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帰りたい場所になれた喜び

週末。
長女のアパートに泊まりに行く予定だった。
大学の見学会があったので申し込んでいたのだ。

が。
長女から連絡があった。
娘「もう電車の予約しちゃった?」
私「いや、まだだけど?」
娘「私がそっちに行くのもアリかなって。」

大学の見学会に行くなら、私が長女の家に行くしかないのだが…。

長女がそう言い出すには、何かしらの理由があるのだろう。

私「大学の見学会は来年もあるし、こっちに来たいなら帰ってきたら?交通費はもう予算立ててあるから、私が出せるよ?」

娘「ありがたい!じゃあ、そっちに行く!始発で行く!」

ということで。
大学の見学会はキャンセル。

始発で帰りたい何かがあるのだろう。

聞かないけど。

私「じゃあ、会ったらぎゅうぎゅうハグするね」
娘「お願いしたい!!」


帰省当日。

降車駅にて長女を待つ私と次女。

改札を抜けて降りてきた長女に「おかえり!」と言って、その場でハグ。

「ただいまー」とぎゅうぎゅう抱きついてくる長女。

その様子を、ちょっと引きながら眺める次女。笑

3人でドライブして帰宅。

家にいた頃のように、リビングでごろごろと寝そべる長女。

次女が突然言う。
次女「クッキー作ろうかなー」
長女「作ればいいじゃん!食べたい!」

材料を買い出しに行って帰宅すると
長女「やっぱ、カヌレが食べたい!」
次女「イヤ…。材料違うから無理。」

末っ子気質の長女と。
長女気質の次女。

一緒に住んでいるときはイザコザばかりだったけど。
久しぶりに会うと、いい感じだ。

離れて暮らして。
歳を重ねていくうちに。
案外、うまいこといったりするのかもなー。
とか、思ったり思わなかったり。

私は、長女のリクエストに応えて、持ち帰り用のお惣菜を作る。

その隣で次女は、せっせとクッキーを作る。

そして。
リビングに転がり続ける長女。笑


それぞれが、お互いにしたいことをしている。

誰も、何かに追われていない。

誰も、誰かにやらされていない。

やりたいことをしている。

この、空間。

長女はきっと。
リビングで、ごろごろと寝そべりながら。

家族のたてる音を、聞いている。
家族のいる空気を、感じている。

きっとそれが。

長女が帰りたかった理由。


長女が自分の家に戻る時間がせまる。

おみやげを詰める。

次女が「これも」と焼いたクッキーを差し出す。
「ありがとう。」と受け取る長女。

3人で駅に向かう。

電車に乗るために改札を抜ける長女。
「車両があっちだから」と、改札から見えなくなっていく。

その場を離れがたく、次女と改札に残る。

電車が到着し。
発車する。

「たしか、あの車両に乗ってるはず」

速度を上げて車内が見えなくなった電車に手を振る。

「さて、じゃあ、帰りますか」
次女に声をかけて歩き出したその時。
ラインが届く。

「見えたよ!」
長女からだった。

「良かった。気をつけて帰って。いつでも帰っておいで。君が帰りたいと思える場所でいられて私は幸せだよ。」
返信する。

「たくさん、ありがとう。」
長女からラインが届く。

ぶわっと。
温かい涙が、溢れ出た。

次から次へと流れる涙を拭うこと無く、そのままラインの画面を見つめる私に、次女が言った。

「また、すぐ帰ってくるって!」

あ。
そうか。

私「お姉ちゃんが帰って寂しいから泣いてるわけじゃ無いんだよ」

次女「え?そうなの?」

私「イザコザある家族もいてさ。帰りたくない実家がある人もいる中でさ。お姉ちゃんが、辛かったり苦しかったりしたときに『帰りたい』って思える家庭を作れていて良かったなって思ったの」

次女「ああ、そういう意味での、涙、ね。」

理解していただきありがと!

そうして。
子どもが甘えたいと思っている時に。
全自分で対応できる状態にいることが。

我ながらとても幸せで満足だった。

恋人がいたとしたら。
ここまでは、できなかっただろうと思う。

それも含めて。

私は。

なんだかんだ言ったところで。

母親である自分のことが。

大好きで。
満足で。
愛しているのだな。

子どもたちへの愛を全力で注げる自分が、いまは、好きだ。