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スーパー戦隊のヒーロー側をMBTI分析してみた、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)編

『激走戦隊カーレンジャー』(1996)に『侍戦隊シンケンジャー』(2009)のMBTI分析が完了したので、今日は一周回って原点回帰ということで『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)編です。
本当は『超力戦隊オーレンジャー』(1995)を扱いたかったのですが、「オーレンジャー」はそもそもメンバーのメイン回自体が少なくキャラの立て方というか書き分けが満足に出来ていません
したがって私でも分析のしようがなく断念しました、どなたか「オーレンジャー」のファンの方々にMBTI分析をお願いいたします。

ということで、早速本題に参りましょう。


アカレンジャー/海城剛

分析結果:ENTJ-T(慎重型の指揮官)

  • E外向型。基本的には自分のことよりもチーム全体のことを考えて動いており、だからこ007が個人的事情でとんでもないミスを犯してしまったのを厳しく咎める)

  • N直感型。目の前の現実に対応していくというよりも常に大局を見据えているので、時に仲間には理解されにくいこともあるが最終的には正解であるパターンが多く、思考の抽象度が高い)

  • T思考型。日輪仮面の回などでは珍しく激しい怒りを露わにすることがあるが、全体を通して感情に流されることはなく、常に冷静沈着に動くことを心がけている)

  • J判断型。上から与えられた任務内容を基に大まかな戦略を割り出し、最終的にGOサインを出すあの決断力は今見直しても全く古びない凄みというか貫禄がある)

  • T慎重型。強面な外見や「熱血」というイメージとは真逆で本人の動きそのものには一才の無駄がなく、本当に必要な時のみ前線に打って出る)

さすがは伝説の初代なだけあってENTJ-T(慎重型の指揮官)という納得の分析結果でしたが、劇中を見ればわかるように海城は最初から非常にクレバーな指揮官として描かれています。
誠直也の勇ましい貫禄と掛け声から「熱血」と評されがちですが、本質的にはとても冷静沈着で理想的なカリスマリーダーであり、この造形が70〜80年代の戦隊レッドの基本となりました。
劇中の描写をよくよく見ればわかりますが、海城って基本的には後ろで控えていることが多く、前線の具体的な作業は仲間に任せて一歩引いて戦況を俯瞰し、最適な戦略を割り出して戦います。
メンバーもそんな彼に信頼を置いており、だからこそ日輪仮面の回のように怒りを露わにした時の怖さが対比として映えるので、今見直しても全く古びないリーダー像です。

アオレンジャー/新命明

分析結果:ISTP-T(慎重型の巨匠)

  • I内向型。1話からして既に仲間よりも先に秘密基地の入り口の前でギターをかき鳴らしながら待機しているところから、徹底した一匹狼であるとわかる)

  • S感覚型。海城や大岩とは対照的で、大局を見据えながら動く戦略家ではなく目の前の現実に対処していく戦術の天才なので、前線に打って出るのに向いている)

  • T思考型。サブリーダーというポジションを任されていることが大きいのだが、基本的に感情に流されることはなく冷静沈着に理論・理屈で対処していく)

  • P知覚型。徹底的に厳しいジャッジを下す海城とは対照的に、その場に応じた柔軟な戦い方ができるのが長所であり、同じP型の大ちゃんとは相性がいい)

  • T慎重型。バリブルーン操縦者であることもあるのだが、海城同様に基本的には後ろでメンバーの押さえ役に徹し、いざという時だけ本気で動く)

アカレンジャーと対比させる形だったことも大きいとは思うのですが、いわゆる「戦隊の2番手=クールな一匹狼」のイメージを最初に確立したのがこの男・新命です。
カリスマリーダーの海城に負けないだけの個性となるとやはり仲間たちとあまり群れないサブリーダーにする他はなく、演じる宮内洋がそれだけのスター性を持っていたからというのも大きいでしょう。
とにかくメカニックが大好きであることもそうですが、個人的に刺さったのは何といってもENFP(運動家)である大岩大太との漫才コンビみたいな掛け合いです。
実はISTP(巨匠)とENFP(運動家)は最高の相性であり、「行きますか、大ちゃん」「あいな!」というあの感じが見ていて微笑ましくなります。

