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【機上の空論】数値が予測する未来と夢が手繰り寄せる未来

市場予測が上昇中

HAAM地元の兵庫県の玄関口である神戸空港に関する発表が相次ぎました。

まずは、2025年に国際チャーター便、2030年前後に国際定期便受け入れを目指す神戸空港が新たにサブターミナルをつくるという計画。大阪・関西万博が開催される2025年4月の直前オープン予定となっています。
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加えて、空港敷地内にてビジネスジェット受入施設を担う事業者の公募が6月に発表されましたが、こちらは高付加価値富裕層市場を空路で呼び込む施設だけに、将来的な「空飛ぶクルマ」連携が期待できます。
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出典:神戸市資料

未来における市場形成の器となる施設やサービスの誕生はマーケティングとして重要な要素です。
日本を代表する港湾都市として発展してきた神戸市が「海の港町」から「空の港町」へ拡張されていく様を見守り、そこに「空飛ぶクルマ」がどう関わっていくかに注目したいものです。

で、江藤誠晃の『機上の空論』第2回。
5月のまとめ記事を題材に「空飛ぶクルマ」市場のマーケティング分析を行いますが、まず注目すべきは矢野経済研究所による2050年の市場予測です。

矢野経済研究所調べ

この報告では、2050年の空飛ぶクルマ市場世界規模が180兆円を超えると予測されていますが、昨年4月のHAAM設立イベント時に紹介した同研究所の予測グラフはこちらです。

矢野経済研究所調べ

2050年の予測値が123兆円から180兆円と約50%アップしたのが驚きですが、2025年の数値は146億円から608億円と4倍強。

短期間でここまで予測値が上昇した要因は、このグラフ下部に注記されているようにメーカー販売金額ベースで数値が算出されているからと推測できます。

量産体制

そこでメーカーがらみのニュースを見てみましょう。

  • 02.米新興のウィスク・エアロ社が「空飛ぶタクシー」でJALと提携

  • 03.大阪の「そらとぶタクシー」が韓国メーカーから50機購入合意

  • 07.ブラジルMoya Aero社50機購入合意
    詳細は5月のまとめ記事

と国内外で具体的な「発注」ベースのニュースが続々と出始めました。
世界中に数百レベルで存在する「空飛ぶクルマ」メーカーが今後も販売予想を発表するでしょうから、まだまだ市場予測が拡大していきそうな気配です。

ただし、気になるのが現状においては業界やメーカーというサプライ(供給)サイドがリードする市場予測にとどまっている感があり、デマンド(需要)サイドの「期待値」としての市場予測ニュースが見当たらないところです。

そんな中で「空飛ぶクルマ」に対して「空飛ぶタクシー」という需要を意識したサービス形態名称が並び出したところには注目すべきです。
定員が数名で飛行距離が20〜30kmとされる「空飛ぶクルマ」のモデルは都市における地上のタクシー同様のモデルなので、ある程度の台数が求められます。

収益性のあるビジネスモデルなくして市場の拡大は見込めないわけですから、まずは都市部の空域タクシーというビジネスモデルが有望なのかもしれません。

ヒトづくりのステージへ

HAAMが「空飛ぶクルマ」市場活性化に向けて最初に打ち出したコンセプトが空飛ぶクルマ業界の未来人材育成でした。
産業の発展には「モノづくり」「コトづくり」「ヒトづくり」の3つが必要です。空飛ぶクルマ産業では「機体」「サービス」「人材」になりますが、前例なき未来産業の育成に向けてはベンチャー志向を持つイノベーティブな若者育成が急務と考えたからです。

そこで注目してほしいのが以下のニュースです。

  • 05.事業構想大学院大学、空飛ぶクルマ関連事業を手がける10社と連携し、スペシャリストを育成へ

事業構想大学院大学は企業・団体横断型のビジネスモデル構築スキームなので「コトづくり」をベースに「ヒトづくり」を行うセクターと捉えることができます。
事業構想大学院大学>>

HAAMは大学生を対象とする私塾的コミュニティですが、全国の高等学校を対象とする観光事業構想コンテストの『観光甲子園』に空飛ぶクルマ部門を提供するなど未来人材育成を意識した活動を手がけています。
この分野でもニュースが飛び交うようになれば、市場拡大に弾みがつくはずです。

既に夢じゃない…

この動画は2022年4月にHAAM立ち上げの記者発表で流したCM的イメージ動画です。
「空飛ぶクルマ」の未来像としてSF映画的に大胆なイメージを打ち出しましたが、そこに記したキャッチコピーが「既に夢じゃない」。


HAAMでは大学生向けの事業構想トレーニング企画としてアイデアソンのプログラムを準備していますが…

1)コトバのチカラ
2)デザインのチカラ
3)オカネのチカラ

の3ステップで進めます。

最初のアプローチがビジョナリーなコトバで未来を語る作業なのですが、このショートムービーは市場に一石を投じる目的で作成したものでした。

1年が経過して「空飛ぶタクシー」のニュースが飛び交うようになった今、「夢」に向かう確かな手応えを感じています。

/HYOGO空飛ぶクルマ研究室 CHIEF 江藤 誠晃

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