り返しになるが、バスの衝突も含めて全てはこの国の「日常茶飯事」なのである。

"この国、どこかが変だ。"

同タイトルの②に続く。

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