玉置標本:私的標本

コラム、アウトドア記事、イタリアや台湾の旅日記などを書きます。関東を中心とした船釣りレ…

玉置標本:私的標本

コラム、アウトドア記事、イタリアや台湾の旅日記などを書きます。関東を中心とした船釣りレポート『ゆるゆる釣り部』もここにやってきました。一応ライターです。

マガジン

  • ※フィクション

    ※フィクションの話です。

  • 身近な自然と楽しむ100のアウトドアチャレンジ

    ちょっとした好奇心さえあれば誰でも挑戦できるような「身近な自然と楽しむ100のアウトドアチャレンジ」を、自分の体験からまとめてみます。

  • 伊勢観光の写真集

    2022年6月に伊勢市クリエイターズワーケーションで訪れた、伊勢観光の写真集です。伊勢うどんについてはこちらの記事をどうぞ。 https://suumo.jp/town/entry/ise-tamaoki/ また同人誌「伊勢うどんってなんですか?」が発売中です。 https://www.seimen.club/entry/iseudon

  • 私的標本:コラム、エッセイ、レポートなど

    玉置標本のコラム、エッセイ、レポートなどです。

  • 昭和の「家電製麺機」を愛でる会/趣味の製麺

    「趣味の製麵」オンライン版の新作、『昭和の「家電製麺機」を愛でる会』です。

最近の記事

出口の二つあるベッド

※フィクションです。 ほぼ一日、ずっと自宅のベッドの上にいる日が多い。どうしても動けないのだ。さぼっているだけかもしれない。 意識が飛んで寝られている間はまだいいが、頭だけは冴えてグルグルと無駄な後悔が空回りを繰り返しているときがきつい。それでも体はまったく動かず、その強い呪縛から逃れることができない。 このベッドには出口が二つある。 なんらかのやることを決めることで開く現実への扉。 もう一つはなんらかを探すことを諦めることで開くどこかへの扉。 だいたいはどこかへ続く

    • 彷徨う先を失う

      ※フィクションです。 近所にある徒歩3分のコンビニが、24時に閉店するようになった。 そもそも住宅街で朝まで営業している方がおかしいのだろうが、個人的にはちょっと困る。 真夜中。漠然とした不安、淋しさ、絶望、希死念慮、懺悔、後悔のループが頭を巡り続け、これからの人生で楽しいことはもうなにも起きないのだなと、生と死の境界に自ら立ち、誰かが背中を押さないかなとぼんやりしてきたときに、スマホと紐をポケットに入れて近所のコンビニに行って、適当なロングの缶チューハイを気分で選び、あ

      • 12:茶摘みをして紅茶(風)を作ってみる

        数年前、緑茶を作った数日後にまた茶摘みをさせてもらえる機会があったので、今度は紅茶を作ってみました。正しい紅茶の概念がよくわかっていないので、紅茶風という感じでしょうか。紅茶インスパイア系。 緑茶作りには成功しているので、摘むのにも気合が入ります。 帰宅後、洗ってから室内で新聞紙に広げて、半乾燥くらいになるのを待つのですが、うっかり二日放置してしまい、干しすぎた。 とりあえずやってみます。 紅茶は半乾きの茶葉を揉みまくって汁を出し、それを発酵させてつくるそうです。という

        • 11:茶摘みをして緑茶を作ってみる

          夏も近づく八十二銀行。いや八十八夜でしたね。立春から数えて88日目を「八十八夜」といい、2024年は5月1日だったそうです。ということで、垣根として植えられているチャノキ(茶の木)の新芽を摘ませてもらって、緑茶を作ってみてはどうでしょう。 埼玉や神奈川あたりのちょっと田舎だと、お茶農家でなくても、手間があまりかからないチャノキを、土地の境界線などに垣根としてよく植えるそうです。ツバキやツツジみたいに。 それを昔は家庭用のお茶として利用していたようですが、今はまったく利用し

        出口の二つあるベッド

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          2本
        • 身近な自然と楽しむ100のアウトドアチャレンジ
          12本
        • 私的標本:コラム、エッセイ、レポートなど
          4本
        • 伊勢観光の写真集
          12本
        • 昭和の「家電製麺機」を愛でる会/趣味の製麺
          5本
          ¥300
        • 芸能一座と行くイタリア25泊29日の旅日記
          32本
          ¥2,000

