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ラーメン、服、ショッピングモールはしご旅(2023年1月22日の日記)

我が街の冬は西の山々からの強烈な風が吹き付け、足での歩行や自転車での走行がきわめて困難になることになっているのだが、その日は珍しく風が穏やかであった。天気予報アプリによれば1〜2m/sの風との事だ。いつもは5〜8m/sくらいなので、ほとんど無風と言っていい。

新たにオープンしたラーメン屋に行こうと思った。あの人気のラーメン屋がついに我が県にオープン、という触れ込みを耳にしていた。13時。私は自転車に乗り、当該ラーメン屋の入っているショッピングモールを目指した。近頃では殆ど徒歩で移動しており、自転車に乗るのは久しぶりであった。自転車も日記を書くことができたら、自転車が乗られるのは久しぶりであった、と記述していたと思うが、私は自転車が日記を書いているところを見たことがない。我が家から当該ショッピングモールへは、とにかく北にまっすぐ走行し、やがて見えてくるミニストップのある交差点を右に曲がり、ひたすらまっすぐに行くと辿り着く。従って、私はそのように走行した。自転車を漕いでいる間は自転車を漕ぐことだけを考えていればよく、好ましい時間だ。ミニストップのある交差点を右に曲がり、ひたすらまっすぐに行くと、果たして当該ショッピングモールはなかった。道を一本間違えていたからである。間違えていたのが一本だけだったのが奏功し、当該ショッピングモールにはすぐに辿り着くことができた。間違っているのが二本や三本だったらこう単純には行かなかっただろう。所要時間45分。

ショッピングモールに入ると、服屋がたくさんあった。服が欲しいな、と私は思った。私はここ数ヶ月、いい大人なんだからちゃんとした服を着たほうがいいように思っており、従って、服が欲しいな、と思ったというわけだ。各々の服屋では30%OFFとか50%OFFとかのPOPがそれぞれ掲げられており、冬物のセールが大規模に行われている様が観測された。他の人はどうかわからないが、私はそもそも高価なものが30%OFFとか50%OFFとかになっている状態を好ましく思っており、いい時に来たな、と思った。当該ラーメン屋がオープンしていなければこの日この時この場所には来ていなかっただろうと推測され、当該ラーメン屋に対する感謝の念がまるで揚州商人の餃子を一口噛んだ時の肉汁ように溢れた。まだラーメンは食べていない。おなかすいてるし、まずはラーメンを食べようかな、いや、まずは服を選ぼうかな、と服を選びながら10分くらい悩んだ末、ラーメンを食べることにし、フードコートへ向かった。混んでいるかと思ったが、空いていた。平日のショッピングモールは空いていてよい。ラーメン屋で九条ねぎラーメンと焼き飯をオーダーし、任意の席につくと、ものの2分程度で手元のアラームが鳴った。会計の際に手渡されたそれが鳴ったということは、ラーメンの用意ができたということだ。私は鳴り響くアラームと引き換えにラーメンを得て、滞りなく先程の席に座った。その一連の動作には全く淀みがなく、清らかな川のようであり、一人で来ていたということもあって、誰にも蛙化されずに済んだ。ラーメンには背脂が浮いておりこってりを想像していたが、意外にもあっさりであった。スープが甘めだった。焼き飯は私が家で作るチャーハンの5倍は美味しかった。お店のチャーハンってのはどうしてこんなにもおいしいのでしょうね。思っていたよりも量があり、空腹が満腹になった。ごちそうさまでした。

