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2021年クライミングの振り返り

クライミング始めて6年ぐらい経つ。これまで、どのグレードをいつ登れるようになった、どのルートを登ったなどの成果をきちんと記録には残してこなかった。今年は、年始の時点でこれまで以上に登り込むことが予想できたので、登り込み+トレーニングがどれだけ成果に反映されるのかを単純に見てみたくて記録をつけ始めた。

振り返れば、2020年2月末にスキーで左膝の前十字靭帯断裂。3月に手術し、そこから半年はまともなクライミングはできなかった。ただひたすら失った筋肉を戻すことと、再発防止のための体づくり(特に腰回り、臀部、脚部)に明け暮れた。2020年初夏にアメリカに引越してからは、コロナ禍もあってクライミングジムは軒並み休業。唯一空いていた屋外のクライミングジムで徐々に身体を慣らしつつ、ニューヨークから車で2時間ほどのところにあるThe Gunksと呼ばれる岩場でトラッドクライミングを始めた。2020年11月、ようやく日常的にジムで登れるようになった。

ジムの記録

月ごとのジム通い日数とボルダリング最高グレードの推移

ジムに通った日数

ジムに通った年間合計日数は122日間。平均すると2-3日に一回のペースでジムで登っていたことになる。一回行くたびに、だいたい3時間登っていたので、年間で366時間ほど。毎日登り込んでいる人と比べれば少ないけど、クライミング始めてから一番登り込んだと実感できた一年だった。

ボルダリング最高グレードの推移

さて気になるのは登った分だけちゃんと結果はついてきたのかってこと。答えはイエス。グレードで言うとV6→V8になった。
3月頃は、ようやくV7をRP(Red Pointの略。2回目以上のトライで完投すること。頑張って頑張ってようやく登れるグレードを指す)できるようになった時期だった。毎回ジムに行くたびに打ち込んで、月に2-3本落とせたらラッキーぐらいだった。夏あたりからは、V7がコンスタントに登れるようになり、V8にも手を伸ばし始める。ニューヨークのジムの中でも辛めな課題が多いと有名なGP-81で、初めてのV8が登れた時はめちゃくちゃ嬉しかった。年後半は、新しくセットされたV7を10本中8本くらいまでは2-3日で落とせるようになった(ホームジムのBrooklyn Boulders in Gowanusは品川Rockyぐらいのグレード感)。
※ちなみに、ジムリードの記録は取り忘れてた。

データにしてみて気づいたんだけど、岩場に行った直後はほぼ必ずジムのグレードが下がっていた。岩場では強度の高いムーブをこなすボルダリングよりも、筋持久力が求められるリードクライミングばっかりやっていたことや、ジャミングにフォーカスしていたことが要因としては考えられそう。

トレーニング

1週間のトレーニング(週によってまちまち)

ジムでのトレーニングは、上記の内容を繰り返した。オンラインで情報かき集めつつ、一緒によく登っている友達と試行錯誤しながら取り組んだ。週によって登る日が違ったり、サボってやらなかったりしたこともあったので達成度は50%ぐらい。冬場のシーズンオフ中がおそらく一番真剣に取り組んだ。その成果は夏に入ってから見えていた(気がする)。特にACL断裂後に不安でしかなかった脚に思い切り体重乗せて、小さい粒に乗り込むムーブができたのは脚部のトレーニングのおかげだった。

ちなみに、Coreはコアトレーニング日で10分ぐらい腹部を徹底的に攻め続ける。Fingersは保持力を鍛えるトレーニングで、Beast Maker 1000を使った。4本指、3本指、2本指を15mmから10mmぐらいの厚さでぶら下がり。故障しない程度に懸垂も時々やっていた。Enduranceは4x4トレーニングを取り入れた。V4〜V5ぐらいの課題(リードなら5.10aぐらいの課題)を4本連続休みなしに登り、4分休憩。それを1セットとして4回繰り返す。とにかく終わった後は腕パンパン。かなりしんどい。Legsは脚部と臀部を攻め続けるトレーニング日。スクワット中心に取り組んだ。