キレンジャー/大岩大太

分析結果:ENFP-A(自己主張型の運動家)

  • E外向型。まあこれはもう1話の中でとにかく海城をはじめマスターのゴンに対しても遠慮なく話しかけられる圧倒的なコミュ力の高さから窺える)

  • N直観型。スナックゴンのマスターの正体を声から直感で見抜いたり、また作戦の真意を読み取ったりする嗅覚が鋭く、思考の抽象度の高さは海城並かそれ以上ではなかろうか)

  • F感情型。これはもう基本的に盛り上げ役というか、明日香と並んで自分の気持ちだったりを遠慮なく剥き出しにして動くところから感情型であるのは明明白白)

  • P知覚型。新命と一緒にバリブルーンやバリタンクなどで動き回ることが多いが、それはメンバーの中でも数少ない柔軟な戦い方ができるタイプだからであろう)

  • A自己主張型。上でも書いたが、とにかく「おどば阿蘇山たい!」という名乗りからもわかるように、とにかく派手に自分を主張してチームを盛り上げている)

大岩に関してはてっきりESFP-A(自己主張型のエンターテイナー)かと思いましたが、最初によくよく見ると直感でマスターの正体を見抜いていたのでENFP(運動家)だとすぐにわかりました。
実際、メンバーの中で一番人情味溢れる性格ですし、通信機能など高度な思考力と知識を要求するような仕事もこなせるハイスペックぶりからも、実はとても思考の抽象度が高いことがわかります。
「キレンジャーの錯誤」という言葉も生まれてしまうくらい最高のコメディリリーフですが、彼がいてくれたからこそ本作は明るさを失うことなく2年近く突っ走ることができたのではないでしょうか。
相性ではもちろんISTP(巨匠)である新命とのコンビネーションが最高ですし、他メンバーとの相性も悪くはないので、まさにキレンジャーは彼でなければ務まりません。

キレンジャー/熊野大五郎

分析結果:ISTJ-T(慎重型の管理者)

  • I内向型。初代の大岩とは対照的に自分の殻に閉じこもることが多く、あまり自分から海城たちに向かって話しかけたり気にかけたりする様子はなかった)

  • S感覚型。ここも初代とは大違いで常に目の前の現実に対処するので精一杯であり、本質を鋭く見抜いたり大局を見据えながら動いたりといった本質を読むのが苦手)

  • T思考型。訓練生の頃からの癖だったのかもしれないが、自分の感情を表に出すことはなく、生真面目にあれこれ悩みながら動いていることがわかるだろう)

  • J判断型。ゴレンジャー予備軍の頃のマニュアルをベースに動いていたが、現場で起こる想定外などには全く対処できない辺り、有効活用されていなかった)

  • T慎重型。ここもやはり初代とは対照的に引っ込み思案な感じに描かれていて、インパクトの弱さに繋がってしまったのではないだろうか)

初代の逆張りを狙ったかのように全てが反対のISTJ-T(慎重型の管理者)として描かれていましたが、ゴレンジャー予備軍という設定も含めて没個性の象徴みたいなキャラ付けです。
キレンジャーに求められる役割は「デブ」でも「カレー」でもなく「ムードメーカー」「コメディリリーフ」にあるわけで、そこを蔑ろにしたキャラ作りをしたために全体の中で変に浮いてしまいました。
そうなった結果として劇中では明日香以上にメンバーに迷惑をかけるトラブルメーカーとなってしまい、それが最後まで改善されることがなく戦死という形で終えたのも可哀想な感じがします。
予備軍上がりは所詮いい結果を残せない」というジンクスがここで出来てしまい、『鳥人戦隊ジェットマン』でそれが覆されるまでは長いこと触れてはならないタブーの1つになっていました。

モモレンジャー/ペギー松山

分析結果:ESTJ-T(慎重型の幹部)

  • E外向型。自分のことよりもチームを優先して動いており、ゴレンジャーの攻撃の要であることからも常に全体を見て動いているのは一目瞭然)

  • S感覚型。彼女も基本的には現場に出向いて現実的に対処していく形なので、戦略ではなく戦術のスペシャリストといった印象を受ける)

  • T思考型。紅一点という割には感情的になることはほとんどなく、大人の落ち着きを持ったクールビューティーとして描かれていたのがその現れだろう)

