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日虎の気まぐれインド哲学 第19回大乗仏教③

 皆さんこんにちわ!今日で大乗仏教のセッションも最後になり、仏教はインドを飛び越えて東南アジア、中国、チベット、そして日本へと幅を広げてまいります。
 では、今回もしばしお付き合いください!

【如来蔵思想】


 衆生が皆、如来を胎内に宿しているということにあります。如来すなわち仏になる可能性は仏性(ぶっしょう)ともいわれるが、それがすべての生きものにそなわっているという教えであります(一切衆生、悉有仏性)
  この如来蔵あるいは仏性を所有することが、あらゆる生きものがいつかは仏になり救済されうる根拠であるとします。『勝鬘経』大乗の『大般涅槃経』『楞伽経』『大乗起信論』などに説かれています。

【密教】

 
  唯識学派の成立により学問化する一方で、大衆の間では密教化していきました。密教とは秘密教という意味です。
  その特質は呪術性にあります!呪力の発現により、現世利益の成就をはかります。あるいは自己と絶対的な真理を体現する大日如来との神秘的な合一の体験、即身成仏を目指していきます。
  呪力を発現させるために唱えられる呪句は、真言、あるいは陀羅尼(だらに)といわれます。儀式は諸尊を配置した曼荼羅(まんだら)の前で行われます。
  密教的な要素は、大乗仏教の早い時代から認められます。呪句としての陀羅尼は、3世紀には成立していたとされる『法華経』陀羅尼品をはじめ大乗経典にしばしば現れます。
 ついで 4世紀ころから、それまで部分的に説かれていた陀羅尼を主として説く初期の密教経典が成立しました。そして、密教特有の教義が、7世紀ころの『大日経』と少し遅れて成立した『金剛頂経』において確立されました。

 『大日経』の説く曼荼羅は「胎蔵界曼荼羅」といわれています。『金剛頂経』の説く曼荼羅は「金剛界曼荼羅」といわれます。
  密教には、インドの民衆の信仰が大きく受けております。ヒンドゥーの多くの神々がとりいれられ、護法神あるいは明王として崇拝の対象とされます。また、後期の密教には、性力を崇拝する快楽主義的なタントリズムの影響がみられ、男女交合を絶対視する左道密教が生まれました。


【インド仏教の消滅】


 密教化した仏教はヒンドゥー教と明確には区別がつかないものとなり、ヒンドゥー教に融合していきました。
 これに拍車をかけたのが、中世インドにおける都市の衰退です。僧院は、都市の住民である商人階級の寄進に依存していました。それが都市の衰退によって、仏教は経済的基盤を失いました。僧達は、維持が困難になった僧院を捨て、別の僧院に移っていきました。
 その一方で、ヒンドゥー教のバクティ運動は、仏教の衰退と並行して盛んになっていきました。僧に去られた仏教徒たちは、多くがヒンドゥー教に吸収されていったのです。

 さらに、インド仏教の消滅を決定的にしたのは、11世紀ころから始まるイスラム教のインド伝播でした。イスラムの侵入にともない、多くの僧がネパール、チベットに逃れました。
 象徴的な事件は、1203年に起こりました。この年、インド仏教最後の砦となったヴィクラマシラー僧院がイスラム軍によって破壊されたのです。僧は国外に逃れ、信者はヒンドゥー教やイスラム教に吸収されました。そして、13世紀にインドにおいて仏教はほぼ消滅しました。

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