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Photoshop Lightroom Classic最適化PCの提案

最近、PC関連のエントリーを書いていたら、ちょっとPCを弄りたくなってメインPCのメモリを64GBから96GBへ増設しました。
そうしたら信じられない事に現像速度が凄まじく向上しましてね…

最近の記事で使用している6100万画素のデータ、今まで100枚3分だったんですが、RAWデータ保存媒体がUSB SSDで2分30秒、NVMe SSDで1分20秒。 200%の高速化って有り得ませんよねぇ…
例によって安定せず2分10秒の時も有りましたけど、それでも50秒の短縮。
なんだろうなぁ…

ちなみに、メモリ速度をAUTOにしておくと安定せず、手動で3200 MHzに設定する必要がありました。 安定しなきゃ3200MHzから徐々に落とせば良いと思っていたのでラッキーですね。

100%プレビュー生成時。700枚程度なのでメモリ消費はこの程度。 出力時は20GB以下だった。


本題です。
前回はDELL社製のスリムPC(VOSTRO 3471)をAdobe Photoshop Lightroom Classicに最適化し、快適に動作しつつ運用性も考慮した増設と換装を行いましたが、今回はAdobe Photoshop Lightroom Classic に最適化した自作PCのご提案です。


既製のRAW現像用モデルは、他の現像ツールでは良いのかも知れませんがRAW現像用を謳っていてもAdobe Photoshop Lightroom Classicを用いたRAW現像/画像編集に最適化しているとか言い難いんですよね。

満足なものが無いのは、本当に特化すると地味に尖りすぎて一般にアピールしないとか、説明を聞くうちに当初の目的を忘れた顧客があれもこれもと言い出して結局ゲーム向けと変わらない構成になってしまうからじゃないかなー

昔からPC購入時に言われている「何に使うのか判っていない場合は一番高性能なものを選べ」は今も変わっていない、という気がしますが、用途に最適化するのは高性能化するわけではなく、別の言い方をするなら〝何でも出来るようにする訳ではない〟ので、そこを混同してしまうとコストのかかった中途半端なものになってしまうと思います。

最適化は自分の経験則に依存していて、前述のメインPCのようなよく判らない振る舞いもあるのでハードウェア構成が異なると意図しない結果になる可能性は否定しませんw
いちおう公式な最適化手順もあるんですが、この内容はPhotoshopの最適化と同じく10年くらい前の、一般向けCPUは4コア/8スレッドがトップエンドで、カメラは3600万画素が最高画素数だった時代の古いものなので、今となっては、、、


実際のパーツですけど、CPUに関しては2022年4月現在だとIntel製のグラフィック内蔵型が良いと思います。
Passmarkを参考に前回のCore i7-9700 (score : 13385)を基準にすると、Core i5ならK型番を除き11世代でも良いと思いますが、i3/i7/i9の場合は12世代を選びましょう。

メインメモリはメインストリーム(一般向け)のCPUでは必ず〝2枚一組(デュアルチャンネル)で〟構成する事が絶対条件です。
1枚1枚表示するような使い方では余り消費しないので16GBあれば問題はないのですが、データ取り込み時のプレビュー作成では消費が多く特に100%プレビューでは無尽蔵に使用し、相応に搭載していないとシステムが不安定になる可能性があるので2022年4月現在の価格も加味すると16GB x2で32GB以上を推奨します。
尚、メモリ速度はメモリチャンネルと同様現像速度に関わるのですが、安定性を考えるとCPUやマザーボードで指定されている定格品で良いと思います。

前回の増設/換装で確認しましたが、ストレージに関してLCは〝OS/ソフトウェア〟と〝カタログファイル/編集用RAWデータ〟或いは〝OS/ソフトウェア/カタログファイル〟と〝編集用RAWデータ〟は物理的に異なるNVMe SSDへ格納する事が重要になります。
これに加えてバックアップや編集済みのデータを収納するHDDが1つ。
パフォーマンスと信頼性、利便性を得るには最低合計3台のストレージが必要です。
ストレージ速度の優先順位は
1.カタログファイル
2.RAWデータ
3.OS(システム)/ソフトウェア/CameraRAWキャッシュ
4.編集済みRAWデータ
尚、SSDは書き込みの速いものは比例して読み出しも速い場合が多いです。

こちらも前回確認しましたが、ビデオカード(GPU)は重要ではなく、特別な事情がなければCPU内蔵で十分、後日必要になったらローエンドモデルを追加で問題ありません。
LCでのRAWデータ現像処理はゲームや動画編集、3DCGに比べGPU使用率が低く、そのコストに見合う性能向上が得られない為です。 


それらを踏まえた上で、現在平均的と思われる3000万画素前後のボディで、週に1000~枚程撮影するような〝ちょっと凝ってる人〟を想定し、快適に編集/出力可能で、後に増設可能な構成を予算10万円程度(DDR5構成を除く2022年4月時点)で提案します。
尚、個人的に快適に思える現像速度は1枚2秒程度で、3秒だとちょっと遅い、4秒だと遅いと感じますので、3000万画素を100枚JPEG出力し、1枚2秒が実現出来るであろう構成で考えています。

CPU
Intel Core i5-12400(12世代)かIntel Core i5-11400(11世代)以上

メインメモリ
16GB x2 = 32GB以上

Motherboard
メモリスロットが4あるもの
NVMe用 M2スロットが2以上あるもの
PCI-Express x16スロットが2以上有るもの
displayportやHDMIなど映像出力が2系統以上
11世代Core ならPRIME B560M-Aとか TUF GAMING B560M-PLUS とか
12世代Coreで DDR4 ならPRIME B660M-A D4 とか
12世代coreで DDR5 なら Z690 UD とか PRO Z690-A WIFI とか