        記事

          伊勢うどんの成り立ちと歴史を考えてみた

          伊勢うどんの歴史や発祥には諸説あり、そこがおもしろいところ。同人誌「伊勢うどんってなんですか?」を執筆するにあたって、うどん屋や製麺所、あるいは一般の方に伝わっている「俗説(言い伝え)」と、近代日本史が専門である皇學館大学の谷戸佑紀准教授が調査した「史実(文献などで確認できる歴史)」を、それぞれインタビュー形式で掲載したが、ここで改めて「私なりに伊勢うどんの歴史に関する見解」を考えてみたいと思う。もちろん数多ある説の一つとして。 俗説と史実まず俗説だが、古くは江戸時代初期頃

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          伊勢うどんの成り立ちと歴史を考えてみた

          伊勢うどんの追加取材①:喜八屋の仲林良子さんに聞く、大正時代から継ぎ足されている驚きのタレ

          伊勢市駅の少し東側を南北に走る県道201号線、通称「八間通(八間道路)」をしばらく北に向かい、喜八屋という伊勢うどん屋さんを訪ねた。 伊勢うどん大使の石原さんによると、この店こそが伊勢市内に現存する伊勢うどん屋の中で、一番古い店なのだとか。 祖父、父、そして母から、この店と秘伝のたれを引き継いだ、店主の仲林良子さんに話を伺った。 喜八屋の歴史 ーーこの店が伊勢で一番古いうどん屋だと伺いましたが、創業はいつですか。 「大正十なん年だとは思うけど、はっきりとはわからない

          伊勢うどんの追加取材①:喜八屋の仲林良子さんに聞く、大正時代から継ぎ足されている驚きのタレ

          伊勢うどんの追加取材②:起矢食堂の中村俊雄さんに聞く、古市街道沿いにおける時代の変化

          内宮と外宮を結ぶ主な道路は、最短距離の御木本道路(1946年に真珠王の御木本幸吉が資金を提供し着工された)、伊勢総合病院の脇を走る御幸道路/御成街道(明治天皇が初めて神宮へ行幸するのをきっかけに1910年完成)、そして一番の歴史を誇る伊勢街道(特にこの辺りを古市街道と呼ぶ)の三本。 今回訪れたのは、江戸時代には遊郭や旅館が立ち並んだという伊勢街道沿いにある起矢食堂だ。 起矢食堂の歴史と味のルーツ ーーこの店はいつ頃からですか。 「今から46年前(1978年)かな。私は

          伊勢うどんの追加取材②:起矢食堂の中村俊雄さんに聞く、古市街道沿いにおける時代の変化

          「冷凍さぬきうどんを長く茹でると伊勢うどんになるのか」という実験

          エリックサウスの料理長であるイナダシュンスケ(稲田俊輔)さんが、「冷凍さぬきうどんを18分茹でる」と伊勢うどんっぽいとツイートされていたので、試してみることにした。判定してねと指名されたので。 なんでこういう話になったかというと、以前イナダさんにお会いしたときに、「伊勢うどんってなんですか?」という私が書いた同人誌をお渡しさせていただいたからです。ちゃんと読んでいただいて大変ありがたい。 冷凍讃岐うどんを長めに茹でてみるということで、試してみます。 使ったのは近所のスー

          「冷凍さぬきうどんを長く茹でると伊勢うどんになるのか」という実験

          10:クルミを拾ってみる

          ちょっと季節外れの話になるが、九月後半くらいになるとクルミがよく落ちている。もし拾っても怒られない場所で見かけたら(植物園や公園はルールがいろいろあるので各自確認)、持ち帰ってみるといいかもしれない。 「落ちているクルミ」といえば、多くの人はゴツゴツした硬くて丸っこい脳味噌みたいな形をイメージすると思うが(私もかつてはそうでした)、木から落ちたてのクルミの実というのは、意外なことに緑色で丸い。知らなければ、これがクルミだとはわからないだろう。 硬くて丸いあのクルミは、梅干

          10:クルミを拾ってみる

          09:アミガサタケを探してみる

          桜の開花情報を聞く頃になると、毎年アミガサタケが気になってくる。 アミガサタケはとても独特の形をしたキノコで(キノコは全部が独特だが)、関東では三月から四月頃に生えてくる。ヨーロッパではモリーユ(モレル)と呼ばれる人気の食用キノコだ。 私がはじめてその存在を知って探したのは2015年。その頃はどういう場所に生えているかをまったくわかっておらず、そこに生えていたという情報が検索で引っかかった土地勘のないエリアを、ただただ下を見ながらやみくもに歩き回った。 三時間以上歩いて

