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64日目 露天から始めよう

ぬるい源泉の温泉につかりながら、伊丹空港に着陸する飛行機の機影を眺められる銭湯がある。城東区の鴫野駅近くにある華厳温泉の露天風呂は長方形のプールのようで、子どもでも足が着くほどよい深さ。とうわのリハビリに通っているボバース記念病院の道すがらにあり、今日も息子と二人で1時間半ほどつかってしまった。先日痛めたまま、まだ直らない肩の湯治によい。露天風呂も壁が高く、湯船の形のまま長方形に切り取られた青空を10分感覚で飛行機がジェットエンジンを響かせて横切っていく。きっと計算されているのだろう。横切る画角が絶妙なのだ。

ボバース記念病院の界隈は、文化住宅も数多く残る地域で昔から残る銭湯もたくさんある。5月にリハビリで親子入院したときは空き時間があればとうわと二人で周辺の銭湯6軒を完全制覇した。四肢の可動域が狭いとうわにとっても服を着替えること自体が作業療法になり、本人も積極性をみせるので銭湯めぐりは我が家にとっては自主リハビリの1つとなっている。

今日は朝からリハビリDAY。10時から東部療育センターで理学療法、11時から作業療法。大阪に移動してボバースで新しい歩行装具の仮合わせ。移動だけでも慌ただしかったのだが、その上朝からJRが止まってしまい阪急で遠回りして通院することになり、その影響でJRが遅れまくり大阪への移動が40分の遅延。さらに大阪駅手前で電車が緊急停車し20分の遅延。帰りは帰りで遅延の影響もあって大混雑していて新快速を一本見送った。なんとか乗れた快速にも次から次へ人が押し入ってきて、ドア付近でバギーに乗って待機していたものの、こどもごと潰されそうになり、身の危険を感じた私は思わず大声をあげて静止せざるを得なかった。これが将棋倒しの恐ろしさというやつか。こういう時、ほぼ誰もこどもを守ろうとしてくれない。

仮合わせした歩行装具は、4代目で初めて金属製の支柱がないタイプになった。支えがとれた分、安定感が下がったが自分の筋力で支えていく歩行に移行するためには必要なステップになる。試し履きをして、インソールの傾斜を少し追加する補修をしてから納品になる。履き倒してボロボロになった靴もやっと新品に買い換えられる。小学生になるまでには、杖だけで自立歩行できるようになれば嬉しいが、過度に期待せずゆっくりやろう。来年は親子入院ではなく、こどもだけの単独入院になるだろう。一緒に銭湯めぐりすることもないだろう。

20231108

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