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大人がハマる昆虫研究

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40になって知ったディープな昆虫の世界。身近な環境も、視点次第で宝の山に。
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2023年7月の記事一覧

夜、アブラムシの甘露に集まる蛾たち

夜、アブラムシの甘露に集まる蛾たち

トウネズミモチという外来の常緑樹がある。市街地でも生垣や庭木等に使われているが、鳥が種子を分散するようで、川の土手とかで侵略的に自生しているのもよく見る樹木である。初夏、この木の枝の先端の若葉が丸まるように変形し、白っぽい物質が付着して、何やらベタ付く水が葉から滴り落ちているのがよく見られる。

この美しさに欠ける光景は、アブラムシの一種であるトウネズミモチハマキワタムシのしわざである。本種は初夏

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サムライアリの思い出

サムライアリの思い出

あれは私が小学校低学年くらいの時のことだ。茨城の実家には父親が作ってくれた砂場があり、よく近所の小さい子も砂場目当てに遊びに来ていた。ある日、隣の家の年下の女の子と砂場で遊んでいると、突然アリの大群がやってきて、砂場の上を通過し始めた。アリの行列と呼べるものではなく、文字通りの大群で、幅1 mくらいに広がっていた。隣の空地の草むらから続いているようである。あっけにとられて見ていると、大群は砂場のす

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相模川のクビボソコガシラミズムシ

相模川のクビボソコガシラミズムシ

都市化の進んだ神奈川県では、多分に漏れず、止水性の水生昆虫は危機的な状況にあるが、流水性種に関してはまだ捨てたものではない。そんな中、県央を流れる相模川が誇れる水生昆虫は、クビボソコガシラミズムシ Haliplus japonicus ではないだろうか。水生昆虫としては、全国的にはやや珍しい部類に入ると思われるが、相模川の中流では普通に見られるのである。

私は2018年から水生昆虫の世界にハマっ

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