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スーパー戦隊のヒーロー側をMBTI分析してみた、『星獣戦隊ギンガマン』(1998)編

MBTIを調べていくと、5chなどでアニメ・特撮・漫画のMBTIキャラ分析があり、その中にはスーパー戦隊シリーズもいくつか掲載されていました。
現在配信中の『未来戦隊タイムレンジャー』(2000)については既に検証されていますので、気になる方は是非ご覧下さい。

さて、今回から不定期連載でスーパー戦隊シリーズのヒーロー側限定でMBTI分析をして行こうかと思います、作品の批評とは別にこういうのも遊びの1つとしてあってもいいのではないかと思うので。
第一弾は私の中の戦隊シリーズ最高傑作『星獣戦隊ギンガマン』(1998)のヒーロー側の主要キャラクターであるギンガマン5人・黒騎士ブルブラック・黒騎士ヒュウガを対象にMBTI分析を当てはめてみましょう。
本編の情報を基に詳細な分析結果を出しますが、あくまで判断基準は厳密なものではなく私自身が「こうではないか?」と思った主観・独断・偏見を入れた印象評価として書きます。
みなさんそれぞれに違う意見もあるかと思いますので、「このキャラはこうではないか?」という方は是非ともコメント等をしていただけば幸いです。


ギンガレッド/リョウマ

INFP-T(慎重型の仲介者)

主人公なので思い入れがとても深い分判別には凄く苦労しました。まずTタイプ(慎重型)であるのは間違いありません、前半は特に仲間に支えられたり兄に引っ張ってもらったりしていましたので。
候補としてはINFJ・INFP・ENFJ・ENFPの4つが出たので「外交官」グループには間違いないのですが、I(内向型)を選んだのは全編通して意外と単独行動が多く、仲間たちの問題にあまり深入りしないためです。
現実に対応するというより理想に現実を合わせていく意識が強いのでN(直観型)、理論・理屈よりも感情メインで動くことが多く、説得や気遣いも相手の心に寄り添う形が多いのでF(感情型)としました。
最後で少し迷いましたが、いざという時に「こうだ」と決めつけるのではなく可能性を残しながら柔軟に対処しているのでP(知覚型)ではないかと思いましたし、そこがリョウマの個性だとも思ったのです。

個人的な印象では主人公としては珍しいタイプ、歴代レッドでも特殊な位置付けであり、「スターウォーズ」のルーク・スカイウォーカーや「遊戯王」の武藤遊戯、「指輪物語」のフロド・バギンズに近いでしょう。
INFPが主人公になると割と精神的な苦悩・葛藤が多く「自分探し」が主題となり、ギンガレッド/リョウマも御多分に洩れずその通りの成長ルートを歩んでいるという印象です。
「ギンガマン」というと歴代戦隊の中でも王道中の王道を往く作品という印象がありますが、主人公レッドのキャラ造形は他を当たってもこれに類するタイプがいないと思われます
どことなく切なさや悲劇的な感じを身に纏っているように見えるのもINFPの特徴なので、そう考えると結果論とはいえこのキャラクターを主人公にしたのは英断だったのではないでしょうか。

ギンガグリーン/ハヤテ

ISTJ-T(慎重型の管理者)

ハヤテに関してはリョウマと同じTタイプ(慎重型)だというのはすぐに分かったのですが、候補がISTJかESTJかで迷いました。似たタイプのヒュウガとの違いがわからなかったので。
ただ、ハヤテとヒュウガで決定的に違ったのは彼にはミハルという婚約者が居て彼女への内面が非常に強いことが第十章『風の笛』や第四十六章『怒りの風』であることが明らかなのでI(内向的)と判断しました。
また、リョウマとは違い現実に対応しながら作戦立案などをしていくためにS(感覚型)とし、感情メインで動くのではなく理論・理屈重視で動いているのでT(思考型)という評価になります。
最後ですが、初期から最後まで安定して厳しい現実を言ったりビシッと容赦無く「ダメなものはダメ」ということが多いのでJ(判断型)とし、柔軟なリョウマやゴウキら他の年長組と比べてもいい対比です。

