Tiktok Liteで「SF」と僕が身につけるべき「隙」を見た【ショートエッセイ】
物価高もありますしポイ活をしようと思いTikTok Liteを始めました。
TikTokの動画やライブを見たり検索するとポイントが貯まって、それをTiktok Lite内のギフトや外部サービスのポイントに変換できるサービスです。
私は昔TikTokを配信活動の勉強のため見ようとして挫折した経験があります。おそらくTikTokは勉強のために見るものではないのでしょう。
また私は飽きっぽい気質で、同じことを習慣にするのがとても苦手な人間です。とポイ活もdポイントカードでやろうとして全然続かなかったりしました。
そこで、ポイントを貯めるというそれだけだと持たなさそうなモチベーションに「Vtuber活動」という、現状私が一番継続できているけどそちらも長続きしなかったことを絡めることで「両方のモチベーションを足し算すれば続けられるのでは…?」というところもありTikTok Liteを始めました。ちょうどキャンペーン中にわりとポイントは貯まりやすいので、ポイントをPayPayに移して飲み物代にしたりしています。
SFの中にいるような
Tiktok Liteで動画を見ていると「あれ、今自分は動画を見ているのか?ポイントを見ているのか?」となる瞬間があります。
画面の左上にはポイントを金額換算されたものが表示され、その周囲をタイマーが回っています。「あとこれだけ見ていればポイントが入りますよ」とこちらに伝えてくれ、「とりあえずそこまでは動画見ていようか」となります。
このポイント表示があることで「とりあえず動画を流しておく」ことへのモチベーションは高くなるので素晴らしいですが、同時に視野の焦点が気づくとそのポイントタイマーに吸い寄せられている瞬間も一度や二度ではありません。
時にはスマホで動画をつけたまま放置し、チラチラとタイマーの進行具合だけを見るということさえあります。なんならこの記事を書いているこの瞬間にも放置してポイントを貯めています。
また、
いいねを何回するとポイント
検索を何回すると何ポイント
のように、行動とポイントを結び付け誘導するシステムがあらゆる場面に絡んでいます。実際それをやるとポイントを手に入れつつ入りつつも興味のある動画クリエイターやライブ主を見つけられるのでチュートリアルや誘導としていいものなのでしょう。ソシャゲのチュートリアルに近い感覚です。
ただ、これを繰り返しているとどこか「こちらが動画を見ている」以上に「動画を見させられている」感を覚えます。AIで選ばれているであろうおすすめがスマホの画面をスワイプするごとにどんどん提示されるのもあり、私自身で動画を選んでそれなりに楽しみながらポイントを稼いでいるつもりなのに
「あれ、これはTiktok社の思うがままに行動させられているだけなのでは」
と感じる瞬間があります。おそらくその感覚は正しいのでしょう。
星新一の「妖精派遣会社」や「ロボコップ」や「WALL・E」のような企業の論理が全世界に行き渡った世界。あの世界を描いたSF作品の登場人物に自分がなったと感じる瞬間があります。
言うまでもなく企業が呈示する便利サービスっていうのはyoutubeであれtwitterであれそれこそnoteであれ全部利用者の行動を誘導しているところはあるものでしょうが、Tiktok Liteはそこに「ポイ活」という要素があることでよりそれが露骨に感じてしまうのかもしれません。
ポイ活に適応した動画
あと、動画の内容もTiktok LiteとTiktokでは変わっているのかな?と感じました。
動画プラットフォームにはそれぞれの作法・文法があります。
たとえば、現状大トラブルの渦中にあるニコニコ動画はコメントが字幕で流れるのが最大の特徴であるためコメントしやすいツッコミどころや予定調和的なネタふり・超有名作品のパロディやMADを取り入れた動画作りが多でしょう。
Twitchであれば生配信がメインなので一つのゲームを長時間遊ぶことが推奨されたりします。
youtubeはなんでもありという感じですが、最近は「ショート動画」「切り抜き」「総集編」などのトレンドが盛り上がっています。
Tiktok Liteでは「ポイ活」という要素により独特の作法ができあがっているのを感じます。
以前にTikTokを少し見た時はとにかくスワイプさせる手を止めるため、一瞬、それこそコンマ数秒でインパクトを与えるように動画が作られていると感じていました。
