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スーパー戦隊シリーズの脚本家・執筆本数ランキング(『秘密戦隊ゴレンジャー』〜『機界戦隊ゼンカイジャー』)

オリジナル戦隊『覇界戦隊オメガレンジャー』の基礎設計の立ち上げは完了しましたが、そういえば現役の本家スーパー戦隊シリーズにて、まだ私の中でやり残しタコとがあることに気づきました。
それはキャスト・スタッフのリストアップとその分析であり、思えば歴代戦隊で名前の挙がる人とそうでない人がいるなあということに気づき、急遽どんなもんかと振り返る記事です。
今回はその第一弾として「スーパー戦隊シリーズの脚本家・執筆本数ランキング」なるものを集計し、そこから読み取れる傾向などを分析してみようというものになります。
対象作品は『秘密戦隊ゴレンジャー』〜『機界戦隊ゼンカイジャー』までの全45作品であり、現行の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』はまだシリーズが終了していないためカウントしません。
2022(令和4)年10月25日現在のランクになるため、随時更新の可能性もあります。

※あくまでもランキングは「執筆数」であって「評価の良し悪し」「好き嫌い」といったものではありませんので、誤解されないように前書きしておきます。また、VSシリーズや劇場版や「帰ってきた」「10 Years After」といった後日談など、いわゆる「番外編」としてカウントされる作品も対象外ですのでご了承ください。

それでは、どうぞ。

脚本家執筆本数ランキングTOP10


1位、曽田博久……399本(『秘密戦隊ゴレンジャー』『ジャッカー電撃隊』『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』『太陽戦隊サンバルカン』『大戦隊ゴーグルファイブ』『科学戦隊ダイナマン』『超電子バイオマン』『電撃戦隊チェンジマン』『超新星フラッシュマン』『光戦隊マスクマン』『超獣戦隊ライブマン』『高速戦隊ターボレンジャー』『地球戦隊ファイブマン』『忍者戦隊カクレンジャー』『超力戦隊オーレンジャー』『激走戦隊カーレンジャー』)

2位、小林靖子……228本(『電磁戦隊メガレンジャー』『星獣戦隊ギンガマン』『救急戦隊ゴーゴーファイブ』『未来戦隊タイムレンジャー』『轟轟戦隊ボウケンジャー』『侍戦隊シンケンジャー』『特命戦隊ゴーバスターズ』『烈車戦隊トッキュウジャー』)

3位、荒川稔久……226本(『鳥人戦隊ジェットマン』『恐竜戦隊ジュウレンジャー』『五星戦隊ダイレンジャー』『忍者戦隊カクレンジャー』『激走戦隊カーレンジャー』『電磁戦隊メガレンジャー』『星獣戦隊ギンガマン』『忍風戦隊ハリケンジャー』『爆竜戦隊アバレンジャー』『特捜戦隊デカレンジャー』『魔法戦隊マジレンジャー』『轟轟戦隊ボウケンジャー』『獣拳戦隊ゲキレンジャー』『炎神戦隊ゴーオンジャー』『天装戦隊ゴセイジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』『動物戦隊ジュウオウジャー』『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』『騎士竜戦隊リュウソウジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』)

4位、上原正三……168本(『秘密戦隊ゴレンジャー』『ジャッカー電撃隊』『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』『太陽戦隊サンバルカン』『超力戦隊オーレンジャー』)

5位、香村純子……135本(『炎神戦隊ゴーオンジャー』『天装戦隊ゴセイジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』『動物戦隊ジュウオウジャー』『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』『機界戦隊ゼンカイジャー』)

6位、武上純希……120本(『電磁戦隊メガレンジャー』『星獣戦隊ギンガマン』『救急戦隊ゴーゴーファイブ』『百獣戦隊ガオレンジャー』『特捜戦隊デカレンジャー』『轟轟戦隊ボウケンジャー』『炎神戦隊ゴーオンジャー』)

7位、杉村升……113本(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』『五星戦隊ダイレンジャー』『忍者戦隊カクレンジャー』『超力戦隊オーレンジャー』)

8位、藤井邦夫……70本(『超電子バイオマン』『電撃戦隊チェンジマン』『超新星フラッシュマン』『光戦隊マスクマン』『超獣戦隊ライブマン』『高速戦隊ターボレンジャー』『地球戦隊ファイブマン』『鳥人戦隊ジェットマン』『五星戦隊ダイレンジャー』『忍者戦隊カクレンジャー』)

9位、井上敏樹……64本(『超新星フラッシュマン』『光戦隊マスクマン』『超獣戦隊ライブマン』『高速戦隊ターボレンジャー』『地球戦隊ファイブマン』『鳥人戦隊ジェットマン』『恐竜戦隊ジュウレンジャー』『五星戦隊ダイレンジャー』『超力戦隊オーレンジャー』『未来戦隊タイムレンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』)
横手美智子……64本(『特捜戦隊デカレンジャー』『魔法戦隊マジレンジャー』『獣拳戦隊ゲキレンジャー』『天装戦隊ゴセイジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』)
下山健人……64本(『天装戦隊ゴセイジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』『特命戦隊ゴーバスターズ』『手裏剣戦隊ニンニンジャー』『動物戦隊ジュウオウジャー』『宇宙戦隊キュウレンジャー』)