個人的な印象ですが、リョウマの造形が歴代でも特殊であるのに対して、ギンガグリーン/ハヤテの造形が典型的なISTJの持つ「生真面目な仕事人」というのが良かったですね。
ギンガマン全体がヒーローとして優秀なチームに思えるのは何よりも二番手のハヤテがよくできたしっかり者であるというのが大きいかもしれません、初期は実質のリーダーでしたし。
似たタイプであるヒュウガとの差別化をどうするのかというところでミハルという婚約者や因縁の関係となるバルバンの二番手・シェリンダという「」の部分を強調したのが見事です。
感情的な部分を見せづらく勇太君には「冷たい」とまで言われていましたが、だからこそここぞというところで感情を見せた時に上手いことアクセントになっていたと思います。

ギンガブルー/ゴウキ

ENFP-T(慎重型の運動家)

ゴウキに関してはリョウマと似たタイプなので判別にあまり苦労しませんでしたが、鈴子先生に対して奥手だったりヒカルにいじられてたりするのでTタイプ(慎重型)であることに間違いはありません。
メンバー全体の料理担当にしてオカン担当ということもあるのでE(外交的)と判断しました、鈴子先生の件だってハヤテとミハルとは違い内面的なものじゃなく外で出会って生じたものです。
ハヤテとは違い直観で動くことが多く、ギンガの森への思いを一人だけ吹っ切るのに時間がかかり、また現実が彼の思い通りにならないことに苦悩することもあるのでNF(直観的な感情型)でしょう。
そして最後ですが、ハヤテやヒュウガと違い柔軟に対応することが多く、決めつけとは違うのでP(知覚型)であり、結果的に「外向的なリョウマ」という印象に落ち着いたのはなるほどという感じです。

個人的な印象としては、ESFJ(領事館)かENFP(運動家)かで迷いましたが、ESFJだったらもっとサバサバしていて「リョウマ、ヒカル、サヤ、もっとしっかりしなさい!」くらいは言ったと思うんですよ。
でもそれを強くいえないところがゴウキのゴウキたる所以といいますか、凄く人情深く優しいところがリョウマ以上にあるので、単なる「気は優しくて力持ち」というだけではない繊細なところがあります。
ヒカル・サヤと組むといわゆる「ミニオンズ」みたいになって、くだらないことでワイワイとはしゃぐことができるタイプではないかと思いました、特に三十一章のラストの帰り道ではしゃぐところとか。
演じる照英さん自身もゴウキのままの人ということらしいので、照英さん自身のキャラがそのまま劇中のキャラとして当て書きされていたと考えると、やはりこの結果以外にはないでしょう。

ギンガイエロー/ヒカル

ESFP-A(自己主張型のエンターテイナー)

ヒカルに関してはもう迷うことなくESFP-Aだと判断しました、もうとにかく典型的な悪戯っ子で楽しいことが大好き、振る舞いを見ても自己主張しまくるのでAタイプ(自己主張型)でしょう。
リョウマやハヤテとは違い内面に問うことはなく意識は基本的に外向きなのでE(外向的)と判断しました、彼のメイン回を見るとほとんど動きで見せていますので全く内向的ではありません。
S(感覚型)と判断したのは目の前の状況に応じて動いていくので現実に対応していくタイプだかですし、また行動基準も理論・理屈ではなく感情で動くのでF(感情型)以外には考えられないです。
最後に関してはデギウスへの説得がリョウマと似ていて柔軟に相手に働きかける感じだったのでP(知覚型)であり、彼がいてくれたからこそチーム全体に躍動感と明るさが生まれたと思います。

