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夜驚症(やきょうしょう)に陥っている当人の感覚

夜驚症(やきょうしょう)という言葉をご存知だろうか。

私も実は、つい最近まで知らなかった。笑

言葉は知らなかったが症状については良く知っていた。

我が家の末娘は「夜驚症」の症状を発する機会が多い子どもだったからだ。


一番最初は2歳か3歳の頃だったかな?

例えばお昼寝の真っ最中。
寝ていたはずの子どもが突然、がばっ、と起きて立ち上がる。
そうして泣きながら、部屋のあちこちを駆け回る。
でも本人に意識は無い。
いくら声をかけても、恐怖におののいた顔をしながら、泣きわめいて暴れるだけ。
どう見ても錯乱状態だ。

初めての時は、本当に驚いた。

驚いたけれども、母としてできることは「大丈夫、大丈夫」と声をかけながら、娘を抱きしめることしか無かった。
そうしているうちに、少しずつ少しずつ落ち着いていき、眠りにつく娘。

こうなった場合、他の誰でも落ち着かず、必ず私で無ければ終わらなかった。
そんなことが何度も繰り返されるうちに、私もだんだん慣れてきて「また来たか」と思うようになってきた。

そうしてあるとき。
その症状を解消する方法を見つけることができた。
娘の年齢が上がるにつれ、錯乱状態になったときにトイレに駆け込むようになったのだ。

それで。
一度、暴れる娘を抱きかかえて便器に座らせてみた。
「おしっこしてごらん?」
素直に言葉に従う娘。

それで。
用を足し終わると、落ち着いたのか、私に抱えられて眠りについた。

なんだか知らないけど。
用を足すと、この症状は落ち着くらしい。

小学校に上がる頃には、その症状はだいぶ治まってきた。
そうして、そのことについては、すっかり忘れていた。

夜驚症(やきょうしょう、英語: night terror)とは、睡眠中に突然起き出し、叫び声をあげるなどの恐怖様症状を示す症状のことである。

夜驚症は、概ね数分から十数分間症状が続く。夢とは異なり目覚めた時に本人はそのことを覚えていないのが普通である。小学校入学前から小学校低学年の児童に見られる症状であり、高学年以上では稀である。睡眠中枢が未成熟なために起こる症状であると考えられている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

そんな昨晩。

末娘が発熱。
熱が上がった頃、久しぶりに、あの症状が現れた。

錯乱する末娘。
何か怖いものに追われたような怯えた顔をしながら、悲鳴をあげながら部屋の中を走り回る。

幼い頃と違って。
もう大人サイズの娘。
(高校生に間違えられるレベルの大人サイズ)

相手がいくら娘とは言っても。
大人サイズの人間が錯乱している状態には、やっぱり驚く。

でも。
末娘と重ねた12年の月日が私に落ち着きを取り戻させた。
「大丈夫、大丈夫」
声をかけて抱きしめる。

「きゃぁぁぁぁぁぁ」
奇声を発して恐怖に怯える娘。

私「大丈夫、大丈夫。あのね、あなたのことは私がなんでも知っているし、どうすれば良いのかわかるから、大丈夫。落ち着いて。大丈夫。」

娘「きゃぁぁぁぁぁぁ」

私「あのね、トイレに行って。トイレに行こう。そうすれば怖いの無くなるから。」

足をバタバタさせながらもトイレに向かう娘。
(もうオトナなので個室まではついていきません。笑)

しばらくすると「治った!」と言いながら帰ってきた。

娘「ママって凄いね!なんでもわかってるんだね?」
私「そりゃあ、生まれたときから一緒にいるんだもん。」
娘「そうかぁ。笑」
私「眠れそう?一緒に寝ようか?」
娘「大丈夫。ひとりで眠れそう。」
私「隣の部屋にいるから、なにかあったらすぐにおいで?」
娘「ありがとう!おやすみ」

何事も無く夜を越え。
朝、娘の部屋に様子を見に行く。

すやすやと眠っている。
おでこに手を当ててみる。
あ、熱、さがった。

ほっとした。


娘が起きてきた。
「おなかすいたー。何か食べたい」
良かった良かった。
食欲があるなら、ちょっと安心だ。

ふと思って、聞いてみる。
私「昨日の夜、バタバタしたときのこと、覚えてる?」
娘「うん!覚えてるよー。」

夜驚症のほとんどは幼い頃に起きるので、陥っている当人は覚えていないことが多い。でも、覚えていると当人は言っている。
これは…。
チャンス!笑

私「覚えてるんだ!?どんなふうだったか教えて??」
娘「なんかね、真ん中に細いモノがあって、両端に円柱形状のモノが付いてるのね。それが、ものすごく怖いの。」
私「それ、動いたりしてるの?見えるの?」
娘「動いてはいない。ただ、そこにあるんだけど…。見えるって言うよりも感じる。見えるわけじゃない。」

ほーう。

私「それが、あなたの恐怖心を形状化したモノなのかなぁ?」
娘「そうなのかもしれない。こんな感じだった」
と、紙に描いてくれる。
私「糸電話的なイメージ?」
娘「そうそう、質感とかは違うけど、形状はそんな感じ」

ほーう。

私「それで、トイレに行くと、それが消えるの?」
娘「完全に消えはしないけど、薄くなるって感じ。その怖いもので満たされてたアタマの中に、少し空間ができる感じ。それでだんだん薄くなっていって、落ち着けた。」

ほーう。

私「なるほどね。貴重なお話、ありがとうございました。」
娘「いえいえ、どういたしまして。お役に立てました?笑」

うーん。
まあ、私の好奇心を満たしたという時点では、役に立ったか。笑


と、ふと思った。

夜驚症について。
知りたい誰かがいるかもしれないな。

言いふらして歩くほどではないけれども。

noteの片隅に、そっと置いておけば。
いつか誰かの役に立つ日が来るかもしれないな。


そんなことを思いつつ、いま、この記事を書いています。
(夜驚症については以前にも一度記事にしていますが、みつけられませんでした。自分の記事なのによう。笑)

ちなみに成長と共に治る症状だそうですので。
もしも夜驚症の症状を発するお子さんが近くにいる方も。

「この子は、そういう症状が出ることもある子なんだな」
と思って、慌てずに付き合ってあげて下さい。

いつか。
「こんな感じだったよー」
と話してくれる日も来るかもしれませんよ。

(でも、私はただの素人なので、もしも心配だったら医療機関に相談してみて下さいね。)

幼い頃、頻繁に夜驚症を発していた子どものお母さんより。