スーパー戦隊のヒーロー側をMBTI分析してみた、『侍戦隊シンケンジャー』(2009)編
昨日は『激走戦隊カーレンジャー』(1996)のMBTI分析したので、本日はずっと書くと宣言してそのままになっていた『侍戦隊シンケンジャー』(2009)メンバーのMBTI分析です。
殿姫家臣のMBTI分析
シンケンレッド/志葉丈瑠
分析結果:ISTJ-T(慎重型の管理者)
I(内向型。とにかく全編通して誰にも悩みを打ち明けないし、基本的に家臣たちをはじめとして他者に対する関心のなさは歴代レッドの中でも相当な突き抜け具合)
S(感覚型。彦馬さんの教育もあるのだろうが、直観的に相手の本質を見抜くというよりも目の前の現実に的確に対応していくし、そのことを十臓からも指摘されていた)
T(思考型。基本的には外道衆を倒すためにどうするかという指針で動いており、感情面は一切排除して戦いに臨むことができるくらいに徹底されている)
J(判断型。全体を通して迷う印象も多いが、少なくとも戦いにおける判断においては迷いを見せたことがなく、他の可能性や選択肢は一切考えない)
T(慎重型。後ろでドンと構えていて、メンバーが先陣を切った後にトリを飾る形でフィニッシュすることが多いので、自ら前に打って出るのは本当に必要最小限)
丈瑠に関してはてっきりENTJ(指揮官)かと思われましたが、劇中での描写を見る限りどうもそれは違っていて、よくよく見るとギンガグリーン/ハヤテと同じISTJ(管理者)だとわかり、納得です。
そもそも歴代レッドの中でこの造形自体が珍しいものですが、他の戦隊では2番手に来そうな冷静沈着とされるタイプを主人公として持ってくるところが相当に異色であると思います。
「シンケンジャー」が特に初期の1クールで異様に作風といい画面といい暗かったのは丈瑠のやたら生真面目な性格が画面全体を支配していたからだと考えると納得です。
前作「ゴーオンジャー」の走輔がとにかくおバカキャラだったこととの差別化もあるのですが、本作はしっかり系の主人公を狙ってこの造形にしたという感じでしょうか。
シンケンブルー/池波流ノ介
分析結果:ESFJ-A(自己主張型の領事)
E(外向型。自分のことよりも家臣たちのこと、そして何よりも殿である丈瑠に意識が向いている為に自分のことで悩むことはほとんどない)
S(感覚型。丈瑠同様に抽象度の高い直観力というよりも目の前の現実に対応していき、いざとなれば丈瑠よりもシビアなところがある)
F(感情型。とにかく全体を通してやかましく騒ぐ印象があるのは思考ではなく感情で動いているからこそであり、初期は特にそれ故の暴走が散見された)
J(判断型。自分に対しても仲間に対しても徹底して「侍」であることを求めるし、いざという時の判断力は丈瑠よりも厳しいこともある)
A(自己主張型。殿へのアピールをはじめとして、家臣たちに対してもとにかく積極的に自分をアピールするタイプであり、源太と一度衝突したのもそれが原因)
最初はESTJ(幹部)かと思ったのですが、劇中とにかくやかましく叫び自分の感情のままに行動しているのでESFJ(領事)であり、言うなれば「男性版鶴姫」という歴代でも極めて珍しい造形。
確かに鶴姫も流ノ介もメンバーに対してガミガミ説教したがるところやいざという時に判断やくを任される肝っ玉母さんなところは共通していて、鶴姫が男性になったらこうなのかと納得です。
最初は源太と同じESFP(エンターテイナー)も考えられたのですが、第十九幕で「侍になってはしゃいでる内は侍ごっこだ!」と厳しく断じているところから違うと判断しました。
源太はとにかく楽しいことを模索しますが、流ノ介は楽しい中にも一定の規律や厳しさを求める純粋培養の侍なので、そこら辺がいいアクセントになっていた気がします。
シンケンピンク/白石茉子
分析結果:ENTP-T(慎重型の討論者)
E(外向型。自分のことで悩むというよりも、普段はメンバーに対して甲斐甲斐しく面倒を見ることが多く、それは第三十四幕以降でも変わらなかった)
N(直観型。丈瑠が抱えている「嘘」についても漠然と見抜いていたり、家臣たちのことも常に奥底の本質を見ながら助言やサポートを行っている)
T(思考型。感情的な部分ももちろん根っこにはあるが、そこを解決する前から基本的には感情ではなく自分なりの理論・理屈で動いている)