一方TikTok Liteでは何秒見るとポイントが貯まるというルールがあるため、「動画を再生して止める」ことへのモチベーションが上がりやすいのはあるのでしょう。実はスワイプして他の動画に切り替えても視聴時間は累積されるのですがそれでも動画の視聴維持率は上がるでしょうし、私自身も前にtiktokを見ていた時よりスワイプを止めるようになったと感じます。
それによってなのか、以前より低刺激で長く見られるような動画が増えていたように感じます。また、ポイントを貯めるためにスマホをつけるだけつけて放置するのももう前提とされているようです。放置してポイントを溜めるためにさざ波と音だけを流す動画などもおすすめに流れてきました。あと余談ですが広告を見てポイントという要素もあるのですがその広告がスキマバイトとかそういうのばかりだったのがとても印象に残りました。
ライブで学びたい「隙」
また、前はTiktokのライブ配信は見ていなかったのですが今回は見てみました。私もyoutubeやツイキャスでライブをやっていますし他の方がする生配信も色々と見ています。比べるとTiktokは配信も全然違うと感じます。
まず画面の情報量がとにかく多く雑然としています。ただ、そこから出る活気には間違いなく圧倒されるものがあります。例えるならドン・キホーテの店内や全盛期の原宿などに近いでしょうか。
左上に所属リーグ(所属リーグが何なのかはわからないです)と順位が書いてあったり、「●●をプレゼントしよう」という表示や、「▲▲さんがダイヤで応援しました」といったメッセージがコメント欄などに溢れています。さらに猫や何かのアニメーションが追加され、より雑然とした盛り上がりを作ったりもします。
多分配信主からだと思われる「チームにハートミーしてね」というおそらくはツイキャスにおけるアイテムを求めるメッセージをつけたリボンがあったり、
配信者が二人とか四人で何かを競う(視聴者からのアイテム数とか?)バトルをしていたりと、正直外から見ていると何もわからないと光景が各所で広がっています。
それでもなんとなく「なんかわからないけど盛り上がっているなぁ」と楽しめるのは面白いものです。
配信画面も非常にシンプルで、ゲーム実況の横に書く「●●実況中」みたいな文字のフォントもデフォルトなゴシック体であってそれが白一色なことが普通にあったりと、洗練させて飾る方法を常に考えて界るようなVtube界と全く違う世界がそこにあって興味深いです。
また、同じ配信者として学べることもあります。
TikTokライブの方たちを見ていると、私や私の周囲の配信者・Vtuber以上に「隙がある」と感じました。
Tiktokのライブは内容やテンポも詰まっていなく、結構「空白」を感じる時間が少なくないのです。ただ、それゆえに配信者が単純に「そこにいる」感じを受けます。
もちろん見えるところ見えないところで視聴者を楽しませるために様々な工夫をされているのでしょうが、その上で出てくる雰囲気は非常に実在的で日常的です。その雰囲気が視聴者からすると本当に友達と通話しているような親しみ、「自分と一緒に時間を過ごしている感」を覚えるのでしょう。大したことないことでもコメント見てくれそうですしね。
また、急に他の配信者とバトルのようなことをしているという話がありましたが、他にもコメントに合わせて話がころころ流れていったりと配信がどう転がっていくかわからないライブ感があり、それも何があるか見たいと思わせることになるのでしょう。実際私も何となく配信をだらだらと見ていました。
私は雑談においてどうしても話にしっかりオチをつけようとしたり、一人でまとめてばーっと喋ったりと、かっちりやりすぎるところがあります。もちろんそれは私自身の個性なのでそれを全面的に改めることはできないし、しない方がいいでしょう。そもそもTikTok Liteについて約4,000字かけてこの記事を書くこと自体すでにTiktok的な感性と大きくずれています。
ただ、雑談をしていて「あ、自分の話って取りつく島がないのかな…?」と思う瞬間は結構あります。そこはずっと課題だと思っていて、なのでその中にTiktokから学んだちょっとした「隙」や「ライブ感」を加えられるようになれば新しい面白さが出せるかもしれない、そんなことを考えたりしています。
おまけ
取りつく島がないってどんな感じなのか知りたい人はぜひ私の雑談枠を聞いてみてね!