政治家を志す人へ「議員」のなり方
こんにちは。
サラリーマンを退職して、議員秘書に転職した者です。
これから政治家になりたい人、議員秘書になりたい人、他政治系の仕事をしたい人向けに、政治の仕事はどういったものかご紹介致しますので、ご参考になればと思います。
政治家というと、安倍晋三さんや、蓮舫さんのような国会で討論をしているイメージを抱くと思いますが、あのシーンは議員の仕事のほんの一部でしかありません。一部どころか、国会討論は広告のようなもので、他の99%の仕事の方が重要であり、本来は地味で地道な活動です。
この記事では議員・政治の仕事を志したい人向けに、知られていない国会以外での活動について項目ごとに、ご紹介いたしますので、参考にして頂ければ幸いです。
(乱雑、長文の記事ですがご了承下さい。)
○まず国民は政治に関心がない
仕事をしている方は、よく朝の駅前で議員が選挙カーごしに議員が演説しているところを、一度は見たことがあると思います。これは議員の中では「朝街頭」と呼ばれ、通勤ラッシュ時の駅前か、交番前に立ち、拡声器で演説とビラ配りをします。これは大切なルーティンの仕事です。大体朝6時~8時ごろを狙って街頭演説をします。議員さんにもよりますが、週に2、3回やる議員も居れば、選挙前しかやらない議員もいます。朝の2時間で100枚程のビラを議員から渡され、配りますが、受け取ってもらえるのは7~8枚、その議員の選挙区でやっても14枚程度です。通勤ラッシュ時の通行人の人数は7時30分~9時29分で、全国約144万人通ると言われています。渋谷の駅では30万人程です。国民はまったく政治に関心がないと書きましたが、通勤ラッシュ時に2時間ビラを配っても、7~8枚しか受け取ってもらえないのが現実です。SNSやTVで政治を批判している人はたくさんいますが、実際に議員の活動報告が記されたビラを受け取る人はほぼいません。こういった矛盾も政治活動で学ぶことも出来ます。
○「朝が苦手」な人は政治の仕事には向いていない
議員の大切な仕事の一つの中に「顔出し」という仕事があります。社団法人や宗教法人の朝ミーティングに参加し、出席をしたり、議員が軽いスピーチをします。だいたいこれが行われるのが、サラリーマンや主婦の仕事前である、朝5時~6時開始という団体が非常に多いです。「朝5時起床」ではなく「朝5時に会場に着席」なので、つまり朝3時ぐらいには起床をしていなければいけません。それが議員によっては毎日や毎週あるので、規則正しい生活は必須となります。政治の道を志したくても「朝が苦手」な方は政治の世界では活躍出来ないので要注意です。
○ポスティングという仕事
ポスティングとはビラやチラシをポストに投函する行為を指しますが、議員にとっても大切な仕事です。よくポストに議員の紹介のチラシが入っていたご経験は皆様もあると思います。これは業者に頼むこともありますが、議員秘書がやることもあります。その場合、大体半日かけて、400件ほどの家を周り、ポストにチラシを投函します。ここで重要なのは、チラシを投函して終わりではありません。翌日、チラシを投函した家を周りインターホンを押し「昨日チラシを投函した〇〇党の〇〇です。何かお困りのことはありませんか~?」と400軒の家を再訪します。これは非常に大変な作業で、真夏だと地獄です。私はグーグルマップを活用し、一軒一軒投函した家をピン留めして、家を覚えながら周っていました。しかも、インターホンを押して家主が家から出てきて会話してくれる人はごくわずかです。大半はインターホン越しで「結構です。」の返事で終わります。たまに「二度とくるなバカヤロウ!」と罵声を浴びせられる時もあります。これは心が傷つきますが、これぐらいは耐えられるメンタルは持ち合わせてください。
○とにかく「祭り」に顔を出す
先に政治家の大切な仕事で「顔出し」と書きましたが、祭りに顔を出す、ということも超重要な仕事です。議員のHPやSNSを見ればわかりますが、必ず、祭りに参加したり、神輿を担いでる写真がアップされていると思いますが、これも仕事です。夏祭り、例大祭含め、一地域5~10ぐらいの神社の祭りがあります。夏の仕事は神社周りと言ってもいいぐらい、祭り巡りです。祭りは一番効率良く支援者を増やすことが出来ます。それは、祭りを管理している人が、地域の地主だったり、街の団体を仕切っている人物だったり、町内会の人だからです。それに加え、地域の人も多く集まるので、議員としては顔を売る一大イベントです。では、具体的にどんな仕事をするのかというと、まず祭りの「準備」から入ります。当日だけ顔を出すだけではありません。テントの設置、関わっている団体への挨拶、当日は売り子としてブースで販売の手伝い。そして、最も重要なことは祭りの「片付け」です。祭りを楽しんだ後は人は居なくなりますので、あとの片付けは、ボランティアか、神社の宮司界隈で行いますが、ここも議員の仕事です。人が手薄な上に、無償でテントなど重いものを運ぶ作業を誰もやりたいと思う人はいないでしょう。これも議員が手伝います。そうした地道な信頼を積み上げて、票を集めることも大切な仕事です。
