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表現あそび教室@京都(2017-2019)

きっかけ

音楽をやっている知人から「遊びながらこどもたちが音に触れるようなこととかなにかできないかしら?」とお声かけいただいたことが始まりでした。
わたしは音楽の専門ではないので「演劇を通じてであれば」と試しに始めてみることにしました。京都市内のお寺の住職さんを紹介いただき、お寺の近所のこどもたちがまず最初に参加してくれました。参加したこどもたちが「次もやりたい!」と継続を希望してくださったり、他の方に紹介してくださったり、SNSなどでお知らせしたりして、参加メンバーが少しずつ増えていきました。今まで3歳から小学6年生のこどもたちが参加してくれています。月2回開催しています。

こどもたちと演劇ワークショップをする時に『想像する・伝える・みんなで一つことを一緒にやる』という3つを大事にしています。わたしが俳優として舞台に立つときに大事にしていることと同じです。
こどもたちが自分で考えてつくったものを、誰かに伝える。伝えると反応がかえってくる。反応がよかったら嬉しいし、悪かったら悔しい。それが仲間でつくったものだったりすると、何倍も嬉しかったり、悔しい思いをする。そうやって人と人と関わっていくことがおもしろいと感じてもらえたらといいなと思っています。
ながく、ゆるりと、演劇を通して「表現を楽しむ」教室を続けていけたら、と。

1年目(2017年)

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1年目は、たくさん身体を動かして声を出して、とにかく遊びました。みんなが知っているゲーム(しっぽとりゲームやだるまさんがころんだなど)をしたり、まねっこをしていろんな声を出したりしました。

自分たちのからだやお寺にあるモノを使って「文字」や「絵」をつくってみるワークにも挑戦しました。写真は、参加者のこどもたちの中の名前の「瑠」という一文字です。時間は5分間。夢中になってこどもたちどうしで相談しながらつくっていました。

1年目の最後は、絵本『11ぴきのねこ』の1シーンを保護者の方に見てもらいました。舞台美術はお寺さんにあるモノをつかって考えて、こどもたちが出演者となってみんなでつくってみました。始めた頃の恥ずかしがっていたこどもたちの表情は柔らかくなり、仲間と一緒に生き生きと楽しんでいる姿がありました。

2年目(2018年)

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2年目に入ってメンバーも入れ替わりがありましたが、いろんなことにチャレンジしていきました。

写真は、「まず絵本を見ずに、お話だけを聞いて、一番印象に残ったところ(情景)を描いてみよう」というワークで描いてもらった絵です。
『じいちゃんのよる』という絵本を読みました。保護者の方にも参加してもらったのですが、あらま、びっくり。大人は背景や場所から描いていましたが、こどもたちは背景からは描かずに、縁側で座っているじいちゃんの足の部分から書いたり、じいちゃんの汗を書いたりと、自分のイメージが強烈に残っている部分から描いていました。イメージしている世界の温度・空気・音・土の色やどんなものが周りにあるのかがとても鮮やかに繊細に伝わってきました。こどもたちの想像力は豊かでおもしろい。
描き終わってから、みんなで絵本をもう一度読みました。今度は一つ一つ絵を見ながら。すると「ああ、そうか、おじいちゃんの家には犬やニワトリもいるんやな」「そうか、夏やから蚊もいるし蚊取り線香もあるんやな」「そうか、空をとぶシーンってこんな風なんや」と、いろんな発見があったようです。

2年目の最後は、クリスマスのお話『サンタさんのおしごと』をみんなでつくって発表をしました。台本を書く人、舞台に立つ人、衣装を考える人、舞台美術を考える人、音を出す人。こどもたち自身が自分でやりたいこと、得意なことを見つけて一緒に創作することができました。

3年目(2019年)

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3年目になると、こどもたち一人一人が創作するということに少しずつ抵抗がなくなってきて、自分の考えていることを発言したり、じっくり考えるということが多くなってきました。

写真は、「お題を決めてそのお題をイメージするシーンを書いてみよう」ということで、短いシーンをみんなで書いてみるワークでつくった台本です。ルールは「お題の言葉を使わないこと」「8行の中で、二人の会話のやりとりをする」。予想以上にみんなスラスラと書けてビックリしました。
お題は『雨』。言葉遊びがあったり、登場人物が人間ではなく「雨」そのものだったり。子どもたちの想像力は豊かです、ほんとに。お題の言葉を使わないことで説明的なセリフにならず、日常のささいな会話のやりとりが描かれていました。

3年目の最後は、ひとり一作品ずつ、自分で台本を書きあげました。
台本のテーマは「雪」。「雪」という言葉は使わずに会話するというルールを設けて書いてもらいました。
出演してもらいたいメンバーに自分で声をかけて出演依頼をして、台本の1シーンをみんなで発表しました。

こどもたちが書いた作品
◎『不思議なおじさん』
◎『南極のサバイバル』
◎『すいぞくかん』
◎『クリボー三兄弟』
◎『いい子にしてないと』
◎『こうえんであそぼう』

たまたま通りかかったおじさんが雪が降るよ〜と予言した通りに沖縄で雪が降るお話。雪が積もっている公園で鬼ごっこやオラフを作るお話。南極で遭難して魚釣りをしていたら船が通りかかるお話など。

4歳から小学6年生までの異年齢のメンバーでしたが、本番中、私から声かけをしなくても、上の子は漢字が読めない子の隣にすっと入って小さな声で教えてあげたり、重いものはお兄ちゃんが運んだり。帰り際にホワイトボードの文字を消すのをわたしが忘れていたらそっと消してくれたり。周りをよく見て、お互いに出来ること出来ないことを感じて行動できるこどもたちの姿がありました。


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