ストレージ 1
NVMe SSD (QLC不可)/ 500GB以上
OS / ソフトウェア
高速なタイプでなくて構わない (例:CFD Selection EG2VNQ / )

ストレージ2
NVMe SSD (QLC不可)/ 1000GB以上
LCのカタログファイル/編集用データの保存場所
高速なタイプを推奨 (例:PCIe Gen4 P5 Plus / PCIe Gen3 EXCERIA PLUS)
最も高速な(CPUに近い)スロットへ設置

ストレージ3
SATA HDD / 6TBや8TBなど、なるべく大容量
LCでの処理が終わった旧いデータの保存場所

電源
500W以上でSATAが4系統以上

ケース
3.5inch HDD が搭載できるもの
HDDの冷却が出来るようファンが設置可能なもの

CPUクーラー
当初はCPU付属品で構わない。
高い性能を発揮させたい時に社外品に変更。


自作PCであれば2022年4月現在10万円強のコストで実現出来るので敷居はそんなに高くありません。
組み立て作業は0番と1番のプラスドライバーで出来る作業なんですけど、自信が無ければ友人知人や、有料になりますがパーツを購入したショップで組んで貰うのが良いでしょう。
ショップの場合はパーツ単位でなくPC全体として保証が付けられる場合もあるので普通のメーカー製PCと同様の安心感がありますね。


既成のモデルはどんなに高性能でもそのままでは使えず、メモリとストレージの追加/換装は必須となるのでベースとなるモデルの選定に全て掛かっていますが、既製品は保証の点から安心ですね。 そのぶん価格は高額になりますが、時間や安心を金銭で賄うのは世の常です。
自作PCは〝自己責任〟の世界なのでトラブルを楽しめるような寛容性が必要だと思うのですが、その感覚の無い人にはあんまり適してように思えませんし。

前回採り上げたDELL社のPCは拡張性は今ひとつなモデルが多いですが、マニュアルが充実し解体作業がし易いので初めて作業する方にお勧めです。 XPSシリーズやOptiPlex 7000シリーズの場合はストレージに高い拡張性がありディスプレイ出力も今風なので良いですね。

ショップ系だと2022/4現在はツクモのこちらが良いかもしれない。 自作用のマザーボードなので拡張性が高くM.2がニケ所でメモリスロットも4つ、USB 3.2 Gen2にも対応していてドライブベイは全部空いている。 LCに必要な3ストレージにも鉄壁な4ストレージ構成にも対応出来る柔軟さがあります。
省スペースならこれかな

尚、メモリ増設のお約束として、メモリスロットが4つあって1枚刺さっているPCに1枚だけ増設する場合は両方1番に。
2枚増設する場合は、1番を2枚(デュアルチャンネル)で、2番を1枚に。


尚、Macの場合は思想が〝家電〟なので増設/換装のような観念は原則ありません。
特にCPU (SoC)が自社製となって以降は思想だけでなくハードウェア的に完全に家電化している関係上、目的に最適化したハードウェア構成にすることは困難なので、幅広い用途に対応出来るよう購入時には可能な限り高性能なモデルを選び、メモリも購入時のカスタムで盛れるだけ増設、筐体内で全て完結させる事は出来ないのでストレージは外付けSSD(内部NVMe)が基本です。
外付けSSDは内部SATA SSDを選ぶとそこで糞詰まりになるので、高額でも高速なストレージの使用/分散で実用上は問題ないでしょう。

性能に不足がある場合、PCは〝増設/換装〟と言う手段で最適化/延命出来たりパーツを流用する事が可能ですが、家電の場合は〝買い換え〟と言う手段が普通なので、不満がある場合は買い換えです。
Windowsでもラップトップ(ノートパソコン)は同じ場合が多いですね。


RAW現像の処理速度は同じハードウェアなら画素数に左右されます。
画素数が増える程、高いCPU性能やメモリの量、ストレージの速度が必要になってきます。
PCの刷新はカメラに比べると遅くなる事が多いと思われ、現在は十分でもカメラを買い換えたら厳しくなった、と言う状況が十分に考えられるので、現時点では〝ちょっと良すぎるかな〟程度で丁度良いと思います。




ここからはオカルトまがいの話。
マザーボードなんですけど、必要な機能があれば激安品でも何でも良いのですが、某社のマザーボードは初期不良で新品交換したものの1年未満で故障し、別のPCで使用していた同社別モデルは3年程度で故障、という事態に遭遇していて、偶々ハズレを引いたのだとしても確率は高いので、このメーカーの製品には手を出しづらいです。
また、某社のHDDも他社製に比べて耐久性が低く、高い信頼性を謳う製品であっても他社製の普通のHDDより壊れやすいと感じます。

だからといって、これらのメーカーの製品設計/管理がいい加減で杜撰(ずさん)であるという事は無いでしょう。
もしそうであれば、厳しい業界なのでとっくに淘汰されています。
高額だから信頼性が高く壊れないとか、安価だから壊れやすいとか、あんまり関係ない、という事です。


運とか巡り合わせとか、よく判りませんがPCパーツの世界は〝理屈では説明出来ない何か〟があって、、、まぁ、0と1しかない論理の塊みたいなPCにオカルトめいた何かがあるとは思えないのですけど、やっぱ何かあるんですよ。 長くPC組んできてそう思う。

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