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私の生きてきた意味と役目-長女引っ越し当日

長女の新居は我が家から高速を使って約2時間半。
ちなみに偶然にも元々カレが住んでいるのと同じ市町村。笑
いつもいつも、この道を通って私に会いに来てくれたのだなあと感慨深く思ったり思わなかったり…。笑
いやでもね、会いに来てくれてたのは、ありがたかったよね。自分は行けなかったからね。感謝、感謝。
あと、私には遠距離恋愛は向かないこともわかったから、それにも感謝!笑
あ、話が逸れた。


引っ越し当日、朝6時。
車に積み込んであった荷物を再確認し、新居に向けて出発!

まずは不動産屋さんに行って鍵を受け取り、その後新居で荷物の運び込みというスケジュール。

こういう長距離の引っ越しは初めての体験なので、実はかなりのプレッシャーだったし、不安もあった。
でも長女はきっと「お母さんがいるからなんとかなる」と思っているだろう。
私は長女を安心させるため、不安を表に出さないように心がける。

学校見学や家を決めるのに何度か通ったから、だいぶ慣れたけれど、それでも長時間(でもない?)高速道路を運転するのは少し緊張する。

「眠かったら寝てていいよ」と声をかけると助手席で寝息を立て始める長女。


長女が中学に入学してすぐに離婚にむけた別居が始まった。
離婚自体には反対していなかったが、環境が変わるのが嫌だったらしく、長女は不満を私にぶつけた。
そのころから長女との心の距離が少し遠くなってしまったように私は感じていた。
まあ、長女が年頃になったせいもあるかもしれないし、外にたくさん友だちが出来たこともあったのかもしれないけれど。

幼かった頃に比べて、私と長女が二人きりで出かける機会は、めっきり減っていた。

だから二人きりになっても、どこまで深く話をしていいか、わからない。
私の話なんかに興味はあるのだろうか。実母を疎ましく思っていた自らの体験から、娘から疎まれているのではと思ってしまう。
それに、長女からも、そんなにたくさんは話をしない。
娘としては「お母さん」だから私に気を遣うこともなく気を抜いて黙っているのかもしれないが、私は年頃の娘を助手席に乗せて、実は少し緊張してしまっていた。


しばらく走ると、目が覚めた娘がお気に入りの曲をかけて聴かせてくれる。口数は少ないまま鼻歌交じりで音楽を聴きながらドライブ。

無事に鍵を受け取り、新居へ。

内見が出来なかったので、初めて足を踏み入れた。
うん、なかなか綺麗な部屋だ。
家賃がお高いだけのことはあるぜ!笑


ちなみに私の経験から引っ越しについてのアドバイスを。
引っ越しの荷物で一番大切なもの。
それは。

トイレットペーパー!!

新居にはセッティングされていないので必ず持参しましょう。
って、こんなの常識???笑

そして今まで一緒に暮らしていた長女の意外な事実を知ることになる。
それは…。
トイレのコンセントをいれなくても暮らせるってこと!
便座が冷たくても、ウォシュレットが無くても平気なのだそうだ。
し、知らなかった…。
経済的なお嬢さんだこと!


さて。

小雨ぱらつく中、大急ぎで荷物を搬入。
どうなることかと心配していたが、ものの15分ぐらいで終わってしまった。

そこから。
家の中を整えはじめる。
私はこの作業が、結構好き。

うきうきしながら進めると、娘も楽しそうにしている。
必要なことを話しているうちに、お互いの会話がスムーズになってくる。
うん、良い感じ。

何かを一緒にするって、心が近づくモノだなぁ。

そのあと、買い物に行ったり、ごはんを食べたり。
あれこれ話をしているうちに、だんだん心の距離が近づくのを感じる。
まあ、そんなこと感じているのは私だけで、長女は「いつも通り」なのかもしれないけれど。

せっかくなので、ちょっと踏み込んだ話もしてみる。
私「そういえば、恋人とはどうなったの?」
娘「ああ、割とすぐに別れた」
私「どうして別れたの?」
娘「自分には向いてないなって思ったから。」
私「向いてない?」
娘「恋愛が、向いてない。友だちでいる方が楽しい」

な、なんと!
私の娘なのに!?
恋愛に向いてない???
という気持ちは、さすがに言葉には出さないでおく。お母さんはデリカシーが無いって思われるの悲しいから。笑

一通り片付け終わり整った部屋に大満足。
近所の居酒屋で打ち上げと称しビールを飲みながらおしゃべりをする。
私「あなたぐらいの時に思っていたことを覚えてるんだけど」
娘「へー?なに??」
私「人生は延々と続くし、めちゃくちゃ長いものだって思ってた」
娘「うん、私も思ってるよー!」
私「でもね、そっから30年すると、人生って案外短いなって思ったり、どうやって人生を閉じていこうかって考えるんだよ」
娘「へー?お母さん、そんなこと考えてるんだね!意外!!」
そういえば。
長女とこんなふうに、思っていることを話す時間を過ごしたことって少なかったのかもなぁ。

帰宅して初お風呂。
「どうやって使うの??」とふたりで大騒ぎ。シャワーに切り替えてあったのに気が付かず、酔った私がアタマから水をかぶってふたりで大爆笑!

「お先にどうぞ」と言ってもらって一番乗りで狭い浴槽に身体を沈める。
我が家とは違う、小さな浴槽。
ここで。
長女はひとりで生きていくのだなぁ。

巣立ち。
かぁ。

この子はこのまま私の手を離れるのかもしれないな。
でもなぜか不思議と寂しさはない。

私「卒業したら、こっちで社会人になるのかもね。でも何かあったら、いつでも帰っておいで。お金はないけど、住む場所だけはあるからさ。」
娘「そうだね、住むところさえあれば、なんとかなるもんね。」

家を守って子どもたちがいつでも帰れる場所を作っておく。
それが人生を閉じていく私の役目なんだろうな、と感じた。

一晩を過ごし、入学式を終え、長女を新居に残して我が家へ戻る時間になった。

「じゃあね、またね」とハグをする。

私「道にも慣れたし思ってたよりも近いから、また来るよ」
娘「今度の土曜日、来る?」
私「土曜日って明後日じゃん!笑」
娘「来てもいいよ?笑」
私「まあ、呼んでくれたら、いつでも来るよ。今度は次女も連れてくるから、3人で遊びに行こ!」
娘「うん!待ってるね。気を付けて帰ってね」

涙もなく、あっさりとした別れだったけれど、お互いのことを大切に想っていることは、確かに感じることができた。

子どもたちが安心して生きていけるように、最後の砦を保つ。
それが、私の使命なのだ。
その使命が果たせるように、ここまで生きて、スキルを磨いてきたに違いない。

ああ。
なんとも幸せな人生だ。

生きてきて良かったなぁ。