ブイモン系列の進化ルートについて徹底考察!何故ブイドラモンと違ってエクスブイモンには「正統な」単独進化ルートが存在しないのか?パイルドラモン・インペリアルドラモンについても解説
今回はブイモンの進化ルートに関する考察ですが、今やアグモン・ギルモンと並んで主人公系デジモンキャラとして大人気のブイモンも様々な進化ルートが存在しています。
こちらの解説でも挙げられているように、今や全部で27体の進化ルートが挙げられる、主人公デジモンの中でも進化先と戦い方のバリエーションがこれだけ豊富なデジモンは存在しないでしょう。
その中でも未だにファンの間で論争の種の1つがエクスブイモンとブイドラモン系列などの派生であり、今回はこの辺りのことに関して個人的見解を述べます。
ブイドラモンは本当にブイモン系列の進化ルートなのか?
まず最初にファンの間で必ず議論になるのが「ブイドラモンは本当にブイモン系列の進化ルートなのか?」という疑問であり、四ノ宮リナファンの矛さんもこの点に関して言及されていました。
実はこれに関しては公式側から納得のいく設定や物語が与えられたのではなく、アニメシリーズと漫画の「Vテイマー」との間の整合性が取りにくくなったために、「ブイドラモンはエクスブイモンの亜種」という設定になったのでしょう。
「02」の大輔と「Vテイマー」のタイチが共演した時にエクスブイモンとエアロブイドラモンが並ぶ形となり、また「パラレルワールド」という解決策が取られたので、それに倣ってブイモン系列もそうなったと言えます。
とは言え、ファンの皆さんはご存知でしょうが八神タイチとゼロマルのブイドラモンは実はブイモンからではなくアグモンからのバグ進化によってブイドラモンという全く違う進化を引き当ててしまったという設定なのです。
ここがややこしく、例えばタイチも同じようにブイモンからブイドラモンを引き当てたという設定ならば話はスムーズなのですが、彼はアグモンから進化させたという設定なので話が複雑になってしまっています。
でも確かに、ブイドラモンって見た目も能力的にもエクスブイモンというよりはグレイモンに近いんですよね、グレイモンって空は飛べないけど怪力は凄まじいし口から吐く「メガフレイム」という火球が必殺技じゃないですか。
ブイドラモンも空は飛べないけど口から吐くVブレスアローと怪力が特徴的であり、だからグレイモンの古代種版にして上位互換であるとも言えるんですよね。
だから飛行能力と「オーバーライト」以外はもう既に十分に出来上がっていて、あとは飛行能力が足りないだけなのでそこを補ったのが完全体のエアロブイドラモンとなっています。
グレイモンとブイドラモンの大きな違いでいうと、グレイモンは完全体のメタルグレイモンになる時に飛行能力として翼が付与されるだけではなく、バトルのために己の体を武器と防具に変えています。
つまり己の体を機械化しなければ単純な戦闘力ではエアロブイドラモンのような純勢古代種デジモンに当たり負けするために、機械によって擬似的な強さを得ているのではないでしょうか。
そう考えるとメタルグレイモンは完全体でありながら、同時に己の体を鎧をまとって強化しているので古代種でいう「アーマー進化」の要素も部分的に組み込まれていると言えます。
そして同じことはメタルガルルモンにも言えて、ワーガルルモンで二足歩行になったのに究極体で完全に武器と防具に己の体を変えて飛行能力を得たのはそれこそがガルルモン系列の理想の進化だからでしょう。
話をブイドラモンに戻して、ブイドラモンがブイモン系列の亜種として公式に定められたのはそれこそ『デジモンワールド Re:Degitize Decode』で四ノ宮リナとブイブイが登場してからです。
彼女が大輔とブイモンの差別化もあって、八神タイチとゼロマル以来のブイドラモン系列の進化ルートになりましたが、ここでやっとブイドラモン系列がエクスブイモンの亜種であることが公式化されました。
