少年A

・少年A

かねてより自信を持つ事ができなかった少年Aは、なぜこんなにも自分には自信がないのだろうといつも自分を攻めていた。勇気を出して、母親に幼少時代の自分を聞き、兄弟関係や、周りの環境で褒められる事が少なかったという過去を聞き、一時は苛立ちを覚えた少年Aであったが、自らの過去を振り返らなければ自分は変わる事ができないと思い、それは正しさからかけ離れていると心が言っていた。

自信を無くしていた少年Aは、自らの過去を振り返り、弱い自分、強い自分全てノートに書き出し、過去と真剣に向き合った。

自信がないから、見栄を張る。
自信がないから、嘘をつく。
自信がないから、諦める。
自信がないから、戸惑う。
自信がないから、逃げる。
自信がないから、答えを求める。
自信がないから、閉じこもる。
自信がないから、人のせいにする。
自信がないから、心を閉ざす。
自信がないから、人を嫌う。

自信のなさから生まれるネガティブな感情の結果として起きた行動を合計28個書き出した。そして、過去の自分をノートに書き記した。

子供の頃、なぜ自分はこんなにもダメなのかと思っていた。「いし」という字もうまく書けないし、勉強もできないし、体も小さいし、ホットケーキもうまく焼けない。トマトを持っていかなかったら怒られると思ってびくびくしていた。周りの人が言う「すごい」と思う事が一切できなかった。本当に毎日ビクビクしていたし、人に気に入られる事ばかり考えていた。

やらなければならないと分かっているのに、できない。本当に悔しいし、世の中全てにイライラしていた。完全に現実を見る目を無くし、殻の中に閉じこもっていた。本当に心は死んでいっていた。

世の中の常識にうまく馴染む事ができず、どうしようもない自分だということがバレたくないから、テストの点に嘘をつく。周りに流されていた、ただの偽善者で、何も価値のある人間ではなかった。周りに不平、不満を言い、自分の権利だけを主張するねじれた人格ができあがっていった。

けど、心は全て正しかった。世の中の常識に馴染めないからイライラするし、ネガティブな気持ちになる。反抗するのも、心が、自分はそのような仕打ちを受けるべきではないと分かっていたから、だから、反抗した。自分はもっと広い世界に出て、羽ばたける人生を歩む事ができる。自身の心が、そうした環境が必ず在るというメッセージを伝えてくれていた。

幼少期に、周りから兄弟と比べられてきた経験で、自信のない人格が出来上がってしまったが、心は全て分かっていた。自分がどうあるべきか。

見栄を張った、嘘をついた、諦めた、戸惑った、逃げた、答えを求めた、閉じこもった、人のせいにした、心を閉ざした、人を嫌った。

この時心に生じた感情は、学校生活にうまく馴染めない、自分はそこにいるべきではないという心のメッセージだった。そして、これら全てのネガティブな感情は、少年Aという存在を正しい道へと導いてくれる心の叫びだった。

・生きる意味

人は、生まれながらにして心穏やかに自身が存在できる場所を求める権利を持っている。全ては、自分の選択にかかっている。

人は学び、成長することのできる生物である。自分にも必ず正しい道がある。心はそれを本気で分かっている。

幼少期の頃、興味のあったこと、やっていて楽しいと思っていたこと、よく思い返し、自分の心にあるべき姿を聞いてみる。過去の自分を振り返り、それら全てを受け入れ、それが自分ということを心で理解し、正しい道へと歩み始めよう。

本気で自分と向き合った自分なら、その正しい道は既に分かっているはずだ。自分には、その道を進む権利がある。誰もそれを邪魔することはできない。

胸を張って自分の道を歩め。過去の自信のなかった自分という存在を受け入れた今の自分は、人生という長い旅路の前に立ちはだかる壁の一つを乗り越えたはずだ。今は、正しい自分を生きることができる。

人間は、本来自身の持つ能力だけで直面する壁を乗り越え、成長し、生き抜く事ができると信じている。

そして、人間は、自分という存在を生きるために存在しているのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?