P(知覚型。丈瑠や流ノ介が徹底した判断型であるのとは対照的に、常に可能性や余白を残しながら動いているために、作品全体に余韻を残している)
T(慎重型。これはもう初期から腕を組んでじっと丈瑠の人となりを見極めようとしていた辺りから間違いなく慎重型であることが窺える)
茉子は判別が難しく、メンバーに対して甲斐甲斐しく世話したりメイン回になると感情面が出たりするのでてっきりENFP(運動家)かと思いましたが、よくよく考えると違いました。
本質は相手のことを直感で見抜いてズバッと論破してしまう「論破王」とでもいうべき舌戦の強さがあって、特に丈瑠や流ノ介相手にそれが発揮されていたことからENTP(討論者)というのが最終的な評価です。
親の愛情が欠落していたから相手に抱きつく癖があっただけで、それが三十四幕で埋まってからはむしろ侍として純化し「論破王」の気質が剥き出しになっており、敵に回したら実に恐ろしくもあります。
千明が「姐さん」と呼んで恐れをなすのもそれが理由であり、迂闊に近づこうものならズバッと本質を見抜かれ論破される生粋のメンタルブレイカーが茉子ではないでしょうか。
シンケングリーン/谷千明
分析結果:ESTP-T(慎重型の起業家)
E(外向型。擦れた都会っ子として描かれているが、自分のことよりも家臣たちのことに興味関心があって、あまり自分のことで深く悩んだりしない)
S(感覚型。抽象的な直感力よりも目の前の現実に対応していくタイプであり、そこが流ノ介とは共通していて面白いところ)
T(思考型。劇中だと一見感情ベースで動いているようだが、その場の感情に流されることは意外と少なく、その場で自分に何ができるかを考えるタイプ)
P(知覚型。決してこうだと決めつけず、常に余白を残しながら新しい可能性や戦い方を模索しようとするところに知覚型であるのが見て取れる)
T(慎重型。茉子同様に最初は丈瑠のことを安易に信用しなかったし、新規の源太や薫姫に対しても割と冷静な感じに対処していた)
千明はてっきりギンガイエロー/ヒカルと同じESFP(エンターテイナー)で、差別化としてT(慎重型)かと思いましたが、劇中で見る限りやはりこちらも違っていてESTP(起業家)と判別しました。
それがどこで出たかというと丈瑠に対して思いっきり「丈瑠を絶対超えてやる」とか「お前が殿様背負ってくっつーなら家臣になってやってもいい」発言にそれが窺えます。
これは決してツンデレではなく本心であり、千明にとって丈瑠はリスペクトもある程度はしてるでしょうが、それ以上に「目の上のたんこぶ」だと思っている節があるようです。
基本的にESTP(起業家)って自分より上がいるのが気に食わないので、千明は将来的に家臣であることをやめて独立しそうな感じに見えます、少なくとも「殿様!」という感じではありません。
シンケンイエロー/花織ことは
分析結果:ISFP-T(慎重型の冒険家)
I(内向型。殿への忠誠心はもちろんあるのだが、自分の問題はなるべく内々で処理しており、殿様の役に立つことも含めて常に気持ちのベクトルが内向き)
S(感覚型。大局を見据えて動く直感力というよりも目の前の現実に対処していく感じで、それが直観型の茉子や薫姫との対比にもなっている)
F(感情型。殿や千明、茉子とは対照的にものすごく自分の感情に正直に動くタイプであり、逆に言えば感情がクリアになっていないとうまく動けない。殿執事回や姉の病気の件がその典型)
P(知覚型。相手をこうだと決めつけることはなく、常に可能性を模索し余白を残しながら動いていて、そこら辺が千明や源太と波長の合うところなのかもしれない)
T(慎重型。一見自己主張タイプかと思われたが、実は彼女自身からグイグイアピールすることはなく、うまいこと輪の中に溶け込んで動いている)
姉の代理で戦っていて素直で直向き、なおかつ殿への想いを秘めていることからギンガレッド/リョウマと同じINFP(仲介者)かと思いましたが、こちらも違いました。
むしろ自分の理想を純粋に追い求めるISFP(冒険家)であり、自分の中で感情がクリアにならないとうまく動けないところがメイン回になると度々露呈しています。
それが自己肯定感の低さにもなっていたのですが、同時にその純粋にロマンを追い求める姿が少なからず当主である丈瑠に影響を与えていたのは事実です。
相性が最高なのは実はENTP(討論者)の茉子であり、第十三幕では弱っている茉子をことはが世話していましたが、いい感じの凹凸コンビであると思います。