10位、毛利亘宏……56本(『特命戦隊ゴーバスターズ』『手裏剣戦隊ニンニンジャー』『宇宙戦隊キュウレンジャー』『機界戦隊ゼンカイジャー』)

TOP11以下の脚本家執筆数リスト


三条陸……52本(『獣電戦隊キョウリュウジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』)
會川昇……48本(『爆竜戦隊アバレンジャー』『轟轟戦隊ボウケンジャー』『獣拳戦隊ゲキレンジャー』『炎神戦隊ゴーオンジャー』『烈車戦隊トッキュウジャー』)
前川淳……44本(『忍風戦隊ハリケンジャー』『爆竜戦隊アバレンジャー』『魔法戦隊マジレンジャー』)
高久進……42本(『秘密戦隊ゴレンジャー』『ジャッカー電撃隊』『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』『太陽戦隊サンバルカン』『恐竜戦隊ジュウレンジャー』『五星戦隊ダイレンジャー』『忍者戦隊カクレンジャー』『超力戦隊オーレンジャー』)
宮下隼一……38本(『救急戦隊ゴーゴーファイブ』『忍風戦隊ハリケンジャー』『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
浦沢義雄……35本(『激走戦隊カーレンジャー』『爆竜戦隊アバレンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』)
大和屋暁……32本(『魔法戦隊マジレンジャー』『轟轟戦隊ボウケンジャー』『侍戦隊シンケンジャー』『烈車戦隊トッキュウジャー』『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』)
山岡潤平……28本(『騎士竜戦隊リュウソウジャー』)
鷺山京子……23本(『大戦隊ゴーグルファイブ』『科学戦隊ダイナマン』『超電子バイオマン』『電撃戦隊チェンジマン』『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)
山口亮太……17本(『救急戦隊ゴーゴーファイブ』『未来戦隊タイムレンジャー』)
酒井直行……15本(『百獣戦隊ガオレンジャー』『忍風戦隊ハリケンジャー』)
新井光……13本(『秘密戦隊ゴレンジャー』『ジャッカー電撃隊』)
江連卓……13本(『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』)
荒木憲一……13本(『鳥人戦隊ジェットマン』『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)
下亜友美……13本(『騎士竜戦隊リュウソウジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』)
松本功……12本(『大戦隊ゴーグルファイブ』『科学戦隊ダイナマン』)
渡辺麻実……10本(『高速戦隊ターボレンジャー』『地球戦隊ファイブマン』『鳥人戦隊ジェットマン』)
金子香緒里……10本(『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』『騎士竜戦隊リュウソウジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』)
井上テテ……8本(『宇宙戦隊キュウレンジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』)
田中仁……7本(『動物戦隊ジュウオウジャー』)
古怒田健志……6本(『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
酒井あきよし……6本(『太陽戦隊サンバルカン』『大戦隊ゴーグルファイブ』)
筒井ともみ……5本(『太陽戦隊サンバルカン』)
寺田憲史……5本(『科学戦隊ダイナマン』)
柳川茂……5本(『電磁戦隊メガレンジャー』)
赤星政尚……5本(『百獣戦隊ガオレンジャー』)
石橋大助……5本(『侍戦隊シンケンジャー』『天装戦隊ゴセイジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』)
たかひろや……5本(『騎士竜戦隊リュウソウジャー』)
押川国秋……4本(『ジャッカー電撃隊』)
吉田伸……4本(『忍風戦隊ハリケンジャー』)
小林雄次……4本(『獣拳戦隊ゲキレンジャー』)
平山公夫……3本(『秘密戦隊ゴレンジャー』『ジャッカー電撃隊』)
吉村元希……3本(『獣拳戦隊ゲキレンジャー』)
八手三郎……3本(『天装戦隊ゴセイジャー』『機界戦隊ゼンカイジャー』)
吉田竣亮……2本(『科学戦隊ダイナマン』)
きだつよし……2本(『星獣戦隊ギンガマン』)
藤川桂介……1本(『秘密戦隊ゴレンジャー』)
長坂秀佳……1本(『ジャッカー電撃隊』)
松下幹夫……1本(『太陽戦隊サンバルカン』)
由起圭……1本(『大戦隊ゴーグルファイブ』)
三木孝祐……1本(『科学戦隊ダイナマン』)
山中伊知郎……1本(『科学戦隊ダイナマン』)
山本優……1本(『超電子バイオマン』)
鳴海丈……1本(『超電子バイオマン』)
島田満……1本(『超新星フラッシュマン』)
照井啓司……1本(『超新星フラッシュマン』)
長石多可男……1本(『超新星フラッシュマン』)
川崎ヒロユキ……1本(『鳥人戦隊ジェットマン』)
八渡直樹……1本(『鳥人戦隊ジェットマン』)
増田貴彦……1本(『鳥人戦隊ジェットマン』)
沖田徹男……1本(『星獣戦隊ギンガマン』)
村山桂……1本(『星獣戦隊ギンガマン』)
中洲千恵次郎……1本(『百獣戦隊ガオレンジャー』)
鈴木竹志……1本(『爆竜戦隊アバレンジャー』)
中島かずき……1本(『獣拳戦隊ゲキレンジャー』)
波多野都……1本(『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
吉本聡子……1本(『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
徳永富彦……1本(『魔進戦隊キラメイジャー』)