          09:アミガサタケを探してみる

          08:ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)を捕って食べてみる

          今回は「気軽に試してみてね!」というタイプの話ではなく、なにかと話題の外来種、ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)を食べた経験談。 数年前の夏、霞ケ浦周辺のレンコン畑周辺を覗いてみると、それはもうたくさん繁殖していた。素人が見ても、こりゃあかんと思えるレベルだ。 ショッキングなピンク色をした卵もそこらじゅうにある。 ちなみにこの卵は水没すると孵化しないそうなので、見つけたら水に落とすといいらしいが、そんなのやってられるかという数だった。 ゴルフボールサイズのジャンボな巻貝

          08:ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)を捕って食べてみる

          07:ノビルを掘らずに抜いてみる

          その辺で収穫できて食べられるものとして、初めて知ったのはおそらくノビル(野蒜)だったと思う。 確か母と川原かどこかに行き、これが食べられるんだよと教わったような気がする。幼稚園児の頃だろうか。ありふれた話なので、捏造された記憶かもしれない。 ノビルは野蒜と書くだけあって、葉っぱ部分にニラのような香りを持っている。そして土に隠れた球根部分はラッキョウのようで、冬の終わりから春の初めにかけてなら全部が食べられる嬉しい野草だ。春を過ぎるとだんだん固くなってくる。 どこにでも生

          07:ノビルを掘らずに抜いてみる

          06:雨の日に雨具を着て出かけてみる

          アウトドアの遊びは雨で中止になることがよくある。 そこに過度な危険が伴うのであれば、延期という決断はもちろん英断である。 例えば前日から麓に泊まった山登りの当日、かなりの雨が降っていた。 あるいは河原でピクニックの予定が大雨で中止。 さて、どうしよう。 いっそこんな日は、一応用意はしているけれど出番のなかなかない雨具があるのであれば、安全な範囲で「雨具を着て出かける」ことを目的に行動してみたらどうだろうか。 実際に雨に打たれてみることで、自分が持っている雨具の信頼度、装

          06:雨の日に雨具を着て出かけてみる

          05:お尻を拭くのにベストな葉っぱを考えてみる

          野外で遊んでいて、大きな用を足したくなったという経験は誰しもがあるだろう。しかも紙を持っていないとしたら。考えただけでも冷や汗が滴る大ピンチだ。 そんなときに備えて、「もし仮にお尻を拭くとしたら、どの葉っぱを使うべきか」を、一度本気で考えてみてはどうだろうか。 別にお尻で試してみる必要はない。指で触ったりこすったりして、その感触を確認してみよう。ほっぺに当ててみるのもいいだろう。 実際に先ほど検討してみたのだが、この時期(2月)はお尻を拭けそうな大きな葉っぱは少なく、ギ

          05:お尻を拭くのにベストな葉っぱを考えてみる

          04:カラシナを摘んで食べてみる

          アブラナ科アブラナ属の越年草であるカラシナ(芥子菜)。 明治以降に広がった帰化植物なのだとか。 私が住む地域の河原では、なぜか近年カラシナが大繁殖しており、一番身近な食べられる野草となっている。 カラシナは冬から春にかけて育つ野草で、年明けから5月くらいは地面の半分以上を占めるんじゃないかというくらいカラシナだらけの場所まである。 そこの様子をみてきたところ、今年はなんと九割以上がカラシナという大繁殖をしていた。昨年、台風で洪水が起きた影響だろうか。 山村暮鳥が見たら「

          04:カラシナを摘んで食べてみる

          03:石を持ち上げて下を覗いてみる

          私にとってアウトドア遊びの原風景は、道端や庭先にある石をそっと持ち上げて、その下にある世界を覗くことだった。 石だけでなく、レンガ、ブロック、植木鉢、倒木、トタン板など、自分が持ち上げられる大きさのものがあれば、その下を確認したくて仕方がなかった。おそらく物心がつく前からの習性だろう。 そこに潜む生き物を陽キャか陰キャで括るとすれば、もちろん後者揃いである。なんといっても石と土の隙間なのだ。 定番はダンゴムシ、ナメクジ、カタツムリ、ミミズ、ヤスデ、イモムシあたりで、カブ

          03:石を持ち上げて下を覗いてみる