個人的な印象ですが、「ギンガマン」という作品が苦悩・葛藤を演じるリョウマを主人公に据えていながらも必要以上に湿っぽくならなかったのはヒカルがいてくれたからではないかと。
彼がどんどん外に向かって働きかけていき、トラブルメーカーである面も含めていいアクセントになったと思います、彼がこうだったからこそ「ギンガマン」は明るさを保てたし楽しかった
リョウマみたいに葛藤しながら成長を見せるのではなく、身体の動きと感情を素直に出しながら成長していくという対比も良くできており、賑やかなことが大好きという印象。
思えば今配信中の『侍戦隊シンケンジャー』(2009)のシンケングリーン/谷千明はヒカルをTタイプ(慎重型)の擦れた現代っ子にした感じといえるかもしれません。

ギンガピンク/サヤ

ENFP-A(自己主張型の運動家)

リョウマの次にキャラの判定に苦しんだのが実はギンガピンク/サヤでしたが、基本的にはヒカルと同じでAタイプ(自己主張型)であることは彼女のメイン回を見ればわかります。
彼女の場合も内面に問うことはなく意識が外向きなのでE(外向的)と判断したのですが、理由としてはヒュウガへの憧れがゴウキ同様に外に漏れていて、ヒカルにいじられたからです。
そしてS型かN型かということですが、要所要所でリョウマの内面の葛藤を見抜いているのでN(直観型)、そして行動基準はリョウマ・ゴウキ・ヒカルと同じでF(感情型)でしょう。
最後に関してもやはりヒュウガへの思いで揺れている節があるので厳しく判断するタイプではなく柔軟に対応するタイプであり、P(知覚型)であると私は判定しました。

彼女に対する個人的な印象はとにかく「かわいそう」なんですよね、なぜかってリョウマ・ゴウキ・ヒカルとキャラの諸要素が被ってしまっているからです。
ヒュウガへの憧れとそれ故の苦悩はリョウマに、みんなへの思いやり担当はゴウキに、そして未熟ながら成長していく枠はヒカルに取られてしまい、うまくキャラが立ちませんでした。
これは彼女のメイン回がほとんど小林靖子ではなく荒川稔久か武上純希だったのも影響していますが、初期の段階で差別化を図るための構想が浮かばなかったのでしょう。
自信満々だが未熟な女版ゴウキ」は納得ですが、それこそ『侍戦隊シンケンジャー』(2009)のシンケンイエロー/花織ことははリョウマとサヤのハイブリッドなのかもしれません。

黒騎士ブルブラック

INTJ−T(慎重型の建築家)

ブルブラックですが、彼に関してはリョウマ・ハヤテ・ヒュウガとの対比も兼ねて考えると簡単に納得できました、まず行動に関してはじっくり動きタイプなのでT(慎重型)であることに違いはありません。
次にヒュウガとの決定的な違いとして、彼はあくまでもバルバンへの復讐をメインとして誰にも心開かずに動いていたのでI(内向的)であることは劇中での言動を見れば一目瞭然です。
N(直観型)と判断したのは彼のやり方が歪んだ理想主義のそれだからであり、T(思考型)だと判断したのはヒュウガやハヤテと同じく彼なりの理論・理屈があり感情では動かない人と判断してのことです。
最後は特にリョウマに対する物言いがそうですが「それだ、その甘さだ!」と相手にダメ出しをせずにはいられないところがまさにヒュウガとそっくりなのでJ(判断型)以外にありえないでしょう。

復讐鬼として本編では一匹狼のごとく描かれていた黒騎士ですが、ハヤテとヒュウガとTJ型である点が似ていながら、一番の違いはそのやり方が現実的なものではないということです。
どういうことかというと、「ギンガの光を手に入れてバルバンに復讐する」とか「いざとなれば地球ごと爆発させる」というのは理論・理屈の上でいえば間違ってはいません
しかし、どちらも凄まじく高いリスクを負うやり方なので決して褒められたものではなく、不健全なINTJは追い詰められた時に何をしでかすかわからない怖さがあります
そこも含めて「闇堕ちしたヒュウガ」というキャラ造形は納得であり、意識を己の内側に向けるか外側に向けるかで全く違うキャラとして描けているのは見事です。

