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#196 専制国家の台頭。民主主義はついに敗北なのか?

イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルは言いました。

「民主主義は最悪の政治形態である。これまで試みられてきた、民主主義以外のすべての政治体制を除けばだが」

ソ連が崩壊したとき、西側はこぞって「民主主義の勝利」と宣言したものです。

#189 「リープフロッグと無頓着」では中国がITサービスで優位に立ったことを書きました。

ヨーロッパなど人権やプライバシーに厳しい世界では、コストになってしまったり、ビジネス自体が頓挫することになってしまいます。

ITは中央集権的な情報収集を可能にしたのがソ連時代と決定的に違う点。

つまり”理想的な”共産主義国家や独裁国家は情報化社会と相性がいいのである。

一方でブロックチェーンなどで分散的で非中央集権的な技術に期待しているのが現状。

しかし、民主主義国家の政府にとっては、その存在意義を否定されることに等しい都合の悪い話だけに進めるわけにはいかない。

新型コロナ対策でも専制政治や独裁国家であれば強権的な対策で一挙に封じ込めますが、自由主義とか権利主張されてしまうと封じ込めは難しい。

実際、ヨーロッパの国々では暴動なんかが起きます。これに比べると専制国家でそういう話は聞きません。

もしかして民主主義、自由主義が当たり前だと思っている先進国こそ変じゃないのって思ってきます。

バイデンは、米中の対立を「民主主義国家VS.専制主義国家」と定義。(2021年6月5日)

「もはや民主主義国が少数派に転落した世界の現実
実は迷走、危機に瀕する「アメリカの民主主義」」(薬師寺 克行 : 東洋大学教授)東洋経済ONLINE 2021/06/30 によると

「2019年、スウェーデンの調査機関VーDemは、世界の民主主義国・地域が87カ国であるのに対し、非民主主義国は92カ国となり、18年ぶりに非民主主義国が多数派になったという報告を発表した。」

「国連の人権理事会は2020年6月、民主化運動の弾圧を目的とする中国の香港国家安全維持法を取り上げ、中国批判派と支持派が対立する事態となった。批判派は日本をはじめ27カ国だったのに対し、支持派は約2倍の50カ国だった。」

「その多くが権威主義国家、独裁国家と呼ばれる国々であり、中国の一帯一路政策の恩恵に浴している国々だった。」

国連などの場では民主主義国は少数派となっている、としている。

非民主主義国側共通するイデオロギーや思想のようなものがあるわけではない。

独裁的な指導者、あるいは国内の政治や経済が混乱したため再び権威主義国家に戻ったハンガリーやポーランドのような国もある。その多くが途上国

そこに中国が援助している構図なのである。

数でいけばそちらの勝ちになるでしょう。

新型コロナも先進民主主義国家に限って終息しないとしたら正解が出るかもしれない。

民主主義が正しいのだからそのうちこちらに来るだろうと思っていたら大間違い。

いつまでたってもそんな時代は来ないで、むしろ専制主義に向かうのではないかと危惧する。



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