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大人がハマる昆虫研究

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40になって知ったディープな昆虫の世界。身近な環境も、視点次第で宝の山に。
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2023年2月の記事一覧

湿岩性甲虫探し―ニッポンセスジダルマガムシ―

湿岩性甲虫探し―ニッポンセスジダルマガムシ―

はじめにニッポンセスジダルマガムシOchthebius nipponicusという水生甲虫がいる。トップ画像に示したようにカッコイイ形態をしているが、体長が1.5 mmほどしかない微小種である。前回紹介したクロサワツブミズムシとコマルシジミガムシと同様に、湧水が薄く広がって流下する崖の壁面に生息する湿岩性の甲虫である。

前2種と違って、ニッポンセスジダルマガムシは主に海岸沿いの崖に生息するという

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湿岩性甲虫探し―クロサワツブミズムシとコマルシジミガムシ―

湿岩性甲虫探し―クロサワツブミズムシとコマルシジミガムシ―

水生昆虫は、大きく分けて止水性(池など)と流水性(河川など)に分かれるが、流水性の一部に、「湿岩性」の昆虫がいる。湿岩とは、流水が薄く広がって流れ落ちる崖の表面のような環境である。このような特異なニッチを利用する水生昆虫が、カゲロウやカワゲラのような原始的な仲間のほか、トビケラや甲虫からも知られている。調査している人がまだ少ない分野であるため、私の探索記を紹介する。

神奈川県央を流れる相模川では

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