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48日目 実況から始めよう

バス停を降り幼稚園の玄関までの坂道で、どちらが速いかを競った。どこで覚えたのか、とうわは「これでスタートね」とクラウチングスタートの構えを見せている。手術前の歩行距離が10メートルほどだったことを思えば格段の成長である。とはいえ、毎朝抱っこをせがむので何とか歩かそうとあの手この手で試していたところ、今朝の「マラソン実況方式」がはまった。とうわ選手と私が幼稚園の玄関までマラソンレース。私がその様子を実況するのだ。

「現在とうわ選手1位です。あ、転倒、転倒、とうわ選手2位に転落!」といった具合に抜きつ抜かれつつのデッドヒートを実況しながらレースするとどこからそんな力がでてきたのか自力で完歩して登園に成功。爽快な達成感とともにすみれ組の教室へ進んでいった。神戸の坂はきつい。幼稚園の前も30メートルの上り坂である。腰回りの筋力がない5歳児には地獄の登り坂であるが、転げそうになるところをグッと踏ん張り、途中で何人ものお友だちに軽々と抜かれても私とのレースを制することに集中して歩いていた。

送り届けた後、COCCAでユブネの定例と新しい場作り案件の相談を受けてから14時のお迎えに再び幼稚園へ。当初は付き添いの人員が確保できないため幼稚園の「お預かり」も難しかったのだが、とうわの成長もあって今年からは受け入れていただいている。仕事を合間で中断して迎えにいき、自宅で東灘のデイサービスの迎車に受け渡すとほぼ仕事が進まないので、そろそろ幼稚園で17時までの「お預かり」に変更しようと思う。子どもも親もまた働き方を変えるタイミングに来ている。来月から恭子さんは毎週金曜は神戸大学で仕事をすることになった。金曜のお迎えは私と交代になる。

働くために、別の働く時間を削らないといけないのはなんだかなあと思うこともあるが金銭的なことのためだけではないので、家族の陣取りゲームを上手く調整しよう。小学生になるとまた違った時間割が待っている。それまではこの親子の時間を仕事と同じように楽しんで工夫すればいいじゃないか。夕方、父からメールが来た。1週間ほど1人で旅行にでるらしい。行き先は知らない。「楽しんできて」と返信したが「怒りの旅でもある」と帰ってきてこれまた面倒だ。これもまた親子の時間として楽しめばよいのだろうが。

デイから戻ったとうわは、ご飯を食べながら寝てしまった。朝のレースがよっぽど体力を使ったのかも知れない。明日もレース実況だ。

20231023

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