正しい競争戦略を学ぶ

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「マイケル・ポーターの競争戦略」からの学び。
● 競争戦略とは、「企業が、買い手に価値を感じてもらえるものを提供することが大切」という顧客視点であること。
● 業界で生み出された価値の分配をめぐって競争するという考え方。

競争戦略とは、
どうやったら他社に勝てるのか?!
業界で勝ち残っていくための戦略とは!?
継続的な競争優位性を手にするための必勝法とは!?
という話ではなく、
買い手に価値を感じてもらい、お金払ってもいいよと思ってもらうことが大切。業界内で生み出された価値を、企業と買い手でお互いに満足いく分配をし合う(Win-Winな状態)が目指すところであり、そのために何を優先するか、どういう思考で事業を進めるべきか。がまとまった本です。
大切だとわかっていても忘れてしまいそうになる、ものの価値を決めるのは買い手だということを改めて認識させられました。

ワード1つ1つや、理論1つ1つ、ポーターの唱える定義を明確にしながら、誤解のないよう丁寧に書かれている本なので、ポーターの競争戦略を学ぶ際にすごく良い本だと思います。


最高を目指す競争で勝者はいない。
最高にいいものを追い求め競合他社と切磋琢磨する「最高を目指す競争」。言葉だけ見ると前向きな印象で、良いことのように感じますし、自分も恥ずかしながら競争はこういうことだろうなと思っていました。
でも、これではダメなんだと最初に否定されました。

「最高を目指す競争」は業界そのものを衰退に追い込んでしまう可能性もある消耗戦。
なぜなら、最高を目指す競争で、機能的な価値が一定以上の水準に達すると、どの企業も横並びになります。そして、その水準が買い手から見たときに求める価値水準を上回っている場合、買い手は(過剰な価値に対し)高いお金を払いたいとは思わなくなる。

その結果、
どこかの会社が値下げを始め、業界全体の価格競争になる。

各社、クオリティはそのままに価格だけは落とさないと売れなくなる。

企業が努力して生み出した業界内の価値は、買い手だけに配分される。

企業は利益を生むことができず自分の首が締まる。

業界内の勝者はいなくなるという残念な事態が訪れる……。

.。o○(これって、イノベーションのジレンマのことかなと思いながら読んでいました。業界における現在のポジションを維持するために、企業は、継続的なイノベーションにより商品やサービスのアップデートを図っていく。やがては買い手が求める以上の機能を持ったものを売ることになるが、それだけの高機能なものが高価格で売られることを買い手は求められておらず、そうこうしているうちに、市場のニーズにフィットしてかつ廉価なものが出現し、シェアを奪われていく)

そもそも、最高の基準ってなに?という話もありました。
例えば、チェア。最高のチェアといっても、場所や使う用途によってその基準は変わってくる。
・ホテルに置くお客様をもてなすためのチェア
・公園などの野外に置くチェア
・イベント会場に置くような頻繁に出し入れが必要になるチェア


買い手に価値を感じてもらうものを提供する。それを参入障壁をつくりながらやる。

では、どうすればよいのかが、
買い手の視点に立ち、買い手が求める価値を提供すること、です。
誰のための、どのニーズを満たすためのものなのか、その時の相対的価格はいくらか?といった利益を意識した競争戦略を持つことが大切。とポーターさんはおっしゃっていました。

提供する価値を見つけたならば参入障壁をつくりながら前進するのみ。
参入障壁は業界的な参入障壁のことだけではなく、その企業が前進する過程で作り出していくものです。
例えば、
・トレードオフにより「やらないこと」を決める。
⇒やらないことを決めると模倣しようとした企業が、そのやらないことを捨てられないことが多く、結果模倣できない。

・バリューチェーンを見直して自社でやることでコアコンピタンスを強化増幅するようなチェーンは簡単に外注をしない。自社での活動がお互いに連携し合っている状態を適合性/フィットと呼んでいます。そうなる活動は外注せずに社内でやるべき。
⇒チェーンの何かひとつが欠けてもその価値提供に影響がでる状態になり、他社は、全部模倣する必要があり、その模倣困難性が参入障壁となる。



業界内で生み出された価値をどのように分配するか

↑で書いたように買い手に「これだけのお金を払ってもいいぞ」と思ってもらえる価値を提供できれば、相対的な価格があがり結果として利益が生まれます。ポーターさんはこのことを、業界内で生み出した価値をどのように分配するかという考え方を持って展開されていました。

売り手である企業は利益が出て、買い手は満足を得て、売り手と買い手がWin-Winな状態(生み出された価値を分け合う状態)が目指すところで、もちろんその周辺のステークスホルダーも忘れてはいけないことです。

事業や会社の拡大については、売上を上げて市場シェアだけを伸ばすことには意味がなく、利益を最大化させる拡大が大切と言っています。

市場シェアで頭に浮かんだのが、PPMの横軸です。4象限に分けるときの横軸が「市場シェア」。あの市場シェアは売上規模だと思っていましたが、利益規模の市場シェアで見るのが正しいんじゃないないかと思いました。利益がしっかり出ていないと、金のなる木は金のなる木とは言えないし、生まれた金を問題児へ投資もする余力なんて生まれない。なので、自分の中でPPMの横軸は利益市場シェアだと勝手に理解しました。

この本も一度じゃ理解しきれないから、また読もう!と思います。

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