見出し画像

クリスマスの到来をアドヴェントクランツでカウントダウン

オーストリアはカトリックな国のこともあり、クリスマスは一年で一番重要なイベントです。それも、クリスマス当日だけではなく、12月始めから一か月かけてクリスマスムードを盛り上げていきます。

アドベントカレンダーと並んで、オーストリアのクリスマスに欠かせないのが、「アドベントクランツ」です。

画像1

アドベントクランツは、クリスマスリースと似ていますが、扉にかけて飾るわけではなく、卓上に置いてテーブルデコレーションにします。

アドベントクランツは、クリスマスツリーと同じモミの木で作られ、キャンドルが必ず4本立っています。これをアドベント第一週(年によって異なりますが12月第一日曜であることが多いです)までに各家庭で用意し、アドベントの最初の日曜日の夕食時食卓に置き、キャンドルに一つだけ灯をともします。

これは一つのセレモニーのようなもので、ほとんどのオーストリアの家庭では、このアドベントクランツに一つ目の火を入れるという行為をとても大切にします。その後はクリスマス直前の日曜日まで一本ずつ火をつけ、4本灯ったらクリスマスまでもうすぐだ!と喜ぶわけです。

画像2

4つ灯るとクリスマスまでもうすぐ。

アドベントクランツは歴史的にはかなり新しく、19世紀中ごろにドイツのプロテスタントの神学者が、子供たちの「クリスマスっていつ来るの?」という質問にわかりやすく答える為作ったと言われています。その後20世紀に入ってカトリックの教会にも取り入れられ、オーストリアにもやってきました。

このアドベントクランツは、学校や家庭などで自作する家族も多いですが、スーパーで購入することもできます。信仰心に篤い人は、アドベントクランツを使う日までに教会に持って行き、聖水をかけて聖別してもらう儀式もあります。

画像3

作りかけの手作りアドベントクランツ

画像4

スーパーで出来合いも売っています。キャンドルだけ買うこともできます。

教会にあるアドベントクランツのキャンドルは紫色の事が多いですが、通常は赤のロウソクが使われることが多く、リボンや松ぼっくり、ケシの実などで素朴に飾ることが多いです。また、最後の一本のキャンドルだけ色を変えてあるものもよくあります。

画像5

ウィーン少年合唱団で有名な王宮(ホーフブルク)のブルクカペレにも、紫のアドベントクランツがありました。写真の左下に飾ってあります。

画像6

ほぼ全ての家庭で火がともされるアドベントクランツですが、街でもクリスマスデコレーションの一つとして至る所で見かけるようになります。教会には必ず飾ってあるだけではなく、レストランやクリスマスマーケットでも見かけます。デコレーション用のものは常に火がついているので、電気のランプの物もありますが、これを見るとオーストリアのクリスマスだなー、という気がします。

画像7

カフェの天井からつりさげられたアドベントクランツ。

また、1ヶ月同じクランツを使い続けるわけですから、最後のロウソクをともすころには、葉っぱが乾燥して火が燃えやすくなっています。アドベントクランツに着いた火で火事になる事故もありますので、お楽しみにも注意が必要です。

オーストリアならではのクリスマスの習慣は他にもたくさんありますが、もしクリスマスマーケットの時期にウィーンに来られるのでしたら、このアドヴェントクランツも探してみてくださいね。

(2015年11月執筆)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?