シンケンゴールド/梅盛源太
分析結果:ESFP-A(自己主張型のエンターテイナー)
E(外向型。とにかくもう自分のことよりも寿司を食いに来てくれるお客様や丈瑠たち侍の仲間たちを大事にするし、とにかく社交性が高い)
S(感覚型。抽象的な直感力というよりも、常に目の前の出来事に対処していく現実的な感覚を持っており、だから時にはカレーを作ってヒットさせることまで考え実行してしまう)
F(感情型。もうとにかく楽しいことやお祭り騒ぎが大好きであり、初登場から一貫して自分にとって楽しくあることが仲間にとっても楽しいはずという思い込み・勘違いで動いている)
P(知覚型。ここが流ノ介との違いなのだが、流ノ介がシビアにジャッジを下すのに対して、源太は楽しければなんでもアリなのであまり決めつけたり説教したりしない)
A(自己主張型。初登場から「近日見参!」なんて矢文を志葉家に出すところからして、とにかくもう自分を売り込みたくて必死であることが窺える)
追加戦士には珍しいESFP-A(自己主張型のエンターテイナー)であり、どちらかといえば彼の方がギンガイエロー/ヒカルの継承者であると言えます。
彼が来てくれたおかげで「シンケンジャー」は画面も明るくなったし意味内容(作劇)も楽しくなりましたが、追加戦士にキレンジャーポジションが来ること自体が珍しいでしょう。
逆に言えば、全体的に陰湿というか暗さが横たわっている本作の作風が中盤以降緩和されたのは源太の存在があったからであり、しかも終盤には最高に相性がいい薫姫との絡みもあります。
「寿司屋で良ければお供するぜ」からの意気投合っぷりを見ればわかるように、実は源太は幼馴染にして親友の丈瑠よりも薫姫との相性の方が抜群にいいのでは?というのが個人的見解です。
シンケンレッド/志葉薫
分析結果:ENTJ-T(慎重型の指揮官)
E(外向型。自分自身のことというよりも侍たちのこと、血祭ドウコクを封印することを第一優先で考えており、周りのことをしっかり見て動いている)
N(直観型。丈瑠との大きな違いでいうと常に大局を見据えながら判断して動いているので、逆に言えば現場に出向いて実戦的な戦い方をするのは意外に向いていない)
T(思考型。丈瑠や茉子、千明同様に感情で動くことはほとんどなく、それが当初は家臣たちの気持ちを理解できないこととして裏目に出ていた)
J(判断型。丈瑠や流ノ介以上にシビアでドライな判断力を持ち合わせており、常に理性を働かせているために必要とあれば当主の座を丈瑠に譲ることだってできる)
T(慎重型。終盤まで全く動きを見せなかったのも、そして表に出てからも派手に動かなかったのも合わせて丈瑠同様に出方を窺って戦う)
薫姫に関しては劇中の描写が少ないとはいえ、あの動き方や言動を見ていると黒騎士ヒュウガと同じENTJ(指揮官)である以外にないとすぐわかりました。
感情に流される場面は一切なく利他的に動くことができるタイプですが、封印の文字が効かずに当主の座を丈瑠に譲るところもリョウマに戦士の資格を譲ったヒュウガとそっくりです。
一番相性がいいのはESFP(エンターテイナー)の源太であり、「寿司屋で良ければお供するぜ」のツーかーぶりから二次創作で源太と薫姫の小説が多いのも納得でした。
てっきり鶴姫や御前様のリトライかと思われましたが、それは「姫」という設定だけで中身はどこまで行こうと豪胆な男前タイプです。
メンバー同士の相性(2024/8/23追記)
最高(★★★★★)
白石茉子(ENTP)×花織ことは(ISFP)、梅盛源太(ESFP)×志葉薫(ENTJ)
良い(★★★★)
志葉丈瑠(ISTJ)x池波流ノ介(ESFJ)、志葉丈瑠(ISTJ)x谷千明(ESTP)、池波流ノ介(ESFJ)×白石茉子(ENTP)、池波流ノ介(ESFJ)×花織ことは(ISFP)、白石茉子(ENTP)×谷千明(ESTP)
普通(★★★)
志葉丈瑠(ISTJ)x志葉薫(ENTJ)、池波流ノ介(ESFJ)×梅盛源太(ESFP)、池波流ノ介(ESFJ)×志葉薫(ENTJ)、白石茉子(ENTP)x梅盛源太(ESFP)、白石茉子(ENTP)×志葉薫(ENTJ)、谷千明(ESTP)×花織ことは(ISFP)、谷千明(ESTP)×梅盛源太(ESFP)
悪い(★★)
花織ことは(ISFP)×梅盛源太(ESFP)
最悪(★)
花織ことは(ISFP)x志葉薫(ENTJ)
特殊(?)
