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【積読消化】猫組長(菅原潮)著『金融ダークサイド』

いい加減、積読を消化していきたい。この本棚から本を減らしていき、身軽になりたい。やる意味は……冷静に考えたら、そんなにない。ただ、どうも心の中で、謎の断捨離欲求が湧いている。

そんなこんなで、積読消化をしていこうと久しぶりに読書をしております。しかし、以前にもつぶやきに書いたように、自分はたくさん読んだら頭痛がするという脳の持ち主。

なので、少しずつ読んでいき、気が向いたらこうして感想を書くつもりです。気負いせず、ゆるーいテンションで続けるつもり。


そんなわけで、一冊目が猫組長さん著『金融ダークサイド』。

自分が猫組長さんを知ったのは、某芸人さん達の闇営業問題の際、金銭受領に関する情報をメディアよりも先に入手していた時のこと。そして、そんな人が知る裏の世界とは?と思い、だいぶ前に買ってました。

そして、いざ読むも……非常に簡潔で無駄のない文章なのですが、咀嚼する能力を持ち合わせてなかったため、2回くらい挫折。今回、ようやく読了できました。

本書は、2018年に起きたカルロス・ゴーン氏の逮捕に焦点を当て、容疑にある特別背任罪が、中東の個人資産家や新生銀行との「共犯」によるマネーロンダリング(資金洗浄)だったのではないか?という考察から始まります。そこから、猫組長さんの経歴、日本・世界で起こった資金洗浄の事件、これから起こるAIによる株式投資や仮想通貨の未来などについても論じられています。

正直な話、多少遠回りしてもいいので、用語の理解に時間を割いた方が、より楽しく読めるかと思います。自分は読了後の今でも、用語を理解できてません。無理やり読み切った弊害ですね(他人事)。


中学生の頃に投資に興味を持ちだした猫組長さんは、1日15時間というアルバイト労働をした後に、審査が緩かったのもあって17歳で口座を開設。株取引を始めます。大学も「4年間もバカたちと共に過ごすのは耐えられない」と1年で退学。その後は先輩の伝手で不動産業、投資顧問の会社へと渡っていきます。バブル最盛期には、たった4人で120~130億円を運用していたそうです。しかし、バブル崩壊とともに3~4億円の借金を抱え、彼女がいたマンションに逃げるも、筋の悪い方が取り立てに来る始末。その時、「お金はありませんが、スキルはありますので、証券業をやらせてもらえれば、すぐに稼げます」と言ったことが、”黒い世界”に足を踏み入れるきっかけになったのでした。

この辺は第4章で記されているのですが、自分としては「ぶっ飛んでるなぁ」と。多額のお金を運用したからなのか、借金がそうさせたのかは分かりませんが、ヤのつく職業のお兄さん相手にそういうことを言えるのは、普通の精神ではできない。何かしらぶっ壊れていたのかもなぁ、と思ってしまいました。

そこから、金を貸す代わりに、企業から市場価格より安価に株を譲り受けたり、石油のスワップ取引に手を出すことになりますが、そうした経験から得た見識が、本書ではたっぷりと活きております。

あと面白かったのは、マネーロンダリングという言葉が、アル・カポネが経営していたコインランドリーの店が由来であること。バチカン市国にあるバチカン銀行の”黒い噂”。ビジネスは他人資本でやれ!ということ。仮想通貨が現行制度ではすり抜けてしまうもので、それゆえG20で協議されたこと。現在のAIによる投資では、”10億秒分の1”という超短時間で、薄利の売買を行っているということ。AIの特性で、いかに相場を動かしても対処されてしまうため、猫組長さんは投資の原点に立ち返った、という話。この辺は、自分にとって非常に新鮮でした。


そもそも投資さえ遠い世界の出来事なのに、その裏側……暴力団などの”黒い世界”で起こるお金の話なんて、自分から触れない限りは分かりようがない。本来ならば見ることのできない世界を、様々な事例と共に見せてくれる。そんな本だったのかなと。

ただ、かなり私見の混じったものであり、確証のある話だけを知りたいという人には向かないでしょう。また、ネットで調べられる事件や逸話も、現在ではかなり多いので、自分のように全く知らない人間が読む場合なら面白く感じられるかなと思います。アメリカが~に絡んでいるという話は、逸話としては楽しいのですが、同時にどこまで本当なのか分からず、「本当なの……?」と思いながら読んでましたね。

そんなこんなで、猫組長(菅原潮)著『金融ダークサイド』の感想でした。無理やり読み切りましたが、半端な理解度でも十分楽しかったです。

また積読を消化できて、その時の気分次第では、次回も感想を書こうと思います。それでは、また。



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