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一五時間寝るって疲れる『オーシャンズ』

『オーシャンズ』ジャック・ペラン
制作費70億円の海洋ドキュメンタリー。美しい映像と宮沢りえ(吹替版)の優しい語り口だけで僕は何度も何度も繰り返し見ている。
時に作業している時、眠れない時、何もすることがない時、何もする気がない時。
ちなみに『アース』や『しぜんとあそぼ』も大好きな僕です。


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昨夜乳が痛かったから、大きな体調の変化が来る気配がしていた。
けれど、早い段階で記事は書き終わっていた(しかも一時間半で書き終わったのだ!)し、Grammer in Useは順調に頁数が進んでいるし、久しぶりに作ったカレーは冷凍焼けしたなす以外は概ね美味しかったので僕は調子に乗っていた。
すぐ調子に乗るのは僕の数ある欠点の中で、より悪質なものに思う。

乳が痛く、体のだるさを感じていたのに僕は寝ることもなく、ゲームをしていた。
ゲームにのめり込んで日付が変わるまで飼育しているフクロモモンガの食事の支度を忘れていた。
慌てて彼の食事を準備し、彼を部屋に解き放つ。
一時間ほど遅い解放の時間に少々不満げな様子であったが、僕の頭の匂いを嗅いだり、自分の匂いを僕の手のひらに擦り付けたりしている内に彼の機嫌は直ったようだった。
そこからさらに一時間と少し、僕は腹の中の人のため、赤ちゃんの為のインテリアデザインなるジャンルの雑誌を読み漁った。僕の欲しい答えは特になかったが、色んな家族が幸せそうにしていたのでそれでよかった。

既定の散歩時間を終えると、眠ればよかったのにそのままゲームを再開した。
毎日やることでいつものプレイが有利になる原石が貰えるクエストがあるのだ。その日課を忘れていた。
その時間まで起きていなければ食べることのなかった、甘いクロワッサン(一つあたり六七キロカロリーだ)を四つ食べ、罪悪感を覚えながら日課を進める。
最近手に入れた強いキャラクターより、ゲームを始めてから使っているキャラクターを使っているのだから、その原石が果たして必要なのかどうか。僕はポケモンだって最初に選んだ相棒をパーティから外すことが出来ないっていうのに。

そうしてかなり遅い時間にベッドに入った。
夫はすでに眠っていた。ありとあらゆるものを枕にして彼は眠る。
その中でも掛け布団は彼のお気に入りの枕である。いつもなら無慈悲に掛け布団を頭の下から奪い、さっさと寝てしまうが、今回ばかりは夜更かしした僕がこんな時間に彼を起こすことに正当性を感じられなかった。
僕は掛け布団なし(正確には薄いブランケットのようなものを被った、保温性はこれっぽっちもないが)で目を瞑った。

太ももや尻の冷たさに、何度か起きた。
細切れの睡眠で逆にずいぶん長いこと眠っていた心持がする。
遠くの方で夫が出勤するのが見えた。僕はようよう掛け布団を手繰り寄せ、本当の意味で眠りに落ちた。

僕の体内時計はごくごく正確だ。
元々遅刻癖が酷かったのだけれど、改善努力が実を結び、今ではアラームがなくても起きる時間が一緒でたとえずれても今が何時かほぼ言い当てられる。
だから時計を見るまでもなく、その瞬間悟った。僕が目覚めたのは夕方一七時半だった。

大体の僕は一日一日で独立していることが多いのに、今日の僕は明らかに昨日の僕と地続きで今日が今日でないように感じる。
でも体内時計は時間の経過をはっきりと示していた。

乳は相変わらず痛い。体や頭が重く、一日のほとんどを眠りで消費してしまった後悔も上乗せされて、パソコンの前に座るのが辛い。
今までの人生、大半の僕はこういう時諦めてしまっていた。開き直ってしまって、何もしない一日にしていた(眠ってしまったことはなかったことにして、夫が帰ってきたらウーバーイーツを頼むのがお決まりのパターンだ)。

僕は諦めることに飽きている。
これもまた、僕の心の動きを見る実験の一つである。
まずはパソコンを付け、いつも繰り返し見ているドキュメンタリー映画を再生した。
今日は実のところ、書くはずだった映画は違う予定だったのだけれど、こんな気分で観たら楽しむことが出来そうにない(映画を楽しむのは第一条件、記事を書くのはあくまでもおまけなのだ)。
ゾウギンザメは今日も愛らしく、昔馴染んだコリドラスを彷彿とさせる。なるべく気持ちが波立たないように、noteを開いた。いくつかいいねを頂いている。せっかく頂いたいいねだ、僕もその記事を読みたい欲求がむくむくと立ち上がるが、それは後回しにしよう。
今読んだとしても、良いことは辛うじて分かっても大事な何かを見逃す可能性が高いからだ。

こうして僕はなんとかかんとか、記事を書いている。
記事を書いている内に、僕も金銭が絡まないところで諦めないことが出来るのだなと気づいた(外面の僕はどこまでも真面目だ)。
というか、諦めないことは想像しているよりハードルが高くなかったように思う。

今回に限るのだろうか?
この先も実験を続けたらそれは分かるのかもしれない。僕はそれを知るのが楽しみでならない。

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