夜驚症(やきょうしょう)に陥っている当人の感覚
夜驚症(やきょうしょう)という言葉をご存知だろうか。
私も実は、つい最近まで知らなかった。笑
言葉は知らなかったが症状については良く知っていた。
我が家の末娘は「夜驚症」の症状を発する機会が多い子どもだったからだ。
一番最初は2歳か3歳の頃だったかな?
例えばお昼寝の真っ最中。
寝ていたはずの子どもが突然、がばっ、と起きて立ち上がる。
そうして泣きながら、部屋のあちこちを駆け回る。
でも本人に意識は無い。
いくら声をかけても、恐怖におののいた顔をしながら、泣きわめいて暴れるだけ。
どう見ても錯乱状態だ。
初めての時は、本当に驚いた。
驚いたけれども、母としてできることは「大丈夫、大丈夫」と声をかけながら、娘を抱きしめることしか無かった。
そうしているうちに、少しずつ少しずつ落ち着いていき、眠りにつく娘。
こうなった場合、他の誰でも落ち着かず、必ず私で無ければ終わらなかった。
そんなことが何度も繰り返されるうちに、私もだんだん慣れてきて「また来たか」と思うようになってきた。
そうしてあるとき。
その症状を解消する方法を見つけることができた。
娘の年齢が上がるにつれ、錯乱状態になったときにトイレに駆け込むようになったのだ。
それで。
一度、暴れる娘を抱きかかえて便器に座らせてみた。
「おしっこしてごらん?」
素直に言葉に従う娘。
それで。
用を足し終わると、落ち着いたのか、私に抱えられて眠りについた。
なんだか知らないけど。
用を足すと、この症状は落ち着くらしい。
小学校に上がる頃には、その症状はだいぶ治まってきた。
そうして、そのことについては、すっかり忘れていた。
そんな昨晩。
末娘が発熱。
熱が上がった頃、久しぶりに、あの症状が現れた。
錯乱する末娘。
何か怖いものに追われたような怯えた顔をしながら、悲鳴をあげながら部屋の中を走り回る。
幼い頃と違って。
もう大人サイズの娘。
(高校生に間違えられるレベルの大人サイズ)
相手がいくら娘とは言っても。
大人サイズの人間が錯乱している状態には、やっぱり驚く。
でも。
末娘と重ねた12年の月日が私に落ち着きを取り戻させた。
「大丈夫、大丈夫」
声をかけて抱きしめる。
「きゃぁぁぁぁぁぁ」
奇声を発して恐怖に怯える娘。
私「大丈夫、大丈夫。あのね、あなたのことは私がなんでも知っているし、どうすれば良いのかわかるから、大丈夫。落ち着いて。大丈夫。」
娘「きゃぁぁぁぁぁぁ」
私「あのね、トイレに行って。トイレに行こう。そうすれば怖いの無くなるから。」
足をバタバタさせながらもトイレに向かう娘。
(もうオトナなので個室まではついていきません。笑)
しばらくすると「治った!」と言いながら帰ってきた。
娘「ママって凄いね!なんでもわかってるんだね?」
私「そりゃあ、生まれたときから一緒にいるんだもん。」
娘「そうかぁ。笑」
私「眠れそう?一緒に寝ようか?」
娘「大丈夫。ひとりで眠れそう。」
私「隣の部屋にいるから、なにかあったらすぐにおいで?」
娘「ありがとう!おやすみ」
何事も無く夜を越え。
朝、娘の部屋に様子を見に行く。
すやすやと眠っている。
おでこに手を当ててみる。
あ、熱、さがった。
ほっとした。
娘が起きてきた。
「おなかすいたー。何か食べたい」
良かった良かった。
食欲があるなら、ちょっと安心だ。
ふと思って、聞いてみる。
私「昨日の夜、バタバタしたときのこと、覚えてる?」
娘「うん!覚えてるよー。」
夜驚症のほとんどは幼い頃に起きるので、陥っている当人は覚えていないことが多い。でも、覚えていると当人は言っている。
これは…。
チャンス!笑
私「覚えてるんだ!?どんなふうだったか教えて??」
娘「なんかね、真ん中に細いモノがあって、両端に円柱形状のモノが付いてるのね。それが、ものすごく怖いの。」
私「それ、動いたりしてるの?見えるの?」
娘「動いてはいない。ただ、そこにあるんだけど…。見えるって言うよりも感じる。見えるわけじゃない。」
ほーう。
私「それが、あなたの恐怖心を形状化したモノなのかなぁ?」
娘「そうなのかもしれない。こんな感じだった」
と、紙に描いてくれる。
私「糸電話的なイメージ?」
娘「そうそう、質感とかは違うけど、形状はそんな感じ」
ほーう。
私「それで、トイレに行くと、それが消えるの?」
娘「完全に消えはしないけど、薄くなるって感じ。その怖いもので満たされてたアタマの中に、少し空間ができる感じ。それでだんだん薄くなっていって、落ち着けた。」
ほーう。
私「なるほどね。貴重なお話、ありがとうございました。」
娘「いえいえ、どういたしまして。お役に立てました?笑」
うーん。
まあ、私の好奇心を満たしたという時点では、役に立ったか。笑
と、ふと思った。
夜驚症について。
知りたい誰かがいるかもしれないな。
言いふらして歩くほどではないけれども。
noteの片隅に、そっと置いておけば。
いつか誰かの役に立つ日が来るかもしれないな。
そんなことを思いつつ、いま、この記事を書いています。
(夜驚症については以前にも一度記事にしていますが、みつけられませんでした。自分の記事なのによう。笑)
ちなみに成長と共に治る症状だそうですので。
もしも夜驚症の症状を発するお子さんが近くにいる方も。
「この子は、そういう症状が出ることもある子なんだな」
と思って、慌てずに付き合ってあげて下さい。
いつか。
「こんな感じだったよー」
と話してくれる日も来るかもしれませんよ。
(でも、私はただの素人なので、もしも心配だったら医療機関に相談してみて下さいね。)
幼い頃、頻繁に夜驚症を発していた子どものお母さんより。