○三つのバン
議員の仕事の初歩で必ず教わる「三つのバン」という言葉があります。これは「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」の3つがないと、選挙では勝てないという意味です。私なりの理解ですが、地盤は「地域からの信頼」、看板は「世襲や有名度」、鞄は「おカネ」、です。議員、議員秘書の仕事の究極の目標は3つのバンを集める仕事だと思っても良いと思います。中でも難しいのが「地盤」です。これは簡単に手に入るものではありません。先に記した、祭りや、地域への貢献が必須となりますので、数年はやり続けなければ得ることは難しく、これを得られない、得る自信がない人は政治の仕事は不向きです。詳しく知りたい方は「3つのバン」でググってみて下さい。
○記憶力が勝敗を決める
政治の仕事において「記憶力」は超重要です。先に記した「顔出し」に加え、一般の方、支援者の方含め、全員の顔と名前を覚えなくてはいけません。これはアイドルの握手会とまったく同じシステムです。1日に何百、何千と新しく出会う人がいます。支援して頂き、名刺を渡されても、その場で別れてしまう方も多いですし、逆にずっと話す人もいます。私が従事していた議員さんは「3万人ぐらいは覚えている」と言ってました。3万人は大袈裟かもしれませんが、それぐらい記憶力がものを言います。さらに相手が親しい人物ならば、その人が何のタバコを吸っているか、どこのお店に足繁く通うか、まで把握しなければなりません。それは秘書も同じです。記憶力に自信のない方は政治の仕事は不向きと言って良いでしょう。
○勝ちたければ高齢者を大切にする
党を支援して頂いている、とある大規模な宗教団体の講演に、議員と同行したことがあります。満員の日本武道館を貸し切って数時間行われます。日本武道館の収容人数が14471人ですが、コロナ対策で1席ずつ空いていたので、単純計算で約7000人程来場していた計算になります。ここからは私の見た目の主観ですが、来場者の85%ぐらいは60歳~80歳以上で、お召し物を着飾られている方々でした。それを目の当たりにしたとき「若者優遇の意見が通る訳ないな」と思いました。もちろん地域や団体によりますが、純粋に選挙で勝ちたいのであれば高齢者優遇の政治信条でなければ無理だと感じました。ちなみに、議員秘書になって出会う人で、20代の人はほぼ0、30代後半の人からちらほら、という感じなので、志の高い若い人で、高齢者優遇の政治信条であれば、ある意味ブルーオーシャンかもしれません。
○とにかく「顔」を出せ
「顔出し」という言葉を先に何度も記しておりますが、顔を出す、LINEやメールだけではなく、出向いて、出向いて何もしなくても「行った」「そこに居た」という行為が、政治では最重要です。今はLINEやSNSで気軽に連絡を取れますが、政治家を目指す人は、さらに足で稼ぐことを大切にしてください。例えば、何か重要な議決やジャッジの際、メンバーを決める際でもいいです。Aさんはメールで挨拶をしてくれたが、Bさんはメールで挨拶してくれて、さらにわざわざこちらまで出向いてくれた、となったとき、あなたはどちらを採用しますか。答えは言わずもがなです。もしも、なんでもLINEで済ます癖が付いてる人は、足を運ぶという癖をつけましょう。信じられないかも知れませんが「挨拶に来た」「挨拶に来なかった」だけで、ジャッジが変わってしまうのが政治です。
いかがだったでしょうか。
一部ではありますが、議員秘書で大切だったな、と思った仕事と記憶を記させて頂きました。
議員になるには地道な信頼の積み重ねが必要です。
そして信頼の大切さが理解できる仕事です。
一人の議員の後ろには、議員の種類によりますが五千人~三十万人の支援者と信頼があります。
「大きな党」に入っていれば、「良い経歴」を持ってれば通る、と思ってる人もいると思いますが、それは違います。
政治の仕事を志したい人は、まず議員秘書になることをお勧めします。
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