海外ドラマ「ロック&キー」S1|感想

Locke & Key

時をかける愛」の感想その②をぼちぼち書いているのですが、思い入れがある(ありすぎる)がゆえに空回りして、全然筆が乗りません。。
代わりにサクサクと見進められた「ロック&キー」の感想をサクサクと書きます!


あらすじ

父親を殺されたロック家の3きょうだい(タイラー、キンジー、ボード)と母ニーナ。
父の家系が代々住んでいた屋敷「キー・ハウス」に引っ越してくるが、実は屋敷にはたくさんの魔法の鍵と謎が眠っていた。
3きょうだいは魔法に惑わされ、魅了されながら、魔法を我が物にしようとする悪魔と闘い、そして父の死の真相に近づいていく......
というお話。


ネタバレなし感想

比較的軽めでテンポも良く、とても見やすいドラマでした。鍵が引き起こす多種多様な魔法にワクワクできるし、一緒に謎解きしている気分も味わえます。
ただし、平和な癒し系ファンタジーでは全くありません!普通に怖いんだけど???って感じでした。
こういう魔法や超能力をテーマに「悪」と闘う作品は色々ありますが、「悪」がカリスマ性を持った闇の魔法使いだった「ハリー・ポッター」とも、"裏側の世界"の怪物だった「ストレンジャー・シングス」とも違って、「ロック&キー」の悪魔はシンプルにサイコパス。とにかく容赦がない。手段を選ばない。弱みもない。人を追い詰める時すごく楽しそうなのがまた怖い。何度もゾッとさせられました。

とはいえ、総じて軽めなドラマだったとは思います。悪魔のキャラクター造形(広く言うと「悪」そのものの造形)がシンプルで粗いがゆえの見やすさと言うんですかね。シーズン1を見た現段階だと、悪魔が魔法に固執する理由が全く分からないし、背景に何か大きなものがあるようにも見えません。そういう壮大な何かがあれば良いというものでもないですが、私はちょっと物足りなさを感じました。

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映画好きとして面白かったのが、ホラー映画の古典「シャイニング」を彷彿とさせる演出がいくつかあったことです!内容のネタバレにはならないのでいくつか紹介しますね。

まず、小学生の末っ子ボードが、人形に会話させるシーンです。不安を感じたとき自分の考えを人形に代弁させる姿が、「シャイニング」のダニーと重なりました。ダニーは自分の指に人格があって、指とおしゃべりする子でした。
子どもってこういうことしますよね。大人でも自分の頭の中で自分と話し合うことはよくあると思いますが、子どもはその自分の頭の中の自分を人形などに投影して可視化しがちな気がします。発育の過程で通る道なんでしょうかね?

また、広い屋敷の中をローラーシューズで滑るボードの足元を低めのカメラ視点で追っているシーンがありましたが、これはほぼ確実に、ダニーが三輪車に乗ってホテル内を廻る有名なシーンのオマージュだと思います。
↓該当部分から再生されます!


それもそのはず、なんと「ロック&キー」の漫画原作者は、「シャイニング」の原作者スティーブン・キング(ホラー小説の巨匠)の息子ジョー・ヒルとのこと!びっくりですね〜。
お父さん原作の映画へのリスペクト、しっかり感じさせてもらいました!

ちなみに「シャイニング」は色彩や画角や演出がよく練られていて、怖くて不気味ではあるけれど、アート作品なんじゃないか?と思うくらい芸術的センスあふれる映画です。ホラー映画のイメージが覆されます。とてもおすすめです!

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「ロック&キー」はとにかく末っ子ボードが天真爛漫で可愛かったですが、そんな弟と兄にはさまれた長女、キンジーを演じたエミリア・ジョーンズについてちょっと話します!
実は「ロック&キー」を見ようと思ったのは、エミリアちゃんが出てるからでした。映画「コーダ あいのうた」でヒロインを演じていて、彼女の存在感がとても好きになったんです。
キンジーも「コーダ あいのうた」のルビーも、なんだか似た雰囲気がありました。地味ながらも内に秘めたものがある役柄がとても似合いますね。
これからどんな姿を見せてくれるのか、とても楽しみにしています!


ネタバレ含む感想

皆さんはどの魔法の鍵を使ってみたいですか?
幽霊鍵は楽しそうだけど、扉を閉められてしまうと現実に戻って来られないなんて怖すぎました。。サムはどうなってしまったんでしょうかね。。
オルゴール鍵は、使っているうちに、ゲーブがイーデンにやったみたいに暴走してしまいそうで怖いです。
頭の鍵も使いようによっては自分が自分じゃなくなってしまうと思います。キンジーが"恐れ"を取り除いた結果、キンジーらしさを失ったように。魔法は便利ですが、その代償の大きさをよく理解して使わないといけないですね。
となると私はやっぱりどこでも鍵かな!外にいてもすぐ家に帰って来られるのは単純にありがたすぎる。

いやー、ハラハラしながらも丸く収まったように見えたシーズン1でしたが。そりゃシーズン2と3があるんだから、すんなり終わるはずなかった。
エリーの件はあんまりにも残酷ですね。ロック家に関わった人間に襲いかかる不幸、厳しすぎやしません?
そして最後の最後。ええー!そっちかい!!ってなりました。まぁ言われてみれば、キンジーの性格が変わったにせよ急すぎる"スコット当て馬展開"には無理があって、たしかに何かある感じはしたけどねえ。
でも悪魔はなんでそんなややこしいことしたんでしょうね?というか悪魔は結局何がしたいんでしょうか。
今後見進めるうちに、あっ!と驚かされたり納得させられたりすれば良いですが、どうにもシーズン3の評判があまり良くないようで。。続きを開封するか迷っているところです。

とはいえ、個人的にドラマ停滞期ながらストレスなく見られた、軽めで楽しいドラマでした。

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