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日虎の気まぐれインド哲学第2回 リグ・ヴェーダ本集

〜実在はただ一つであるが、賢き人々はこれを種々によびなす〜

 前回はヴェーダにはどんな種類があるのか大まかに解説しましたが、今日はその中でも古く重要である「リグ・ヴェーダ本集」の解説を行ないたいと思います。

 「リグ・ヴェーダ本集」の中核となっているのは2巻から7巻で、祭官家の家集的な性質を持ちます。第1巻と第8巻は内容的に類似し、2巻~7巻の前後に追加された部分と考えられます。9巻はこれらとは大きく異なり、神酒ソーマに関する讃歌が独占しています。
 そして、10巻は『リグ・ヴェーダ』の中で最も新しい部分とされ、宇宙開闢の様子が描かれています。

「リグ・ヴェーダ本集」はヴェーダの祭式において、神々を祭場に招き称賛する賛歌の集成でありますが神々の姿、あり方を映し出した神話を伝え、また哲学的な内容も含んでいます。

 インド神話には実に多くの神々が現れます。しかし、ゼウスのような最上神は存在せず、割と平等に崇拝されています。ゼウスと起源を同じくする天神ディアウス(Dyaus)が現われるが、神々の主というわけではなく、多くの神々の中の一人でしかありません。
 それら神々は超越的な存在というよりは人間的で、多くは自然現象に起源を持つ。たとえば、火(アグニ)や風(ヴァーユ)はそのまま神として崇敬の対象とされた。
 ですが、火や風のうちにある畏敬させる何者かが崇拝されたのであって、火や風そのものが崇拝されたのではないことには注意が必要です!
 その他、太陽神スーリヤ、暁の女神ウシャス、雨の神パルジャニヤ、暴風神ルドラ、河の女神サラスヴァティー、夜の女神ラートリーなど自然現象が神格化された神々が多く現れます。

 しかし、ヴェーダの神話は単純に自然崇拝とは言い切れない面も持っている。とりわけ活躍する神にその傾向が見られる。リグ・ヴェーダの中では鮮明に擬人化され、最も活躍する神インドラは、雷の性格を強くもつものの、敵と戦い、悪魔を退治する英雄神としての姿は自然現象とのつながりが希薄である。

 自然現象との切り離しが行われた理由として、インドラ、ヴァルナ、そしてのちに生まれたシヴァなどは人々にとって畏敬の念を飛び越えて愛着が生まれた結果とも言えます。

 また、神々は人間の願望を実現する力を備えた存在と見なされた。祭式は、そのような神々に供物を捧げ、賛歌を唱え、神々の好意を得ることによって、その力を発揮してもらい、願望が成就されることを願って行われた。祭火は供物を天上の神々に届ける使者として神聖視され、火神アグニとして尊ばれました。

 岩波文庫の「リグ・ヴェーダ賛歌」は絶版ではありますがAmazonですぐに購入できる代物なのでオススメです!
 興味を持ってくれた方は是非ともリグ・ヴェーダの世界観に触れてほしいです!一緒に梵我一如を目指しましょう!

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