同時に四ノ宮リナが「女版タイチ」となり、本宮大輔の真ヒロインというか嫁さん候補になったのも恐らくはこの瞬間だったのではないでしょうか。
なので非常にややこしい設定で長年苦しめられてきたブイドラモン系列ですが、四ノ宮リナとブイブイの登場によってやっとブイモンの系譜に収まったといえます。
エクスブイモンには「正統な」単独進化ルートが存在しない理由
さて、上記を踏まえて、それでは何故唯一エクスブイモンという原種への進化を引き当てている本宮大輔のブイモンには単独進化ルートが存在しないのか、理由を考えてみます。
エクスブイモン系列での単独ルートは現在デュナスモンへの進化系列が設けられていますが、個人的にこの進化ルートに違和感しかないのは本来この進化ルートはドラコモン経由だからです。
ドラコモン→コアドラモン→ウイングドラモン→デュナスモンが正当な進化ルートであって、エクスブイモンからそこに入り込むのは何というか邪道に見えてしまいます。
私は基本的に王道が好きなので、こういう風に全く進化ルートに関係のないものを当てがってそれを単独進化とするのはやめていただきたいです、「ドラゴンボールヒーローズ」じゃないんだから。
話を戻して、エクスブイモンにいまだに「正統な」単独進化ルートが存在しないのは身もふたもない事を言ってしまえばそれを考えも用意もしない公式側の怠慢であり無知蒙昧です。
ワームモンには単独進化でバンチョースティングモンを用意しているわけですから、だったらエクスブイモンにもデュナスモンじゃなくて「エクスブイモンぽさ」を感じさせる究極体を用意しろやボケという話じゃありませんか。
そういう公式側の怠慢に関しては今に始まった事ではないので言っても仕方ない部分はありますが、上記のブイドラモン系列を踏まえて考えると原種のエクスブイモンってよくよく考えると「隙がない」んですよね。
普通であれば成熟期の段階って「成長期よりは強い」けど「完全体・究極体に比べて足りないものがある」という発展途上の段階なので、どうしても性能としては中途半端な前座になってしまいます。
ただ、そんな中でエクスブイモンって古代種から進化系としては珍しく「全部揃っている」んですよね、成長期から進化したデジモンに必要な能力が一通りは。
ブイドラモンに欠けていたのは「圧倒的なパワーをコントロールする知性と正義感」と「オーバーライトによる寿命の短さ」と「飛行能力」であり、この中で最初の1つ目はタイチが補っています。
そして3つ目は完全体のエアロブイドラモンによって克服されましたが、2つ目に関しては究極体のアルフォースブイドラモンに進化することで初めて克服される設定です。
「Vテイマー」における「進化」の表現が上手いなと思うのはここで、アニメと違って「心の成長」で次の段階へ行くのではなく「能力の壁」にぶち当たって、それをギリギリ限界突破することによって壁を突き破って進化します。
まさに「壊せ弱気な君を 崩せぶつかる壁を」であり、実は「brave heart」の歌詞は無印組ではなく「Vテイマー」のタイチとゼロマルにこそ相応しい曲であると思うのです。
それに対してエクスブイモンはそのブイドラモンが成熟期の段階で持っていた「圧倒的なパワーをコントロールする知性と正義感」と「オーバーライトによる寿命の短さ」と「飛行能力」をほとんど成熟期の段階で解決しています。
羽があるので飛行能力には問題ありませんし、ブイドラモンに負けず劣らずのパワーに胸から放つエクスレイザーという必殺技も申し分なし、さらには「圧倒的なパワーをコントロールする知性と正義感」も問題はありません。
だからエクスブイモンって「オーバーライトによる寿命の短さ」という弱点以外は全て成熟期の段階で持ってしまっており、じゃあ足りない分を鎧で補えばいいからアーマー進化でマグナモンやゴールドブイドラモンになればいいわけです。