  • J判断型。爆弾処理なども含めて、前線でとても負担のかかる仕事を任されており、一瞬の判断が命取りとなるので厳しくジャッジする役割を担う)

  • T慎重型。基本的には海城の命令ありきで動くようにできていて、自ら前線に打って出たり自己主張したりするようなわがままさは感じられない)

ペギーに関してはクールビューティーとして描かれているので間違いなくF(感情型)ではなくT(思考型)なのは分かったのですが、他が結構判別に苦労しました。
実は歴代でも珍しい「爆発物のスペシャリスト」かつ「変装の名人」なのでN(直感型)やP(知覚型)も考えられましたが、描写を見てると他の戦い方を模索する感じはありません。
また、海城や大岩が持っている思考の抽象度を持っておらず真意をイマイチ分かってないことからS(感覚型)であり、新命や明日香同様具体のレイヤーで仕事している人だとわかりました。
なので総合的にはESTJ-T(慎重型の幹部)となり、ヒロインであること以上に「中間管理職」であることがペギーの本質だと分かったのが面白いです。

ミドレンジャー/明日香健二

分析結果:ISFJ-A(自己主張型の擁護者)

  • I内向型。基本的にチームのことよりも自分中心で動いているところがあって、それが前半でも後半でも輪を乱すトラブルメーカーのような要素だったりもした)

  • S感覚型。目の前の出来事に対して現実的に対処していく形が多く、あまり思考の抽象度は高くないのでとにかく下っ端の具体のレイヤーでしか動けない)

  • F感情型。大岩ほどオーバーに表現していたわけではないが、かといって自らを理性でコントロールして行動を分別つけていたかというとそうでもないだろう)

  • J判断型。とにかく「これ!」と決めたら他の選択肢を考えずに動いてしまうところがあるので、それが周りをヒヤヒヤさせる危なっかしさに繋がっている)

  • A自己主張型。メンバーから子供扱いされることに腹を立てたり、成功すると得意げに威張ったりする子供っぽさに自己主張の高さが見て取れるだろう)

彼に関しては迷うまでもなくISFJ-A(自己主張型の擁護者)であるのはわかりました、明らかに「長い物には巻かれろ」体質の最年少として描かれていましたから。
とにかく感情で突っ走ってしまいやすい個人主義なところがあるわけですが、それを自覚してからはメンバーのサポート役に徹するようになっています。
悪くいって仕舞えば年上組についていくだけの都合のいいゴマスリ体質とも言えるわけですが、こういうポジションの人って職場では影が薄くなりがちです
二代目キレンジャーのような失敗作にならなかっただけマシですが、意味内容がだいぶ洗練された90年台ならもう少し上手くキャラを立たせられた気がしてなりません

まとめ

伝説の初代なだけあって、MBTI分析で見ても非常にバランスのいい理想のチームですね、二代目キレンジャー以外は誰一人として役割や個性が被っていません。
分析家(ENTJ)、外交官(ENFP)、番人(ISFJ、ESTJ)、探検家(ISTP)とそれぞれ4種類のカテゴリから満遍なく選出されているのが大変素晴らしいです。
惜しむらくはやはり途中で外交官(ENFP)タイプが抜けてチームに明るさが失われていたことであり、本当に誰一人が欠けても成立しない理想のチームではないでしょうか。
今とは違ってまだ追加戦士という概念もない時代だったので、5人だけで個性を差別化しなければならなかったのでしょうが、今見直してもこの黄金律は古びていません。

90年代に入ると、『鳥人戦隊ジェットマン』を分水嶺として戦隊レッドがカリスマタイプではなくなり、ENTJ(指揮官)は主に追加戦士枠の人たちが担うようになりました
また、逆にISTP(巨匠)やISTJ(管理者)といった2番手に属するカテゴリのやつがレッドに抜擢されるといったようなことやENFP(運動家)・ESFP(エンターテイナー)のレッドも増えています。
そういう意味では温故知新ではないですが、かつての戦隊メンバーがどういうバランスで成り立っていたのかをMBTI分析してみると面白いかもしれません。
個性がバラバラであることを逆手にとってバランスのいいチームヒーローを作るという雛形はまさに本作をもって出来上がったのだと今見ても驚きです。

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