よく知られているように、人は満腹になると全てがどうでもよくなる傾向にあり、従って私は服を選ぶことについてかなりどうでもよい状態になっていた。よくないことには違いない。なぜなら、冬物のセールが大規模に行われているからである。とりあえずはショッピングモール内を見て回ることにした。パーカー、カーディガン、アウターが欲しいように思っていたので、それらを発見すべく店内をモニタリングして歩いた。最近Amazonで10足入りの短い靴下を購入し、古い靴下を全て処分したのだが、その新しい靴下は私の足に比べてサイズが小さく、歩いていると靴の中でかかとから脱げてしまうことになっており、その時、私は靴下が半分脱げた不快な状態でショッピングモール内を、まるで靴下なんて全然脱げていませんよ、というような顔つきで歩いていたのであり、いい靴下もあれば買うべきであった。結果、何も買わずにショッピングモールを出た。少し離れたところに別のショッピングモールがあるからついでにそこに行こうと思った。ルートを検索すると、少し北に行くとぶつかる大通りをひたすらに西に行き、セブンイレブンのある交差点を右に曲がると当該ショッピングモールがあるとのことで、そのように走行した。

その途中、見覚えのある景色が出現した。2ヶ月程前に人と一緒に来た服屋があった。私は助手席でぼんやりしていたため、どこをどうやって辿ってその服屋に来たのかさっぱりわからなかったが、その服屋をこうして偶然に見つけた、というわけだ。私は自分で何が似合うのか、何を求めているのか、どうなりたいのかがさっぱりわかっていないため、人と服屋に行き、似合いそうな服を選んでもらう、という行為がわりと好きである。私はスマートフォンで当該服屋の外観を撮影し、その写真と共に「この前に一緒に来た服屋を偶然にも見つけたよ」という意味の文字列をメッセンジャーアプリに打ち、送信するかどうか自転車を走行させながら30分くらい悩んだ末に、結局はショッピングモールに着いてから送った。私は自分から他人にメッセージを送ることは年に3回くらいしかないから、そのうちの1回のカードを新年早々に消費したことになる。そんなペースで大丈夫か? やがて「今週金曜に抜糸だって」との返信があった。当該人物が約1週間前にどうやら自動車でやんごとなき事故を起こし、足を縫うことになった、ということは当該人物本人から聞いており、その抜糸が今週金曜であるとのことだ。抜糸か、痛そうだな、などと思っていると、追って「だから来週には会えるよ」とのメッセージが受信された。当該人物の「親友」とされる人物は、自動車で事故を起こしてしまってなんやかんやでお金が必要だと嘘をついて、出会い系サイトで知り合った男性から現金約100万円を騙し取ったと聞いており、私もそのような事案には注意をすべきだ。

そのショッピングモールは3階建てで、3階から1階へと店を見ながら下っていく計略に従い、まずは3階のフロアを眺めて回った。次に2階のフロアを眺めて回った。最後に1階のフロアを眺めて回った。特に目ぼしい物はなかったし、依然として満腹であった。帰宅することにした。このショッピングモールから自宅への道のりは経路が複雑でとても記述することができない。残念なことである。途中、そう言えばこの辺に評判のたこ焼き屋があったと思い出し、見ていこうと思ったが、見つけることができなかった。過去に同じことを2度トライしており、この3度目も失敗となった。当該たこ焼き屋はメディアでも盛んに紹介されているとのことだが、本当にそんなたこ焼き屋は存在するのだろうか。この目で観測していないので確定されないままだ。ホームセンターに寄り、植物を4鉢購入した。我が家には大量の植物が存在し、株分けをしたり、種を蒔いたり、このように新たに購入したりすることで年々増加傾向にあり、もはや管理が行き届かない事態となっている。この春にはいい加減になんとかしなければならないだろう。駅前の百貨店にも寄ろうかと思ったが、本日は大量の服に当てられて精神の疲弊を感じており、そのまま帰宅した。

予報によれば明日からはまたとんでもなく風の強い日々が続くそうで、風の強い中を外出すると心身が困憊するから、外出を控えなければならない。お店と同じくらいおいしいチャーハン作りを試みたり、短編小説の書き方を会得するために短編小説を読んだり、もうかれこれ7年間は毎日プレイしているクルマでサッカーをするゲームをやったり、最近ではそれに加えてコーヒーを作りながらお客さんの話を聞くゲームを始めたから、それをやるなどして穏やかに過ごし、風が止んだらまたどこかに出かけるだろう。

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