岩場の記録

月ごとの登攀日数とトラッドRPの推移

岩場での登攀日数

今年は過去最高に岩場を楽しんだ一年だった。ローカルクラッグとして通い続けたThe Gunks、3月のJoshua Tree Trip、8月のAdirondacks Trip、10月のYosemite Tripとアメリカの東西で様々なクライミングを楽しめた。

岩場で登った年間登攀日数は36日間。年のうち約1ヶ月は岩場で登っていたことになる。6月と9月は季節的に最高なコンディションだったにも関わらず、色々とドタバタしてあまり外岩に行けなかったのは残念。来年はもっと通いつめたい。

ジムの合計日数と合算すると、登攀合計日数は158日間。年間1/3以上は何かしら登っていた。

トラッドクライミングの最高グレード推移

結果は5.7→5.10d。フィジカル的にはまだ行けるはずなので、メンタル強化が必須だと認識した。

アメリカに来てから本格的に取り組み始めたトラッドクライミング。ローカルクラッグ「The Gunks(Shawangunksの呼称)」は東海岸のメッカと言われている。当時の最高グレードが5.9だった時代に開拓が一気に進んだエリアで、グレーディングがむちゃくちゃ辛いことで有名。一番最初に登った超クラシックルートHorsemanはマジでこれが5.5ですか、と心の中で文句言いながら登ったのを覚えている笑。

Horseman (5.5) | The Gunks, New Paltz

3月のJoshua Treeでは、まだまだひよこレベルだったのでとにかく5.7〜5.9レンジのルートをたくさん登り、ギアプレイスメントやジャミングに慣れていった。Connan's CorridoというエリアにあるColorado Crack(5.9)をオンサイトできた時は痺れた。この旅で大きな自信を手にすることができた。

Colorado Crack (5.9) | Joshua Tree, California

その後はコンスタントに5.9台を登り、5月にはThe GunksでThe Dangler(5.10a)を第一便でRP(昔一度フォローで登った)。この頃はThe Gunksに足を運ぶたびに岩に順応していく感覚、強くなっていく感覚を得ることができた。それが自信となり、トレーニングに励むモチベーションに繋がる良い循環が生まれた。7月にはFalled on Account of Strain(5.10b)をチームオンサイト、9月にはWelcome to the Gunks(5.10c)を第一便でRP、そして10月にはAmber Waves of Pain(5.10a)を第一便でRP、YosemiteでSerenity Crack(5.10d)をチームオンサイトできるまでに成長した。

Key Takeaways

2021年のクライミングライフを振り返っての学びは以下。

(1)量は力。まだまだ登れば登るほど強くなれる。
(2)クライミング以外のトレーニングが有効。基礎フィットネスの底上げが全体パフォーマンスの底上げにつながる。
(3)岩場での強さは岩場でこそ鍛えられる。ルートファインディング、岩の状態の把握、メンタルなど岩場での一秒一秒が糧になる。
(4)恐怖心に自分のパフォーマンスを左右されないようにする。恐怖心は常にあるものと考え、どうコントロールするかに頭を使う。
(5)細かい身体の使い方への意識が結果を大きく変える。指・足の置き方、肩の入れ方、保持の仕方、重心の位置、飛び出し方、など。

2022年の抱負

ボルダリングは、岩場でV7、ジムでV9を目指したい。2021年は岩場ではほぼボルダリングをしてこなかったのでトライする絶対量を増やす。

リードは、トラッド中心にスポートルートにも挑戦する。トラッドは5.12a RPを目指したい。家の近所にリードのトレーニングをガシガシできるジムができたので、ジムでは5.13 RPを目標にする。

最近、Eric HorstのTraining for Climbingを購入した。2022年はクライミングのトレーニングを体系的に理解し、品質向上に努める。

クライミングトリップとしては、Joshua Tree、Indian Creek、Red Rocks、The Red River Gorge、Yosemiteに行きたい。Yosemiteでは、Astroman(5.11c, 10ピッチ)、Half Dome Regular Northwest Face (5.12a or 5.9 C1, 23ピッチ)、Separate Reality(5.12a)を落とせたらもう大満足。