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小説『52ヘルツのクジラたち』|感想

1月上旬に読んだ本です。今年の初読書でした🐋

虐待、デートDVに苦しんだ過去を持つ孤独なヒロインが、同じく虐待に苦しみ言葉を失った少年に出会うストーリー。
なのですが、どちらかというと2人の交流よりもヒロインの過去に重きが置かれた話だったように感じます。
あまり分厚い本ではないので、テーマが暗い割にはささっと読めました。


⚠️以下辛口です。


うーん、私には全然響きませんでした!
本屋大賞受賞作ということで期待値を上げすぎたのかもしれません🫠

まず、虐待という深刻なテーマとは裏腹に、登場人物にも展開にも深みを感じませんでした。

一番大事なヒロインのキャラクター性が確立していなくて、幸薄の受け身人間なのか、自立した気の強い人間なのか、全く見えてきません。初対面の人を平手打ちしたり、よく知りもしない子供の服を脱がせてお風呂に入れようとする行動の非常識さが悪目立ちしています。
ヒロイン以外の登場人物に関しては描写不足で、全員ただ物語を進めるために用意された都合のいい存在にしか見えませんでした。
「読み終えたあとも登場人物たちがどこかで生きているような気がすること」は私にとって大事なポイントなのですが、この本の登場人物が生きているイメージは全然湧きません。。

ストーリー展開についても、もはや少年と出会わせる意味があったのかどうかすら疑問です。前述の内容と少し被りますが、彼はメインキャラクターのはずなのに、ヒロインの自己投影・自己実現に使われる存在でしかありませんでした。少年自身が何を感じてどう考えているのかを描かないのなら、メインで登場させる理由はないと思います。(少年がヒロインによって救われたことは良かったとは思う)

また、物語の中でアンさんや元彼のエピソードが大きな比重を占めているのに、彼らとの関わりと別れを経てヒロインの気持ちにどのような変化が起こりどう成長していったのかがなかなか見えてこなかったのが残念でした。そこを「少年との出会い」に頼らずに描いてほしかったです。

内容面だけでなく、文章も私の好みではなく、、比喩やセリフに所々違和感を抱きながら読みました。


酷評になってしまいましたが、あくまで私個人の感想です。小娘の好みの問題なので聞き流していただければ🫠


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