黒騎士ヒュウガ

ENTJ−A(自己主張型の指揮官)

ヒュウガに関してはもう最初から完璧に出来上がっていたのでENTJ(指揮官)で決まりでしたし、また作品全体を通してどんどん前に打って出るタイプなのでA(自己主張型)で迷いはありません。
リョウマ・ハヤテ・ブルブラックとの決定的な違いとして、内面の葛藤を演じることがほとんどなく意識を「どうすれば星を守れるか?」に向けているのでE(外向的)と判断しました。
また、ブルブラックと同じく多少現実的でないやり方であったとしても星を守る選択を取るためN(直観型)、リョウマと違って感情を一切差し挟まずに動けるのでT(思考型)となります。
最後のJ(判断型)に関してはいうまでもないでしょう、対リョウマに限らずどんな物事にも人物に対してもきちんと良し悪しを判断する能力があるため、J以外はありません。

ヒュウガに関しては本来彼がギンガレッドになる予定だったのもあり、いわゆる70〜80年代のカリスマ型リーダーレッド(ENTJ・ENFJ)の系譜にあることは誰もがわかるでしょう。
なので、彼が主人公のまま進めてもそれはそれで一定の面白さはあったでしょうが、そんな彼を第一章で一度退場させてINFPのギンガレッド/リョウマを主人公にしたのが賢明な判断です。
その上で闇堕ちした存在としての黒騎士ブルブラックや終盤のブクラテスとの関係性もあって、リョウマ共々歴代でも特殊な兄弟の描き方になりました。
ヒュウガ言うなれば「落ちたカリスマ」であり、その落ちたカリスマを潜在能力の高いリョウマに救われるという構造も、歴代で他にない形だと思います。

まとめ

ということで、ギンガマン5人と黒騎士の7人のキャラをMBTI分析してみましたが、一番の驚きはギンガレッド/リョウマがまさかのINFP(仲介者)だったことです。
まさか本質的に私と重なる部分があったとはという事実もそうですが、実は彼をINFJ(提唱者)と思おうとしたこともありましたが、INFJならもっとカリスマっぽくなっていたと思います。
INFPの主人公は上記しましたがルークしかりフロドしかり遊戯しかり、そして「ドラゴンボール」の孫悟飯しかり、葛藤・苦悩しながら試練を乗り越えていくことが多いんですね。
ましてや1998年当時はジャンプ漫画でもカリスマ型の主人公から新世代の成長型主人公へ切り替わっていた時でもありますから、そういう時代性の影響も多少はあるでしょう。

それこそタイムレンジャーのタイムレッド/浅見竜也がENFP-T(慎重型の運動家)でゴウキと被っているので、リョウマよりはゴウキに近い位置付けなのは納得です。
いかにも王道戦隊の定番みたいに謳われている「ギンガマン」ですが、実際の作品を見て歴代と照らし合わせていくと、実は結構作劇的にも映像的にも大変過激なことをしています
その「過激さ」が一番如実に現れたのがギンガレッド/リョウマの造形であり、INFP型の「苦悩しながら自分探しで成長していく主人公」というのは彼くらいかもしれません。
その他は割と型にハマっていることを思うと、高寺Pも小林靖子もリョウマには相当な熱を入れて造られたのであろうなと、決して単純な王道という枠に収まっていないのが奥深いというか。

次は未定ですが、候補としては『忍者戦隊カクレンジャー』(1994)か『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)かを考えています。
『超力戦隊オーレンジャー』(1995)と『侍戦隊シンケンジャー』(1995)、それから『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)は配信終わるまで一旦保留にしておきましょう。

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