見出し画像

冲方丁『光圀伝』の緊張感【6/4更新】

『光圀伝』はみんな知ってる水戸黄門様の生涯を描いた歴史小説。善行と悪行(現代の倫理観では到底受け入れられない行為)を嗜んで、立派な領主様に成長するお話。信念を持って決断し、行動する人たちのお話。エンタメ要素かなり強めだから、歴史に興味が無い人も全然読める。

冲方丁の小説は緊張感が凄い。『マルドゥック・スクランブル』『マルドゥック・ヴェロシティ』『天地明察』どれも気合と根性、登場人物はやる気満々、足掻きまくる。光圀もそう。漫画でいうと刃牙とかカイジっぽい。たしか『マルドゥック・スクランブル』のあとがきで、「書いている途中トイレに行って吐いてまた机に戻ったりしている」と述べていた。執筆中の緊張から来るものでは。

上に挙げた小説中では私は一番『光圀伝』が楽しかった。年取ったから水戸黄門好きになったわけではなく、シンプルおもろいのだと信じたい。

物語の終盤、これから起こる出来事が事前に読者へ伝えられるけど(キングダムまたはBLUE GIANT方式)、それでも「そんなまさか」と読み進める手が止まらない。

はじめは登場人物が多くて名前が一体どの人物を指しているか分からずややこしいかもしれないけど、そのままグングン読み進めていい。面白くない箇所があったらガンガンページをめくっていい。752Pもあるから、めくっているうちに慣れてきて、読み方が分かってくる。細かい所へ目を通すよりもざっくり全体像を掴む方がいい。

全然ハマらなかった人も「とりあえず700Pめくった~」と達成感を得られます。

冲方丁さんの歴史小説は他にもあるから、読んだらこの記事もまた更新します。

『マルドゥック・スクランブル』も面白いけど、こちらは好みが分かれそう。天涯孤独の少女が、銃に変身できるねずみの相棒と一緒に、街を牛耳る企業が差し向けるバケモノ改造人間を倒して成長する話が主。途中、カジノの真剣勝負の話が中心になる。何を言っているか分からないかもしれないけど、ほんとにそう。

権力闘争や人間関係のもつれに興味がない

【ここからは6/4更新】
冲方丁『月と日の后』を読んだが、内容が頭に入ってこなかった。ざっくり、藤原道長の娘である彰子が天皇家に嫁ぎ、政治に巻き込まれつつ、家族や友人を守り幸せな生活を目指す話。

この本を読む前に山崎豊子『華麗なる一族』文庫版の上巻も読んだ。こちらも全く頭に入ってこなかった。神戸の万俵家の家族内のゴタゴタや、万俵系企業内の政治を描いた作品。上巻を読み終えて、中と下は読まないことにした。Wikipediaか何かでざっくり解説だけを見た。唯一、阪神財閥というものが存在する、という知識を得られてよかった。

いわゆる昼ドラのような、政治や色恋のこじれに全く興味がないのかもしれない、と自分自身の発見ができた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?