<分析結果>

まずはっきりと見て驚かされるのは曽田博久先生の399本という圧倒的な執筆数であり、今後シリーズがどれだけ続いたとしてもこの本数を超えることは不可能であろう。
さすがは「科学忍者隊ガッチャマン」の頃から集団ヒーロー番組に携わってきただけのことはあり、「ゴレンジャー」からシリーズを一貫して支え続けてきた立役者なのは間違いない。
何よりも『大戦隊ゴーグルファイブ』〜『地球戦隊ファイブマン』まで9年もの間メインライターを張り続けていた功績は伊達ではなく、90年代でも微力ながらシリーズを支えている。
もちろん初期の『秘密戦隊ゴレンジャー』〜『太陽戦隊サンバルカン』までメインライターを担当していた上原正三大先生が支えてくださった土台があってのことだが、それでもこの数字は目を見張るものがある。

次に2位が小林靖子女史の228本、3位が荒川稔久の226本と続いていくわけだが、双方とも形や作風はまるで異なれど、スーパー戦隊シリーズに貢献してくれた功労者であることは間違いない。
小林女史は『星獣戦隊ギンガマン』『未来戦隊タイムレンジャー』『侍戦隊シンケンジャー』『特命戦隊ゴーバスターズ』『烈車戦隊トッキュウジャー』とメインが5作品、更にはサブライターで『電磁戦隊メガレンジャー』『救急戦隊ゴーゴーファイブ』『轟轟戦隊ボウケンジャー』の3作品にも携わっている。
3位の荒川稔久は『鳥人戦隊ジェットマン』を皮切りにずっとサブライターとして支え続けてきたが、『爆竜戦隊アバレンジャー』を皮切りにメインライターにも起用され続け、今日までシリーズを支え続けてきた。
シリーズ数だけならば小林女史の方が少ないが1つ1つの脚本の質は高く、荒川稔久は数が多いがその分回や作品によってクオリティに差があるという違いはあるだろうか。

そこからは上原正三大先生、香村純子、武上純希、杉村升と続くわけだが、いずれも戦隊ファンの間でその名前を聞かないことはないくらいに力のある御仁が支えている。
個人的に意外だったのは藤井邦夫が執筆数だけでいえばかなりの数を書いていることであり、サブライターでありながら参加した作品数が多いことが影響しているのであろうか。
また、特撮ファンの間では有名な井上敏樹先生は代表作がかの『鳥人戦隊ジェットマン』だから話題性はあるが、参加した作品数そのものはそんなに多くはない
現在放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』がどう転ぶかがわからないため何とも言えないが、もしかするとまた井上先生は戦隊シリーズに全面的に携わるのか?

ランク外の人たちが58人、そしてランクインしているのが11人なので総勢69人もの脚本家がこれまでスーパー戦隊シリーズを支えてきたことがわかる。
だが、決してそれは層が厚いということとイコールではなく、上位勢を見ればわかるように、「業務の属人化(その人以外に業務がこなせない状態)」が発生しているだろう。
特に曽田先生に関していえば9年間もメインライターをこなしたという事実は確かに凄いのだが、裏を返せば長きに渡ってスーパー戦隊シリーズのメインライターを張れる人が不在だったともいえる。
また、90年代に入ると前半はほとんどが杉村升に頼っていて、後期になると浦沢義雄を挟んで武上純希と小林靖子を交代しながらメインライターを務めさせているという状況が目立った。

2000年代に入ると荒川稔久や前川淳、宮下隼一、會川昇、横手美智子といった面子もメインライターを担当するようになるが、それでもこの属人化の問題は解消できていない。
2010年代では下山健人、三条陸、毛利亘宏、香村純子あたりが台頭するが、それでも段々とメインライターを張れる人たちは一線を退いていき、益々層の希薄化が危惧されているようだ。
思えば『魔進戦隊キラメイジャー』で荒川稔久をまたもやメインに起用したり、現在放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で再び井上敏樹がメインを張っているのも有能な人材が不足している証拠だろう。
サブライターの入れ替わりも何とか行われているが、それでもなかなか「この人!」といえる人材がいないというのがスーパー戦隊シリーズの脚本家執筆数の偏りを見てもわかる。

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