志葉丈瑠(ISTJ)x白石茉子(ENTP)、志葉丈瑠(ISTJ)x花織ことは(ISFP)、志葉丈瑠(ISTJ)x梅盛源太(ESFP)、池波流ノ介(ESFJ)×谷千明(ESTP)、谷千明(ESTP)×志葉薫(ENTJ)
こうして見ると、ほぼ劇中の描写と相性関係は一致していて、最高が茉子とことはのシンケンガールズ、そして終盤の源太と薫姫というのはしっかり描かれています。
その次が殿と流ノ介・源太に流ノ介と茉子・ことは、茉子と千明というのもまあ本編見ると合っていて、殿と千明は表面上反目し合っているようで、何だかんだ一目置いている関係でしょう。
逆に、終盤の殿姫並びにその殿姫と絡む源太の他メンとの関係性が微妙なところで、特にことはと源太の相性が悪いのはカレー回がその典型で、ことはが良かれと思って源太に言ったことがかえって裏目に出ていました。
それから最悪なのがことはと姫なのですが、これはまあ本編で直接的な絡みが一回も描かれていないために表面化しづらい問題だったので、逆にまあ良かったのではないかと思います。
次に特殊な相性ですが、まあほぼほぼ殿関連に集中しているのも納得で、殿とシンケンガールズ、そして幼馴染の源太はいずれも特殊な絡み方ではありました。
また、流ノ介と千明も結構特殊で、序盤は割と憎まれ口を叩いていたかと思いきや後半の手繋ぎアクション回では結構息が合ってるところも見せるなど妙な凸凹コンビっぷりが目立っています。
こうしてみると、本当に筆が乗ってる時の小林靖子はきちんとキャラ設計と絡み方に無理がなく、MBTIで分析してもほぼ劇中の描写と一致しているのは流石プロだなあと感心するところです。
まとめ
ご覧いただければお分かりですが、まあとにかく歴代でもキャラの癖が濃くて強いという特徴が見て取れますね、何せレッドがISTJ(管理者)ですから。
そしてそれを囲うのがESFJ(領事)、ENTP(討論者)、ESTP(起業家)、ISFP(冒険家)という辺りまとまっているようで全然まとまってない(笑)
そりゃあチームとしては歪な主従関係にならざるを得ないし、逆に言えばESFP(エンターテイナー)やENTJ(指揮官)が来てようやくチームとしてまとまるというのが本作らしいところです。
前作「ゴーオンジャー」はとにかくレッドの走輔が非常にわかりやすいESFP(エンターテイナー)で彼を中心になんだかんだ一枚岩でまとまっていたのとは対照的に思えます。
なんでこんなめんどくさいことになったのだろうと考えましたが、おそらく本作の持つ「殿と家臣の主従関係」という窮屈な仕組みに対抗するには5人を徹底してバラバラにするしかないと思えたのでしょう。
ましてや組織のトップに向く人間というかESTP(起業家)の千明みたいな人の元に本来はつくべきじゃないタイプの人が年少組の家臣としているところが本作の一筋縄では行かない感じを示しています。
前作がとにかく「鋳型にはまった」キャラ造形にチームワークであったのに対し、本作は徹底して「鋳型にはめない」ことを意識した歪な形のチームを作り上げることで差別化を図ったのではないでしょうか。
ここまで癖が強いメンバーたちでよくも空中分解せずにまとまったものだと感心しますが、こうして見ると本作は丈瑠を決して神輿として持ち上げているわけではなくむしろ逆を行っていることがわかるかと思います。
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