ブイドラモン系列とはそこが大きく違うところで、ブイドラモンは亜種でありながら縦の進化に強く、エクスブイモンは原種でありながら横の進化に強いのです。
パイルドラモン・インペリアルドラモンについて考える
さて、ではその上でもう1つ考えたいのが「02」後半で出てきたパイルドラモン・インペリアルドラモンですが、以前から気になっていた「ジョグレス進化」についても考えてみましょう。
ジョグレス進化自体は「02」でも「Vテイマー」でも出てきますが、いわゆるパイルドラモン→インペリアルドラモンとテントモンから「ただの合体」と言われていたオメガモンについての違いです。
まず大きな違いでいうと、パイルドラモン→インペリアルドラモンは成熟期という発展途上の段階のデジモンがお互いの体を融合(溶け合わせる)ことで心と体を1つにしています。
大輔の心と賢の心の高まりが共鳴して1つになり、身も心も溶け合うような、男女でいう「セックス」や音楽でいう「セッション」に近い感覚ではないでしょうか。
一方でオメガモンにはそういう「心の高まり」やウォーグレイモンとメタルガルルモンが心を1つにして身も心も溶け合うような感覚というのは一切ありません。
だから藤本秀人や白峰ノキアのように単独で扱えるテイマーもいるわけですし、何よりデザインでみてもインペリアルドラモンとは違ってアシンメトリー(左右非対称)です。
ここが大きな違いであり、大輔と賢の関係性は八神太一と石田ヤマトのそれと違っていて、「魂の双子」でありなおかつシンメトリー(左右非対称)となっています。
大輔と賢には2人が一対の存在であるという感覚がありますが、太一とヤマトは決して「魂の双子」でも何でもない純粋なライバルにして組織の2TOPなので交わることはありません。
オメガモンのデザインって確かに美しいですが、同時にオメガソードとガルルキャノンという風に両腕が全く違うので、どうしても歪に見えてしまうのです。
そこがジョグレス進化のパイルドラモン→インペリアルドラモンとの大きな違いであり、元々究極体だったもの同士が1つになるのと成熟期の者同士が1つになって究極進化するのとは似て非なるものでしょう。
因みに「フロンティア」のエンシェントスピリットエボリューションはジョグレス進化と「テイマーズ」のマトリックスエボリューションを更に掛け合わせたものでクソダサいです。
話をインペリアルドラモンに戻して、なぜパイルドラモン→インペリアルドラモンは単独ではなくジョグレス進化で、しかも大輔と賢しかこれを引き当てたことがないのでしょうか?
理由はいろいろ考えられますが、やはりエクスブイモンの圧倒的な力・正義感・飛行能力の上で足りなかったのが「鎧」「知性」「技巧」であり、それを補ったのが一乗寺賢とスティングモンなのでしょう。
正に大輔とエクスブイモンに足りていなかったものを賢と一乗寺賢が完璧にカバーしたわけであり、だからジョグレス進化の中でもパイルドラモン→インペリアルドラモンって特別なのですね。
しかもオメガモンと違って安売りはされておらず大輔と賢だけの専売特許になっているので、今後もずっとインペリアルドラモンはこの2人のものであってほしいと思います。
あと、逆に言えばジョグレス進化とアーマー進化で十分すぎる力を手にしてしまっていて、現状に何の悩みも不安もない大輔がエクスブイモン以上の単独進化を望むとはとても思えません。
エクスブイモンが奇跡の紋章などで単独進化することがあれば、それはよっぽど大輔が孤独に戦い、なおかつ更なる進化を求めるときでしょう。
でもエクスブイモンが単独で進化したところで、おそらく行き着く先はマグナモンのような飛行能力と圧倒的な鎧を兼ね備えたデジモンである気がします。
それなら別にアーマー進化のマグナモンやゴールドブイドラモンでいいわけなので、そこまでは公式側も考えていないということでしょう。