【機上の空論】進む法整備
この図は2年前の2022年4月に開催した【HAAM】空飛ぶクルマ研究室発足記者会見時のプレゼンテーション資料の一部です。
HAAMでは空飛ぶクルマが抱える課題を「技術」「精度」「心理」という「3つの壁」に分類整理し、空飛ぶクルマ×観光の可能性と未来の空を構想する次世代型シンクタンクを目指して「未来社会受容性を向上すること」を目的としました。
詳細は2022/5/8の記事で以下のように解説しています。
その後の動向を振り返ると「技術の壁」即ち「機材」分野における成長は、この間に追ってきた世界各地で誕生したeVTOLメーカーのニュースから飛躍的な成長を確認することができます。
市場予測変化に触れた2023/6/18の記事にあるように、メーカー各社の予想販売金額値で市場が1年前と比べて2050年の予測値が約50%、は146億円は4倍強。
潜在市場のバロメーターと言っても良い発注量の激増は「技術の壁」を着実に乗り越える業界努力の結果です。
国内で動き出した「制度の壁」
そこで注目したいのがこのニュース
空飛ぶクルマの実現に向けて。「航空法施行規則」を改正(11/30)
国土交通省航空局が2023/11/30に公布した空飛ぶクルマに関連する「航空法施行規則の一部を改正する省令」です。
まだ少し先と思われた2025年4月開幕の大阪・関西万博まで、1年3ヶ月となり、具体的な飛行フェーズに向けて法整備が一気に動き出した感があります。
「技術の壁」が先行し「制度の壁」が続く…という流れは想定通り。
そこで気になるのが3つ目の「心理の壁」ですが、こちらは日本では少し低調な感があります。
市場における認知度のバロメーターとしてGoogle Trendの検索キーワードボリュームが参考になりますが、過去5年間の「空飛ぶクルマ」の検索数値は昨年3月に一時急伸しましたが、その後ステージが上がった兆候が見られません。
パリ五輪での登場が予想される「空飛ぶタクシー」の情報などが世界レベルでバズれば、その影響が日本に出てくる可能性もありますが、大衆の心に直接訴えかけることができるニュースの存在がほしいところ。
そこで着目したいのがこのニュースです。
eVTOLレース「2023年Airspeeder EXAシリーズ選手権」開催(12/12)
無人eVTOL3による世界初のレース。
日常体験としてのタクシーや遊覧飛行の実現がかなり先だとしても、「非日常」の空飛ぶレーシングカー?競技が可能になれば想定市場は異なってきます。
遠隔操縦によって行われるレースの成功がモータースポーツの新たな歴史を切り開く…と記事内に紹介されていますが2024年に完全乗員制のAirspeederレースも開催予定とのことで楽しみです。
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HAAMでは2024年1月に空飛ぶクルマ業界の研究セミナーを開催します。
大学生、大学院生対象のイベントを東西会場で開催しますので、興味のある方は是非お申し込みください。
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